2015年7月21日平成27年環境厚生委員会

「本県の周産期医療システムの仕組みと構築した狙いについて」

◯安藤委員

2点伺いたいと思います。
1点目は、先日、委員会で県立中央病院を視察して、いろいろと勉強になりました。その中の1つである総合周産期母子医療センターでは、未熟児の小さな命が助かっている現場を見させていただき、大変感銘しました。そうした中での質問です。
周産期医療体制について、1つ目は、本県の周産期医療システムの仕組みと構築した狙いについて伺います。

◯楠美医療薬務課長

周産期とは、妊娠満22週から生後7日未満までの期間をいい、この時期は母子ともに異常を生じやすく、突発的な緊急事態に備えて、産科・小児科双方からの一貫した総合的な医療体制が必要であり、周産期医療と言われています。
本県では、平成11年3月に策定した「青森県周産期医療システム基本構想」に基づき、平成16年10月から、1つとして、常時の母体及び新生児搬送受入体制を有し、母体又は児におけるリスクの高い妊娠に対する医療及び高度な新生児医療等の周産期医療を行う総合周産期母子医療センター、2つとして、周産期医療に係る相当高度な医療行為を行うことができる施設として、地域の周産期医療機関で対応困難なハイリスクの母体や重篤な新生児に速やかに対応する地域周産期母子医療センター、3つとして、治療管理が困難な特にリスクの高い症例及び特殊診療に対処する高次周産期医療施設、4つとして、地域周産期母子医療センターに準じた機能、設備等を備え、地域において周産期医療を提供する地域周産期医療協力施設、その他の産科クリニック等が青森県では効果的な連携と役割分担を担う青森県周産期医療システムを構築し、周産期医療を提供しているところです。
なお、総合周産期母子医療センターは青森県立中央病院、地域周産期母子医療センターは青森市民病院、国立病院機構弘前病院、八戸市立市民病院、むつ総合病院の4病院です。また、高次周産期医療施設は弘前大学医学部附属病院、地域周産期医療協力施設は八戸赤十字病院、つがる総合病院、三沢市立三沢病院の3病院となっています。
当システムの構築の狙いですが、構想策定当時、乳児死亡率が改善を見せている中で、周産期死亡率が全国でも悪い状況にあり、周産期医療体制の整備が重要な課題であったこと、特に地域における医療機関の対応の格差の解消や、より高度の周産期医療機関への搬送、受け入れへの対応を図るため、当システムを構築したものです。


◯安藤委員

乳児の死亡率を周産期医療システムによって低下させてきた実績についてなのですが、この仕組みによって、周産期死亡率の推移はどのようになっているのでしょうか。

◯楠美医療薬務課長

周産期死亡率の推移については、出生1,000人対で見ると、1年ごとでは絶対数が少なく、率の変動が大きくなることから、5年平均で見てみると、平成12年からこの周産期医療システムが稼働した平成16年までの5年平均では、全国の5.2に対し、青森県は6.5と、全国を上回っていました。直近の平成22年から26年までの5年平均を見ると、全国の3.9に対し、本県は3.7と全国を下回ったところであり、また、この間の青森県の死亡率を見ると、6.5から3.7と、約半分程度に低下している状況にあります。


◯安藤委員

それでは、周産期医療システムの運用によるこれまでの成果と今後の取り組みの方向について伺います。

◯楠美医療薬務課長

先ほども申しました周産期死亡率、やはりこれは周産期にかかわる代表的な指標であると考えています。この指標が大きく改善していることは、周産期医療システム構築の大きな成果であると認識しているところです。
今後の取り組みについては、最近では出産年齢の上昇や生殖医療の進歩などにより、低出生体重児の出生割合が増加傾向にある一方で、産科及び新生児担当医の絶対数の不足と産科医療施設及び医師配置の圏域間格差が問題となっているところです。
これらの課題を踏まえながら、継続して、各センターへの支援により、青森県周産期医療システムの効果的な運用に努めてまいります。また、このためには産科医及び小児科医の育成と定着を目指して、弘前大学医学部に委託し、医学生や初期臨床研修医が周産期医療分野に関心を持ち、進んでもらうことを目的とした研修を実施しているほか、八戸市立市民病院を中心とする県南地域の広域的な産科医療ネットワーク構築に対する支援などを行っているところです。また、卒業後、町村部での勤務を条件とする弘前大学の医師修学資金の特別枠の貸与者についても、産科・小児科等、特定の診療科の医師として勤務する場合、町村部の勤務を免除するなどの誘導というものも行っているところです。


◯安藤委員

産科医や小児科医の不足が原因でせっかくあるシステムをうまく回せないという面が生じるかと思うのですが、医師の絶対数に対して、現状はどのようになっているのでしょうか。

