2015年12月7日平成27年環境厚生委員会

「日本赤十字社への指定管理について」

◯安藤委員

議案第25号「公の施設の指定管理者の指定の件」、日本赤十字社への指定管理について伺います。
日本赤十字社が青森県立はまなす医療療育センターの指定管理者の指定を受けている経緯を伺います。

◯小山内障害福祉課長

青森県立はまなす医療療育センターは、児童福祉法に規定する医療型障害児入所施設及び医療型児童発達センターの業務、障害者総合支援法に規定する療養介護、生活介護及び短期入所等の業務を行うとともに、医療法による病院として、小児リハビリテーションを中心に小児整形外科疾患等の治療を行っています。
当該センターは、昭和36年9月に日本赤十字社青森県支部により開設されましたが、昭和58年に青森県へ移管となり、移管後も日本赤十字社に運営を委託してきました。平成18年度からは指定管理者制度が導入されたため、指定管理期間を5年間として、同社を指定管理者に指定して運営を行ってきましたが、今年度末で2回目の指定管理期間の満了を迎えることになります。


◯安藤委員

今の答弁の内容で、県に移管されたとありましたが、その時点で県が直営する検討をしなかったのか伺います。

◯小山内障害福祉課長

昭和58年に県へ移管となっていますが、その時点で県が直営することは検討しなかったようです。


◯安藤委員

はまなす医療療育センターは、病院という位置づけだということですが、ほかの医療療育の分野でも医師不足が問題になっています。はまなす医療療育センターにおいて医師不足の問題はないのでしょうか。

◯小山内障害福祉課長

現在、はまなす医療療育センターには整形外科、小児科、リハビリテーション科の3科がありますが、過去に小児科医不足により標欠になったことを聞いたことがありますが、現在のところ非常勤を含めて整形外科医が3名、小児科医が2名おり、診療に支障を来している状況にはありません。


◯安藤委員

今回、日本赤十字社を青森県立はまなす医療療育センターの指定管理者とした選定理由を伺います。

◯小山内障害福祉課長

指定管理者の選定に当たっては、青森県指定管理者による公の施設の管理に関する条例第3条の規定により、公募による選定が原則となりますが、同条例第5条の規定により、知事等が当該公の施設の適正な管理を確保するために特に必要と認めるときは非公募によることが可能となっており、はまなす医療療育センターの入所児者の心身の安定、医師等の専門職員の確保を図るためには、設立以来、同センターの施設を運営している日本赤十字社が継続して指定管理者となることが適当であると判断しました。
このため、青森県指定管理者による公の施設の管理に関する条例第5条第3号の規定により、公募によらず、日本赤十字社を平成28年4月から平成31年3月までの3年間の指定管理者として選定したものです。


◯安藤委員

そうしますと、これからも指定管理者は非公募で選定することを継続していくのかという確認と、今回から指定管理期間を3年間とした理由について伺います。

◯小山内障害福祉課長

将来も指定管理者の選定を非公募とすることについては、今後検討することとしています。指定管理期間をこれまでの5年間から3年間とした理由としては、はまなす医療療育センターは平成18年度に指定管理者制度を導入して以来、入所児者に対する適切な処遇や適正な運営などを考慮し、平成27年度までは指定管理期間を5年としてきたところですが、はまなす医療療育センターの現状は、入所者や利用者の減少などから収入も減少傾向にあり、現在のサービスを維持しながら施設経営の改善にも積極的に取り組んでいく必要があることから、指定管理期間を5年間から3年間としたものです。


◯安藤委員

八戸地域の重症心身障害児者の医療療育を担当する分野ですので、子供たちへの最善の医療療育を進めていただくよう要望して終わります。

「産科医療の確保について」

◯安藤委員

2つの課題について質問します。
1つ目は、産科医療の確保についてです。
県によると、分娩を取り扱っている医療機関は平成25年1月現在で34施設です。その内訳は公立病院が11施設、民間病院が2施設、診療所が19施設、助産所が2施設です。その後、新聞報道によれば、黒石病院が平成27年3月に分娩取り扱いを中止し、青森市のあおもり協立病院も平成28年3月に分娩取り扱いを中止する予定となっており、今後、医師の高齢化で産科診療所の中止も予想されることを考えると、産科医療の確保は厳しさを増していると言えます。
そこで、青森県は「産科医療体制の将来ビジョン~安心・安全な出産のために~」を発表し、青森県の産科医療体制における課題を明らかにし、課題解決に向けた基本方針と対策を明らかにしてきました。その成果はどうだったのかお聞きします。
産科医療体制の将来ビジョンについて、1つ目として、同ビジョンでは、「出産においては、新生児の治療を行う小児科医、手術中の全身管理を行う麻酔科医との連携が重要」としているが、本県における対応についてお伺いします。