◯楠美医療薬務課長

最近の数字、例えば医師数を見ると、青森県では産婦人科としての診療を標榜している方、それと産科という診療を標榜している方、これはそれぞれ産婦人科としては、平成18年の数字ですと78名と8名であったものが、平成24年の数字を見ると91名と5名ということで、総数としてはふえており取り組みの成果はある程度あらわれている、下げどまっていると感じています。


◯安藤委員

全体ではふえているということですが、今の話でも産科に限って言うと減っているようですけれども、この辺の問題と、現在、産婦人科医や産科医などの方たちが高齢化しているという問題をよく耳にします。その辺も踏まえての現状をどのように捉えているのでしょうか。

◯楠美医療薬務課長

例えば、産婦人科、産科に限って見ると、平成18年からは下げどまって上昇の傾向が見られているところですが、委員御指摘のとおり、高齢化の問題であるとか、あるいは医療施設間の偏りであるとかといった問題はまだ非常に重要な課題であると認識しているところです。先ほど申し上げた産科医、小児科医の育成と定着を目指した取り組みというものは、引き続き取り組んでいく必要があると思っており、引き続き努力を重ねていきたいと思います。


◯安藤委員

ぜひ万全の努力をしていただいて、医師数が向上するように、そしてまた高齢化されている担当医の方たちは行く行くはおやめになっていくのでしょうから、その辺のことも踏まえて、ぜひ医師確保について、力を入れていただきたいと思います。
そして、周産期医療体制ですが、乳児死亡率も減ってきているようですし、この成果も生まれているのはよくわかりました。そこで、今後の課題ということでは、今の体制で充足されていると見てよいのでしょうか。さらに、このシステムに参加する病院をふやさなければいけないという問題があるのか、その辺についてはいかがでしょうか。

◯楠美医療薬務課長

現在の周産期医療システムに参加している病院はある意味、限られているわけですけれども、その時々の医師、大変重要になる医師の配置そのものが重要であると考えていますので、その配置に見合った医療機関の参加を得ながら、この地域周産期医療システムの運用に努めていきたいと考えています。


「救急医療体制について」

◯安藤委員

ぜひこのシステムがうまく回っていくように、医師確保も含めて頑張っていただきたいと思います。
そして、この前、視察したときに、現場の医師の方からせっかく救える命がふえたけれども、実際には救えた命の約半分は障害を持って育っていくということを話されまして、改めて現実の厳しさを感じた次第ですが、こういうことについても今後、しっかりと認識を新たにしながら、救った命をどう養育していくかという課題についても、聞いていきたいと思っています。充実させなければいけないということを話しておきたいと思います。

次の質問に移ります。
救急医療体制についてです。
まず、本県の救急医療体制の現状について伺います。

◯楠美医療薬務課長

本県の救急医療体制は、初期救急医療、入院救急医療を担う二次救急医療及び救命期の医療を担う三次救急医療で構成しています。
初期救急医療のうち、通常、医療機関が診療を行っていない休日・夜間については、青森市、弘前市及び八戸市の3市で休日・夜間診療所が開設されているほかに、青森市、弘前市、八戸市、黒石市、五所川原市、十和田市及びむつ市で在宅当番医制による診療体制を構築、確保しています。
二次救急医療は、事故や突然の発症によって早急な治療が必要になったときの救急医療を行う救急告示病院・診療所として県内50の医療機関が告示を受けており、また、市町村の要請を受けて救急告示病院・診療所が休日・夜間の診療体制を整え、病院群として共同連帯し、輪番制方式により救急患者を受け入れる体制として、二次救急輪番制が6圏域で構築されています。
三次救急医療は、重篤救急患者の医療を担う救命救急センターが県立中央病院及び八戸市立市民病院の2カ所に設置されており、この2病院を基地病院としてドクターヘリも運航しているところです。また、特に広範囲熱傷、指肢等の切断、急性中毒など、特に重篤な症例について対応する高度救命救急センターが弘前大学医学部附属病院に設置されています。


◯安藤委員

小さな子供たちが特に夜間などに病気が急変したときには、親御さんも大変驚いて医療機関に診せたいという思いになるかと思うのですが、この休日・夜間の初期救急医療が、今の話ですと、3市で休日・夜間体制が整っていて、8市で当番医という体制になっているようですが、この体制が整っていない市町村についてはどのような対応がなされているのかについて伺いたいと思います。

◯楠美医療薬務課長

ほど申しました、例えば在宅当番医制で行っている診療所に市町村を越えて受診するという方もいらっしゃると思います。また、実際にみずから近辺の救命救急センターを初めとした医療機関を受診している例があると思っています。


◯安藤委員

県の認識としては、休日・夜間の初期救急については、今の体制でも何とか回っているという捉え方でよろしいのですか。

◯楠美医療薬務課長

各医療機関のグループによって、現在のところ、青森県の救急医療体制は、もちろん、完璧ではないとは思いますが、何とか維持できている状況にはあるものと考えています。


◯安藤委員

近くにそういう場所があることは、子育てをする上で安心をもたらすと思います。近場にない場合は、ここでは子育てしづらいという認識になると思いますので、身近なところに当番医及び夜間や休日の医療体制が敷かれるように、ぜひ医療機関との協議も行っていただきたいと思います。
そして、先ほどの話の中にもありました入院救急医療体制の輪番制についてですが、県内全体を見たときに、この輪番制の体制をどう捉えているのか伺いたいと思います。

◯楠美医療薬務課長

二次救急輪番制についても、県内6圏域でそれぞれ運用されているところであり、必要な医療として最適の提供はきちんとされているものと考えています。


「弘前市の二次救急輪番体制について」

◯安藤委員

次の質問に移りますが、弘前市の二次救急輪番体制について、参加病院が減少し、厳しい状況に置かれていますが、県としてどのように認識し、また、どのように対応していくのか伺います。

◯楠美医療薬務課長

弘前市の二次救急輪番制については、平成19年度からは5病院体制となって運用されているところですが、弘前市からは、さらに1病院が来年度から抜けたいとの意向を示していると伺っているところです。
救急医療体制の確保については、県と市町村がそれぞれの役割に応じて取り組むことが必要と考えており、県では、救命救急センターや総合周産期センター、ドクターヘリなどの三次救急医療の確保のほか、救急医療情報システムの整備や、いわゆるコンビニ受診の減少に向けた住民への普及啓発などに取り組んでいるところです。
県としては、住民が安心して生活できるよう、弘前市における二次救急輪番制が維持されることが必要と認識していますが、各医療機関における医師の充足については、まずはそれぞれの医療機関で努力していただきたいと考えています。
その上で、県としても弘前大学などの関係機関と連携を図りながら、二次救急輪番制が維持できるよう協力してまいりたいと考えています。


◯安藤委員

今の話ですと、それぞれの医療機関、あるいは市町村で医師の充足についても努力していただきたいという受けとめ方をしたのですが、やはり二次救急輪番体制をどう維持していくかということについて、県もしっかりとしたリーダーシップをとって、二次輪番制を受け持っている病院には重点的に医師確保のために手当てをするとか、そのようなことも必要ではないかと思うのですが、その点について、いかがでしょうか。

それともう一つ、コンビニ受診という話が出ましたが、夜間などについても、朝まで待てるのに夜間受診してしまうというようなケースが多いという話を聞くのですが、コンビニ受診という実態について、青森県でもそのような傾向にあるという認識なのでしょうか。

◯楠美医療薬務課長

医師の確保については、県としては医師全体の総数がきちんと確保できるよう、まずはそちらのほうから取り組んでいきたいと思います。ただ、各病院においても、みずからの病院における医師の確保については、やはり病院としても努力が必要であると考えています。県としてもきちんと総数の確保に向けて引き続き努力していきたいと考えています。
また、コンビニ受診については、やはりそういう例があると思っていますので、その減少に向けて、今年度も、例えばテレビCMなどでコンビニ受診をやめようと訴えかけるようなコマーシャルを流しながら、その減少に努めていきたいと思っています。


◯安藤委員

医師の総数の確保ということは当然なのですが、例えば総数を確保できたとしても、やはり夜間、交代で医師の方たちが診ることになるわけで、あるいは救急医療体制を組んでいる病院もあるわけで、医師の方たちは本当に疲れ切っているという現実があるように聞いています。医師が疲れ切っていれば誤診ということも生じてしまうでしょうし、総体的な医師不足の中で総数以上の医師を確保するとのは大変難しいかと思うのですが、やはり二次救急輪番体制を維持するための医師確保について、あるいはコンビニ受診についても、医師の負担を軽くしていくという意味からも、子供を持つ親御さんも広い視野で救急医療ということをしっかりと認識してもらうような取り組みが必要だと思います。県内どこに住んでも、やはり安心して子育てできる、その体制としての、子供だけではないですけれども、二次救急輪番制度については、ぜひ県としても十分、現状を把握しながら支援していただきたいと思いますので、そのことをお願いして終わります。