◯楠美医療薬務課長

県では、本県の産科医療体制における課題を明らかにし、課題解決に向けた基本方針と対策を定めるため、平成19年11月に産科医療体制の将来ビジョンを策定しました。
本ビジョンは、平成19年度から平成24年度までを取り組み期間としていたところであり、取り組み期間は終了していますが、平成25年度以降は平成25年4月から計画期間が始まった青森県保健医療計画において、新たに目標と目標達成のための施策などを盛り込み、取り組んでいるところです。
産科医療体制の将来ビジョンでは、「特徴ある産科医療への対応」の中で、「出産においては、母体と胎児、二つの命への対応が必要であり、新生児の治療を行う小児科医、手術中の全身管理を行う麻酔科医との連携が重要」であるとしております。合併症妊娠や分娩時の新生児仮死など、母体・胎児や新生児の生命にかかわる事態が発生する可能性がある場合は、緊急事態に備えて産科・小児科双方からの一貫した総合的な管理が必要となります。また、心臓病との合併症がある場合など、ハイリスクの妊婦に対する手術で全身麻酔を行う場合には、麻酔科医との連携が必要となります。
このようなハイリスクの母体・胎児、新生児については、新生児の治療を行う小児科医や麻酔科医が配置されている総合周産期母子医療センターや、地域周産期母子医療センターなどに搬送し、適切な治療を行うこととなっており、青森県周産期医療システムにより体制が維持されているところです。


◯安藤委員

そうすると、総合周産期母子医療センターの中では、小児科医と麻酔科医をそろえていくということですが、そのほかのところでは余り重視していないという捉え方になるのでしょうか。

◯楠美医療薬務課長

青森県周産期医療システムそのものは、ハイリスクな妊婦に対して十分な医療体制で出産に当たるということで、この中では、先ほど申し上げましたように、小児科医、麻酔科医との連携が必要になります。例えば産科クリニック等で出産する場合など、ハイリスクではない妊婦に対しては必ずしも麻酔科医や小児科医との連携が直ちに必要とはならないと考えております。


◯安藤委員

ハイリスク以外でも、出産では急に危ない事態となることはあり得るわけで、その辺の対応も、総合周産期母子医療センターを中心とした連携がすごく重要になると思います。その辺を含めて今後もしっかりとした連携を充実してほしいと思います。
2つ目の質問ですが、同ビジョンにある「基本方針と短期的、中・長期対策」に掲げる「女性医師が継続的に就労できる環境づくりの推進」について、その取り組みと成果を伺います。

◯楠美医療薬務課長

平成24年の医師・歯科医師・薬剤師調査によると、全国では全医師数における女性医師の割合は19.7%、約2割となっておりますが、主たる診療科を産婦人科あるいは産科としている医師で見ると、女性医師の割合は31.1%と3割を超え、割合が高くなっています。このことから、女性医師が継続的に就労できる環境づくりは、特に産科医療体制を維持する上でも重要であると考えています。
県では、平成21年7月から出産・育児及び離職後の再就職に不安を抱える女性医師等のための相談窓口の設置やその運営を行う「医師の働きやすい環境づくり支援事業」を実施しています。また、女性医師を含む医療従事者の勤務環境を改善するため、平成26年度に八戸市立市民病院の院内保育所の施設整備、そして県立中央病院の院内保育所施設の改修に対する支援を行い、院内保育が開始されたところです。また、同じく平成26年度には弘前大学医学部附属病院の女性専用コミュニケーションルームの整備に対して支援を行っております。
本県の医療施設に従事する女性医師数は増加しているところですが、このような取り組みが女性医師の離職防止など、勤務環境改善に寄与しているものと考えています。


◯安藤委員

成果が着実に出ているという話でしたが、数字での結果は示していただけるでしょうか。

◯楠美医療薬務課長

具体的に産科に係る医師の女性の統計は公表されていませんが、県全体での女性医師については、平成14年の267人から平成24年には369人と大きくふえています。ただ、これは勤務環境の改善だけではなくて、医師そのものの県内定着に向けた取り組みなども背景になったと考えています。

「「基本方針と短期的、中・長期的対策」に掲げる助産師の活用について」

◯安藤委員

産科を希望する女性医師も割合的には多いということであり、女性医師が医師を続けられるような環境を、新たな対策も講じながら引き続き充実させていただきたいと思います。
3つ目に、同ビジョンの「基本方針と短期的、中・長期的対策」に掲げる助産師の活用について、取り組みと成果をお伺いします。

◯楠美医療薬務課長

産科医療体制の将来ビジョンでは、助産師の活用に関する中・長期的な対策として、院内助産所や助産師外来の具体化の検討を掲げています。
院内助産所、助産師外来の設置は、医師不足や分娩施設が減少していること、妊産婦の妊娠・出産・育児に対する多様なニーズを背景に、地域における安全・安心・快適なお産の場を確保するとともに、産科病院・産科診療所において助産師を積極的に活用し、正常なお産等を助産師が担うことで産科医師の負担を軽減することを目的に進められています。
院内助産所は、緊急時に医師が対応できる医療機関などにおいて、正常経過の妊産婦のケア及び助産を助産師が自立して行うものであり、県の調査では、現在、1病院において行われております。
助産師外来は、医療機関などにおいて、外来で正常経過の妊産婦の健康診査と保健師指導を助産師が自立して行うものであり、県の調査では、現在、6病院で行われているところです。
今後も助産師の能力を生かしていくことが重要であり、本年度、病院や有床診療所などで助産師の就業状況の調査を実施しています。現在、その結果の取りまとめを行っているところであり、今後、集計結果をもとに、助産師の活用について、さらに検討を進めていきたいと考えています。


◯安藤委員

院内助産所が1病院、助産師外来が6病院ということでしたが、その病院名について教えてください。

◯楠美医療薬務課長

院内助産所は八戸市立市民病院です。
助産師外来は、国立病院機構弘前病院、弘前大学医学部附属病院、八戸市立市民病院、八戸赤十字病院、三沢市立三沢病院、津軽保健生活協同組合健生病院の6病院です。


◯安藤委員

こうした助産師を活用した取り組みが6病院で進められているということですが、この取り組みを行っている病院と県の連携について、課題や成果などを出し合う場はあるのでしょうか。

◯楠美医療薬務課長

助産師の活用のみに限った連携はありませんが、県内では周産期にかかわる医療施設が一堂に会しながら青森県の課題を検討する周産期医療協議会などで青森県の周産期医療について共通する課題や対策といったものを議論し、県の施策に盛り込むような検討をしていただいております。

「地域における分娩環境の確保について」

◯安藤委員

こうした助産師の活用をしていない病院もありますので、ぜひこの助産師の活用が広がるように、県も今後、支援していただきたいと思います。
次の質問ですが、地域における分娩環境の確保についてです。県が出している資料では、産婦人科医も助産師もいない自治体は、先ほどお話しした黒石病院も含めると27の自治体に及びます。40市町村のうち27市町村でお産をする場所がないという現実です。このように、出産の場が近くにないということは、若い人たちが定住できずに過疎化が進むということにも結びつきます。住んでいるところから近い病院での出産を望む妊婦は多いと考えますが、県は出産に係る環境の確保について、どのように考えているのかお伺いします。