「東通原子力発電所事故における広域避難に係る弘前市の受け入れ体制について」

◯安藤委員

1点目は、東通原子力発電所事故における広域避難に係る弘前市の受け入れ体制についてです。
先ほども若干やりとりはありましたが、先日、弘前市の県に対する重点要望事項の説明会の席上、話があったのですが、これまで横浜町から弘前市に受け入れるときの青森県武道館での受け入れ人数が5,000人とされていたけれども、とても5,000人は無理で、3,500人がいいところだという話がありました。1,500人もの差が出てくるというのはどうしてだろうという率直な疑問を抱きました。
そこで質問をいたします。横浜町の避難住民を受け入れる弘前市の青森県武道館の収容人数について、県は5,000人としているが、その根拠について伺います。
また、弘前市は青森県武道館に横浜町の避難住民全てを受け入れることは困難と考えているようですが、これに対する県の見解を伺います。

◯庄司原子力安全対策課長

県では、平成23年度に県内市町村の避難施設等の調査を行っており、その結果から各避難所の収容人数を概算で推計しています。その算出方法は避難所全体に避難者を収容した場合を想定しており、青森県武道館については5,000人を収容可能と推計したものです。
避難元市町村である横浜町は、この県の推計をもとに避難計画を作成しており、青森県武道館を5,000人の住民の避難先として定めたものであります。
県では、原子力災害避難対策検討会を昨年立ち上げ、広域避難に係るさまざまな課題について検討を重ねてきています。避難者の受け入れ対策としては、避難所の開設・運営に必要となる要員や資機材、避難所に収容可能な人数について確認することが課題となっていました。
課題の解決に向け、現在、県の関係機関や避難元、避難先の市町村とともに避難住民を受け入れる青森市や弘前市の避難所における避難所開設シミュレーションを行っているところです。シミュレーションでは、共有スペースなどの面積を具体的に見積もったところ、授乳室や更衣室などの共有スペースの確保や居住スペースの通路部分を設定すると避難所において収容人数が減少することがわかってきています。
そのため、青森県武道館の場合、弘前運動公園のほかの施設への収容を検討することとしており、今後、県と弘前市、避難元である横浜町も含め、協議をして避難計画に反映させていきたいと考えています。


◯安藤委員

5,000人全員が弘前に避難しなければならないような事態は起きてほしくないわけですが、もし受け入れる場合にしっかりとした体制をつくることは重要だと思います。しかし、当初、5,000人が収容可能ということで定めたということですが、その根拠を伺いたいのです。今、いろいろな対策を講じたときに授乳室とか更衣室とか通路部分とか、そういうものを設置した場合に5,000人は無理だろうという話になっているようですが、そうであるなら、そういうことに対しての考慮が全くなされないまま5,000人収容ということを考えていたのでしょうか。

◯庄司原子力安全対策課長

避難所においては共有スペースや通路であるとかそういったものは必要であろうということは我々の頭の中にもありました。平成23年度に調査を行ったときには、具体的にそれをどれだけ見積もればいいのかということがわかりませんでしたので、その時点では避難所の全体の面積から収容人数というものを割り出して、避難元、避難先の市町村にデータを提供して避難計画を調整していただいたということであります。


◯安藤委員

その辺のことも考慮したということですが、そこに1,500人もの差が出るというのは、やはり想定のずさんさというのを指摘せざるを得ません。
弘前市がより受け入れる人たちをきちんとした環境でということで、3,500人を武道館、そのほか、克雪トレーニングセンターや野球場など、運動公園全体で受け入れるという意向を示しているわけですが、新聞報道によると、青森県は武道館だけでは収容できないとの市の判断が決まれば、県避難計画検討会で協議し、県として協力できることはしていきたいということが新聞に報じられていました。この協力していきたいということは何に対して協力をするのかについて伺います。

◯庄司原子力安全対策課長

委員がおっしゃるとおり、最終的には避難すべき避難住民全てを収容できるような形にしていくことが必要だろうと思っています。そういったことで、弘前市のほうも運動公園の中にあるので、ほかの施設も使えるということなのですが、具体的にはこれから我々、県が弘前市と横浜町と協議して、どういった形がいいのか、運動公園の中のほかの施設でどれだけ収容できるのかも含めて、収容先について検討したいと考えています。


◯安藤委員

市の意向も酌みながら最終的にどういう形で受け入れるかを検討していくと捉えました。
この受け入れということとかかわりのある件で、前回か前々回の委員会でもお聞きしたのですが、弘前市まで来ていただくためのバスの確保について、今後、検討していくんだという話でしたが、その後、この検討についての変化、少しでも進展があるのかどうかについても伺いたいと思います。

◯庄司原子力安全対策課長

避難手段の確保については、バスも含めて海路避難、民間の船ですとか自衛隊とか、そういったものを含めて、今現在、関係機関と調整しているところであります。その結果がある程度見えて、お示しできるようになりましたら、原子力災害避難対策検討会にお示ししていきたいと考えています。


◯安藤委員

次に、弘前市は横浜町、六ケ所村の避難住民を受け入れた場合、市が備蓄している物資では対応できないとしています。これまでの委員会の質問で、県は毛布などの支援物資については県のほうで備蓄しているという話もありました。この辺のことも加味しながら、弘前市が備蓄しているものでは足りないということを言っていますが、実際にどのような形になっていくのかについて伺いたいと思います。

◯庄司原子力安全対策課長

県では、自然災害、原子力災害の別なく、毛布等の支援物資については現物備蓄、食料、水、生活必需品等については流通在庫備蓄の考えのもと、スーパー、コンビニ、ホームセンター等の民間事業者と災害時における物資の供給に関する協定を締結し、必要な物資を供給する体制としており、東日本大震災を契機に協定の締結先をふやすなどの対応を実施して供給体制の強化に努めているところです。
 しかし、原子力災害の場合、広域避難の実施により多数の住民が避難することとなり、これまでの対応の仕方では対応し切れなくなることが考えられます。このため、実際に調達可能な流通在庫備蓄の量とのバランスを踏まえながら、避難先における現物備蓄として必要な量について検討していく必要があるものと考えています。このため、今年度は避難住民の受け入れ体制の整備に係るシミュレーションを行い、その中で食料、飲料水等、必要な備蓄物資の種類や備蓄量について整理して、県及び市町村の備蓄体制について検討していくこととしています。
 また、原子力災害時において、県及び関係市町村が備蓄している物資が不足する場合には、県及び関係市町村から国の原子力災害対策本部に対し、物資調達の要請を行うこととなっています。


◯安藤委員

県の備蓄、そして市の備蓄、それでも足りない場合は国にということのようですが、弘前市が受け入れるのは横浜町と六ケ所村の合わせて1万2,000人から3,000人くらいの住民で、県が供給できる備蓄と合わせても、県が備蓄しているものは弘前市の分だけではないですよね、青森市でも弘前市の何倍もの人を受け入れるわけで、そうした中で、やはり国との関係が非常に重要になるかと思いますが、この辺の体制というのは、国との連絡体制というか、協議の場とか、どんなふうに組まれているのでしょうか。

◯庄司原子力安全対策課長

先ほども申しましたが、県、関係市町村の物資が不足する場合は、国の原子力災害対策本部に対して物資調達の要請を行うことになります。要請を受けた国の原子力災害対策本部は、総務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省などの物資関係省庁に対して、この要請を伝達して、各物資関係省庁は所管する関係業界団体等に調達要請を実施し、物資が供給、分配されることになります。
例えば、先行している鹿児島県の川内市域の例をとりますと、そこでは鹿児島県内にある物資集積拠点に物資搬送を行って、そこからさらに県内の3カ所の一時集結拠点に物資を搬送しまして、その一時集結拠点から物資を必要とする各施設へ物資が搬送されるという体制になっています。本県の場合、そういった具体的な体制については、国が設置し、本県も構成員となっている東通地域原子力防災協議会の中で今後検討が進められていくものと考えています。
それと、先ほどの収容人数のところで、青森県武道館の3,500人という話がありましたが、弘前市によると、弘前市が出している3,500人というのは市が独自に避難者の居住スペースとして使える面積を算定して割り出したものであるということであります。我々、弘前市と横浜町も一緒になって、避難所の開設シミュレーションを現在行っているところであって、実際、どれだけの人数が収容できるかというのは、その中でこれから精査していくものと考えています。


◯安藤委員

そうしますと、精査することで3,500人よりももう少し受け入れる体制になることもあり得るという認識なのでしょうか。

◯庄司原子力安全対策課長

どちら側にも振れる可能性があるものと思っています。


◯安藤委員

避難される方が苦労しなくて済むような体制を万全にしていただきたいと思います。
そして、先ほどの答弁の中で、これから東通原子力発電所の事故の際の協議の場がつくられるようですが、それには東北電力も加わるのでしょうか。

◯庄司原子力安全対策課長

先ほど申しました東通地域原子力防災協議会は、内閣府の主導で国が立ち上げるものです。今現在入っているのは関係市町村や県ですが、必要に応じていろんな機関の参加を求めて、その議題に応じて必要な機関を呼んで一緒に協議するということになろうかと思います。


「ごみの減量・リサイクルについて」

◯安藤委員

必要であれば東北電力にもということになるのかもしれませんが、もし事故が起きたときの住民の安全をどう確保するかということを自治体だけに任せるというのはやっぱり腑に落ちないので、東北電力側にもそれ相応の責任を持って、この計画にしっかりと加わっていただいて、住民の安全確保という立場でもそれ相応の責任をとっていただきたい、そういう立場で県はしっかりと交渉していただきたいということを申し上げて、この質問は終わります。