◯楠美医療薬務課長

県では、全国で最下位クラスであった乳児死亡率などを改善し、安全安心な出産環境を整えるために、平成16年10月に県立中央病院に総合周産期母子医療センターを開設し、同センターを中心に県内4カ所の地域周産期母子医療センターや地域の周産期医療施設等が機能分担と連携により、ハイリスクの母体・胎児や新生児を高次医療機関へ搬送する、青森県周産期医療システムの運用に取り組んでいるところです。
この結果、総合周産期母子医療センター開設前の平成11年から平成15年までの5年平均、そして直近の平成22年から平成26年までの5年平均の周産期に係る各指標を見ると、出生千対の乳幼児死亡率、出産千対の周産期死亡率のいずれも大きく改善した成果が得られたと考えております。
近年、出産数の減少が進む一方で、出産年齢の高齢化などにより、低体重児の出生など、従前に比べリスクが高い出産が増加傾向にありますが、産科医の負担を減らし、さらに安全安心な出産環境を維持していくためには、周産期医療の集約化は避けて通れないものと考えています。
このため、複数回受診することとなる妊婦健康診査は、住所地からなるべく近い場所で受診できるような体制の維持に努めながら、実際の出産についてはリスクに備え、安心できる体制のもとで産むことができるように、今後も青森県周産期医療システムの充実に努めていきたいと考えています。


◯安藤委員

集約化は避けて通れないということで、お産する場所が近場にないということについて、改善は難しいということでしょうか。ハイリスクを持った妊婦の方たちは周産期医療システムによって安心を確保できても、普通分娩の妊婦の方が自分の家の近くで出産できる場所があるということも安心につながるわけです。そういう状況をつくることが必要だと思います。産科医の不足で集約化することがやむを得ないということも分かりますが、県として、さらに改善を図るため、何らかの方策を考えているのか、あるいは考える予定はないのか、その辺について、もう一度伺います。

◯楠美医療薬務課長

まずは現状の産科医療資源については限られております。その中で、一番守らなければいけないのは安全安心な出産体制と出産環境だと思っています。決して乳児死亡率等を昔のように悪化させないことが大前提だと考えていますので、それを念頭に、現在の周産期医療に携わる方々と十分連携しながら取り組んでいく必要があると思っています。
その中で、出産までの間、例えば何回も通院しなければいけない妊婦健診など、これについてはできるだけ身近なところでも受診できるような体制というものを考慮していきたいと考えています。


◯安藤委員

妊婦健診だけは近場でということですが、それは具体的にどういう協議で実現していく考えなのか、もう少し具体的に伺いたいと思います。

◯楠美医療薬務課長

出産を直接取り扱う産科医療機関が減少する中で、これまで県では、可能であれば引き続き妊婦健診は行っていただきたいとの依頼を行ってきました。黒石病院においても、分娩そのものは取りやめになりましたが、妊婦健診については引き続き実施しており、「妊婦検診は近くで受けられるが、出産はより安全な医療機関で分娩できる」といった体制ができるよう話し合いながら進めているところです。


◯安藤委員

黒石病院については理解しました。しかし、この課題は青森県に限らずということもあると思いますが、特に青森県は少子化による人口減ということもあるわけで、若い人たちが安心して子供を産み育てる環境の第一には、分娩の施設が近くにあるということだと思います。現在の状況では、最善を尽くすということが選択すべきことかもしれませんが、産科医を青森県に呼び込むことも含めて、より近場でお産ができる環境をぜひ追求していただきたいと思います。
次に、僻地医療の確保についてです。
新聞報道によれば、県保険医協会が11月1日に佐井村で無医村解消シンポジウムを開き、その中で2008年から医師が1人もいない状態が続く佐井村の医師不足の現状が紹介され、全国から開業医を呼び込むきっかけにしたいとのことでした。佐井村の樋口村長も「人口が減少する中、移住、定住対策として医療環境の整備は不可欠であり、開業医を募るきっかけにしたい」と記者会見で述べています。
そこで、下北医療センター佐井診療所が廃止になった経緯と現在の佐井村の受療状況についてお伺いします。