次の質問ですが、ごみの減量・リサイクルについて、何度も出されている数字ですが、青森県の場合、1人1日当たりのごみ排出量が1,069グラムで全国46位、リサイクル率が13.7%で全国44位と、ともに全国下位レベルで非常に残念な状況です。こういう状況下で青森県が今までも本腰を入れていたかもしれませんが、さらに本腰を入れて、その数字を改善していこうという姿勢を感じています。
そこで、県内市町村のごみ排出量、リサイクル率の現状について、まず伺いたいと思います。

◯沼岡環境政策課長

平成25年度における県民1人1日当たりのごみ排出量は1,069グラムとなっており、これを上回っている県内市町村は4市、5町村となっています。そのうち、人口規模の大きい青森市が1,160グラム、弘前市が1,310グラムとなっており、県全体の値を大きく上回っている状況にあります。

次に、平成25年度におけるリサイクル率は13.7%となっており、これを下回っている市町村は5市、14町村となっています。そのうち、青森市が11.1%、弘前市が10.9%となっており、県人口の約35%を占める両市のごみ排出量、リサイクル率が県全体の値に影響しています。
県内旧3市の1つである八戸市における1人1日当たりのごみ排出量は1,018グラム、リサイクル率は14.1%となっているところであります。


◯安藤委員

青森市、弘前市が全体の平均を、排出量については上げて、リサイクル率は下げているという現状にあることは弘前市民としては非常に残念です。個人的には必死になって排出量を下げるために努力して生活をしているつもりなのですが、実態として青森市や弘前市の数値が悪いというのは、やはり市民一人一人の自覚の問題にもかかわるのかなとも思います。
それで、県内市町村の状況を見てみると、全国平均よりよい状況にあるのは、ごみの排出量については21市町村で、一番少ないのが新郷村、市ではつがる市が入っています。平川市や黒石市も入っています。そして、リサイクル率については10市町村で、最高が佐井村で、市としてはむつ市や十和田市が挙げられています。こうしたかなりの差があるとも言えるわけですが、そして先ほど紹介があった八戸市については、市としては大変、取り組みとしてよいという話でしたので、この県内3市でもごみ排出量の少ない八戸市の取り組みについて伺いたいと思います。

◯沼岡環境政策課長

青森市、弘前市、八戸市のいわゆる旧3市の取り組みを比較した場合、各市とも広報誌等による普及啓発や生ごみ排出抑制のための取り組みなどを行っていますが、八戸市の特徴的な点は、家庭ごみの有料化と事業系紙ごみの搬入規制となっています。この2つの取り組みは一般にごみ排出量削減に効果的であると言われており、青森市、弘前市では実施されていません。
具体的には、1つ目の家庭ごみの有料化については、八戸市では平成13年6月から指定ごみ袋による家庭ごみの有料化を実施しており、指定ごみ袋には原価にごみ処理手数料が上乗せされています。家庭ごみの収集を有料化することでごみ処理に対するコスト意識を持ってもらい、各家庭でごみの発生が抑えられたり、無料で収集される資源物への分別を促進していると考えられるところです。
2つ目の事業系紙ごみの搬入規制については、八戸市では事業所から出る紙ごみを民間のリサイクルルートに誘導するため、平成20年4月から資源となる紙ごみの市焼却施設への搬入を規制しています。


◯安藤委員

ごみの排出量を減らすために有料化ということが、かなり強調されましたが、排出量が全国平均よりも少ないところについての有料化との関係はどうなのでしょうか。

◯沼岡環境政策課長

家庭ごみの有料化がごみの減量やリサイクルの推進に有効な手法の一つであることは環境省が平成19年6月に策定した一般廃棄物処理有料化の手引によると、ごみ袋1リットル当たり1円ないし2円程度で有料化を実施すると10%強のごみ排出抑制効果があらわれるとされています。環境省では、その取り組みの促進を求めているところであります。
本県における家庭ごみの有料化は、現在、20の市町村で実施されており、実施市町村では可燃ごみや不燃ごみといったごみの種類ごとにごみ処理費用を含む指定有料ごみ袋による有料化制度を実施しているところであります。ちなみに、県内10市の状況を見ると、八戸市、50リットルごみ袋1枚当たり30円で、1人当たりのごみ排出量が1,018グラム、黒石市、45リットルごみ袋が60円で、排出量は954グラムとなっています。平川市、同じく45リットルごみ袋30円で、排出量は932グラムとなっており、いずれも県平均の1,069グラムを下回っている状況であります。


◯安藤委員

この有料化しているところに、つがる市は今、出てなかったのですが、つがる市も有料化しているのですか。

◯沼岡環境政策課長

つがる市は現在、ごみの有料化に取り組んでいません。


◯安藤委員

では、つがる市は有料化していなくても、排出量843グラムで結構上位のところにいるということなので、一概に有料化にするということだけに特化しないでいただきたいなと思います。有料化以外の方法でよい結果を出している事例としてはどういうことが挙げられるのでしょうか。

◯沼岡環境政策課長

先ほども答弁申し上げたとおり、有料化が有効な手法の一つであるということであり、さまざまな施策の組み合わせによりごみの減量化が進んでいくものと考えています。


◯安藤委員

さまざまな方法があるということなので、県がぜひイニシアチブをとっていく必要があると思います。
県が市町村との関係でごみの減量やリサイクルの推進について、どのようなかかわりを持っているのでしょうか。

◯沼岡環境政策課長

ごみの問題についてですが、一般廃棄物の処理責任は市町村にあります。市町村がその事務として適正に処理する責務を有しています。廃棄物の処理及び清掃に関する法律で定められているところであり、県としては、ごみ減量・リサイクルの推進のための県民意識の醸成、あるいはごみ減量・リサイクル推進に当たっての基盤整備、あるいは環境整備というものに力を入れているところであり、繰り返しになりますが、一義的には市町村が処理責任を有するものであります。


◯安藤委員

一義的には市町村ということではあるわけですが、青森県の数値がかなり悪いということなので、青森県もやはり市町村と連携して、このごみの減量・リサイクルの推進をやはり先頭に立って進めていくべきだと思います。
その取り組みの一つとして、行政回収以外の資源回収の利用促進ということで、県内4地区で古紙回収業者が参加事業者から排出される古紙の回収を無料で行うというオフィス町内会という取り組みがあるということを知りました。そこで、県で実施しているオフィス町内会の取り組み状況について伺います。

◯沼岡環境政策課長

県では、市町村と連携して、オフィスや事業所から排出される古紙のリサイクルを促進するため、無料で効率的に古紙回収を行うオフィス町内会のネットワークづくりを進めています。
オフィス町内会は、紙ごみの排出事業者と古紙の回収事業者が会員となり、回収事業者の会員が排出事業者の会員のもとへ回収便を運行し、古紙を無料で回収して、回収した古紙は製紙会社に搬入され、製紙会社においてリサイクルされるという仕組みです。
現在、青森市を区域とする青森オフィス町内会が平成22年2月から、弘前市、黒石市、平川市、西目屋村、藤崎町、大鰐町、田舎館村及び板柳町を区域とする弘前地区オフィス町内会が平成22年11月から、五所川原市、つがる市、鰺ケ沢町、深浦町、鶴田町及び中泊町を区域とする西北五オフィス町内会が平成22年8月から、十和田市、七戸町、六戸町、東北町、おいらせ町、五戸町及び新郷村を区域とする十和田地区オフィス町内会が平成23年10月からスタートし、運営されています。
平成27年3月末現在、青森オフィス町内会は150事業所、弘前地区オフィス町内会は184事業所、西北五オフィス町内会は60事業所、十和田地区オフィス町内会は116事業所、合計510事業所が参加しています。
これらの平成26年度における古紙回収量は、青森オフィス町内会は約230トン、弘前地区オフィス町内会は約149トン、西北五オフィス町内会は約33トン、十和田地区オフィス町内会は約164トン、合計約576トンとなっています。
県としては、今後も市町村、商工会議所などと連携しながら、オフィス町内会の利用拡大を図り、効率的な古紙回収のネットワークづくりを進めてまいりたいと考えています。


◯安藤委員

参加している事業所は510ということなのですが、全体でいうと、この数値は何%ぐらいになるものでしょうか。

◯沼岡環境政策課長

委員の話では分母になる数がわかりかねますので、母数を何と比較した場合のものなのかによるとは思うのですが、いずれにしても、平成23年度から本格的に実施しているオフィス町内会は、年々、回収量を増加しているので、引き続きこの取り組みを進めて参加事業所の拡大を図ってまいりたいと考えています。


◯安藤委員

分母が何かということですが、この事業に参加できる事業所の条件や規模の大きさというものがあるのでしょうか。それとも希望する事業所全てが参加できるのでしょうか。

◯沼岡環境政策課長

参加を希望する排出事業者には積極的に参加していただきたいと考えています。


◯安藤委員

そうであれば、事業所といえるところは全てが対象になるわけなので、そういう意味では510はまだまだ少ない数だと思います。せっかく取りに来ていただいて、それを出せばよいわけで、そういうことでリサイクル率を上げていくという協力になるわけなので、ぜひとも事業所をふやすために県は率先して事業所に働きかけていただきたいと思います。
県は平成27年度までに県民1人1日排出量980グラム、リサイクル率25%を目指していましたが、平成27年度までというと今年度なので、この数値は非常に難しいと思うのですが、今、目標にしている数値というものは大体、いつぐらいにどのくらいに挙げようと考えているのでしょうか。