◯楠美医療薬務課長

佐井村を含む下北半島北通り地区は、下北地域の中核病院であるむつ総合病院から遠距離にあり、また、極めて医師確保が困難な地域であるため、従前から県では僻地医療拠点病院である大間病院と、その周辺に所在する風間浦村診療所及び佐井診療所に自治医科大学を卒業した医師を派遣してきました。
しかし、県全体で配置可能な自治医科大学卒業の医師の人数に限りがある中で、同地域の救急入院医療を担っている大間病院の医師の勤務環境が過重となっているなど、医療の安全性の向上、救急医療の確保などの観点から、医師を初めとする医療従事者を分散して配置し続けることが困難な状況となっていました。
一方、同地区の交通状況が改善され、3つの医療機関を結ぶ時間は大幅に短縮されている状況もありました。
これらのことから、平成17年度に3町村の医師、医療スタッフ、事務長を構成員とする北通り医療連携会議が設置され、これら地域医療の課題の改善に向けて協議が進められました。最終的には3町村長と医療機関の長の合意のもと、風間浦村、佐井村の2診療所の医師を僻地医療拠点病院である大間病院に集約して、大間病院が両村の患者の診療を実施することにより、同地域全体の医療の安定的な確保を目指すこととし、経過期間を設け、平成20年4月から実施されたところです。
現在佐井村では、村内の主な地区から大間病院に通院する患者のための送迎バスや牛滝地区から川内診療所への送迎バスを運行し、それぞれの医療機関で受療しております。また、福浦地区は大間病院の医師が、また、牛滝地区はむつ総合病院の医師が定期的に出向き、医療を行っている状況であります。


◯安藤委員

医師不足の中でやむを得ない措置として3町村の医療体制が大間病院に集約されたということですが、村民の方たちにとっては、やむを得ないといっても、大きな痛手だと思います。
それで、答弁の後半で述べられたように、佐井村が大間病院へ送迎バスを出したり、2つの地区では、大間病院とむつ総合病院から医師が定期的に出向き、診療しているということでしたが、私が聞いたところでは、大間病院には整形外科の医師が常駐しておらず、毎週金曜日に出張した医師の診療があるということです。そのため、金曜日には送迎バスは高齢者の患者であふれるそうです。満員で座ることができない患者もいるということで、家に帰ると立てないほど足が痛いとつぶやく方もいるそうです。
こうした状況の中で、やむを得ない措置とはいえ、大間病院に集約され、佐井診療所が廃止されたということは非常につらい現実だと思います。先ほど佐井村長のお話も紹介しましたが、大間病院や佐井村との間で、現在の状況についての話し合いがあるとか、今よりも改善すべきところはないのかということについての議論の有無について伺います。

◯楠美医療薬務課長

現在、県内には無医地区が24地区、準無医地区が11地区あり、無医地区のうち佐井村が4地区、準無医地区のうち佐井村が5地区となっており、医療資源が非常に厳しい地域となっています。佐井村に限らず、いかに地域医療を守っていくかということが大事だと思っていますので、県としては、個別に佐井村と話し合いはしていませんが、県内全体の僻地医療について、十分、対策を進めていきたいと考えています。


◯安藤委員

今回のシンポジウムなどを契機に、全国にこういう事態を発信して、開業医を呼び込もうという意図もあるようですので、実を結ぶような結果になることを願っています。
そして、答弁にあったことと重複するかもしれませんが、県では医療を受ける環境が厳しい地域がほかにもあるということで、無医地区が24カ所、準無医地区が11カ所とのことです。弘前市の中に該当する地区があると思いますが、このような地域の医療について、どのように対応していくのか伺います。

◯楠美医療薬務課長

県では、先ほど申し上げた無医地区、準無医地区など、医療を受ける環境が厳しい地域においては、青森県へき地医療支援計画に基づき、取り組みを進めているところです。
無医地区等を対象とした巡回診療、僻地診療所等への医師派遣などを行う僻地医療拠点病院の充実に努めるとともに、救急車やドクターヘリを活用した救急搬送体制の強化などにより、僻地医療の確保と僻地等に勤務する医師の支援を進めております。
また、県、弘前大学、県医師会等の参画により運営している青森県地域医療支援センターにおいて、弘前大学の医師修学資金特別枠の貸与を受けた医師などの若手医師の県内定着のため、僻地等も含めて県内医療機関で勤務しながらキャリア形成できるよう、さまざまな支援を行うとともに、僻地医療の現場で求められる総合的診療能力を有する医師の育成を進めることで、僻地医療に従事する医師を確保できるよう取り組んでいるところです。
加えて、近年の道路整備や人口減少などにより、無医地区等の状況や医療ニーズが変化している中、将来にわたって効果的かつ効率的に僻地医療が展開できるよう、今般策定する予定の地域医療構想において、地域に暮らす単身高齢者など、医療機関を受診するための移動に配慮が必要な方が安心して医療を受けることができるよう、在宅医療ニーズへの対応も含めた地域医療提供体制のあり方を位置づけ、実現に向けて取り組んでいき、地域医療の確保に努めていきたいと考えています。