◯沼岡環境政策課長

ごみの減量化・リサイクル率、いずれも目標年次であります平成27年度達成はなかなか厳しいものがあるものと考えていますが、県ではごみ減量・リサイクル緊急事業を今年度強力に推進しています。テレビCMなどこれまで実施したことがないところまで県は力を入れて取り組んでいます。いつまでということについては明確に答えられかねますが、全国下位レベルに低迷している状況をできるだけ早く脱却したいと考えておりますので、引き続き県民の皆様の御協力を得ながら、ごみ減量・リサイクルに取り組んでまいりたいと考えています。


「ニホンジカ対策について」

◯安藤委員

なるべく早く脱却できるように、できればできるだけ早くということよりも具体的な目標値、あるいはいつまでというようなことも掲げて、ぜひ頑張っていただきたいと思います。私もさらに協力をしていきたいと思います。

最後の質問になりますが、ニホンジカ対策について、私からも若干質問させていただきます。
県内におけるニホンジカの近年の目撃件数について伺います。

◯佐々木自然保護課長

県では、県内のニホンジカの生息状況を把握するため、ニホンジカを目撃したときの通報先等を示したニホンジカ発見時の対応マニュアルを作成し、各方面に配布することで、平成17年度からニホンジカの目撃情報を収集しています。
平成25年度までの目撃件数及び頭数は、平成23年度の19件・19頭が最も多い状況でしたが、昨年から県内メディアで取り上げられる機会が増加したことや、昨年9月に県からニホンジカ目撃情報の通報を求めるチラシを各方面に配布したことから、平成26年度の最終的な目撃件数及び頭数は40件・45頭となっています。
本年度は、4月から7月16日までの間に8件・8頭の目撃情報が寄せられており、昨年度の同時期における目撃数3件に比べ多くなっています。
県では、今後もチラシの配布など、さまざまな手段を通じてニホンジカ目撃情報の収集について、県民に対し周知を図っていきたいと考えています。


◯安藤委員

先ほど畠山委員の質問のときに話がありましたが、岩手県では4万頭ということなので、それに比べれば、まだまだわずかであるわけですが、そのわずかなときに対策も講じなければいけないだろうとも思います。
そこで、本県のニホンジカ対策の取り組みについて伺います。

◯佐々木自然保護課長

県では、本県でのニホンジカ被害を未然に防ぐため、シカ管理の推進方向に関する合意形成、生息状況の把握及び情報収集、そして捕獲体制の整備の3つの柱で初動対策事業を進めています。
まず1つ目、シカ管理の推進方向に関する合意形成ですが、ニホンジカ対策に関する評価・助言を行う機関として、有識者等によるニホンジカ管理対策検討科学委員会を設置するとともに、PRイベントなどにより、県民に対しニホンジカ被害に対する危機意識の啓発活動を行います。

2つ目の生息状況の把握及び情報収集としては、目撃情報の収集を行うほか、去る6月21日に県内の鳥獣保護区等の巡視業務を担う鳥獣保護管理員に対し、ニホンジカの痕跡等に関する研修を実施しました。また、この秋以降をめどに、県南地域を中心として県内各地にセンサーカメラを設置するほか、ライトセンサスや痕跡調査といったモニタリング調査を実施することにしています。

3点目の捕獲体制の整備としては、近年、担い手である狩猟者が減少し、高齢化していることから、公募で希望者を募り、狩猟体感バスツアーを実施し、狩猟に興味を抱くきっかけづくりを行っていきたいと考えています。
また、狩猟者に対するシカの捕獲に関する技術向上を図る研修を実施して、秋以降には地区を限定した上でモデル的にシカの捕獲を行うといった形で条件整備を行っていきます。


◯安藤委員

シカを捕獲した後の対応はどのようにしているのですか。

◯佐々木自然保護課長

シカの捕獲は、一般的には銃で、あるいはわなでということになりますが、捕獲後には召し上がっていただくということもあるかと思いますが、適切に処分していきたいと考えています。


◯安藤委員

北海道や兵庫県、長野県では独自のガイドラインを策定し、衛生的な処理が行われている施設を認証し、消費者の信頼獲得に奮闘しているそうです。そこまではまだ高まってはいないかと思いますが、これからもっとふえたら困りはしますが、こうした道県の対応についても学びながら、適切な対応をしていただきたいと思います。以上で終わります。

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