◯安藤委員

僻地といえば、老老世帯、あるいは老人のひとり世帯が多いわけです。こういう人たちが病気になったときに安心して医療を受けられる体制を充実させていくということは喫緊の課題ですので、さまざまな角度から高齢者が安心して医療を受けることができる体制を追求することをお願いして終わります。

「八戸市櫛引地区の不適正処理事案に係る行政代執行について」

◯安藤委員

議案第1号「平成27年度青森県一般会計補正予算(第2号)案」、歳出4款2項5目「廃棄物対策費」について、八戸市櫛引地区の不適正処理事案に係る行政代執行について伺います。
1つ目は、事業者が事業を営むに当たって、県から受けた許可の内容について伺います。

◯福井環境保全課長

当該事業者は、平成4年7月3日付で焼却に係る産業廃棄物処分業の許可を取得し、その後、平成6年2月14日付で事業の範囲にコンクリート固形化を追加する変更許可を受けました。
許可の期間は5年間とされており、当初の許可から5年後の平成9年8月4日付で焼却及びコンクリート固形化について許可の更新を受けていました。


◯安藤委員

今、答弁があった許可で事業を進めていたわけですが、今回の事案について、事業者が不適正処理を行っていると県が認識した時期及びその後の県の対応について伺います。

◯福井環境保全課長

本事案については、平成8年ごろから廃棄物の保管量が徐々に増加したため、県では保管量を減少させるよう指導してきました。
このような中、廃棄物処理法の廃棄物保管基準が強化され、廃棄物の保管に係る高さの制限や保管量の上限などが新たに定められ、平成11年4月に施行されました。
この新たな保管基準に照らした場合、基準に違反する状態であることが認められたことから、この時点で本事案が不適正処理事案に当たることとなったと認識しているところであります。
これを踏まえ、県では法令に適合した保管状態への改善に向けて、立入調査の頻度をふやすなど、事業者に対する指導を強化しましたが、廃棄物の処理が進まず、保管量の増加が顕著となったことから、平成13年1月に廃棄物処理法に基づく改善命令を発出しました。
しかしながら、結果として改善命令が履行されなかったことから、平成14年7月に許可の取り消し処分を行いました。さらに、同年9月には法人に対して、また、平成15年3月には代表取締役に対して、廃棄物の撤去を命ずる措置命令を発出しましたが、資力不足などを理由に命令が履行されなかったことから、平成17年1月に措置命令違反により同代表取締役を刑事告発し、同年5月に有罪判決が確定しました。
また、これらと並行して、排出事業者に対する調査も行い、原因者に対して不適正に処理を委託していたことが判明した計11社の排出事業者に対して、平成15年から平成19年度までの間に合計1,528トンの廃棄物を撤去させたところであります。


◯安藤委員

不適正な処理が判明した後、県もいろいろな対応はされたということですが、排出事業者に対して1,528トンの廃棄物を撤去させたということで、残りはそのまま放置されたということでよろしいのでしょうか。

◯福井環境保全課長

排出事業者に対して、平成15年から平成19年度までの間に1,528トンの廃棄物の撤去をさせましたが、それ以外の部分については許可を取り消した時点である平成14年7月の廃棄物が現在もあるということです。


◯安藤委員

結局は、約10年にわたって、わずかな一部の部分は撤去されたものの、残るものは全てそのまま放置されたということです。こうした対応については、県としてどのように認識しているのでしょうか。

◯福井環境保全課長

平成14年7月に許可の取り消しを行い、その後、県としては原因者である事業者に対して撤去を求めること、それから違反のあった排出事業者に対しては撤去を求めるという形で指導を継続してきたところです。


◯安藤委員

放置されていた産業廃棄物を処理しなければならないわけですが、処理には中間処理と埋め立て処理があります。今回の事案で行政代執行を行う処理の方法はどちらになるのでしょうか。

◯福井環境保全課長

今回の行政代執行についてですが、考え方について最初に申し上げますと、今回県が実施する行政代執行は、廃棄物処理法第19条の8に基づき、生活環境保全上の支障の発生を防止するために実施するものであり、現場の実態に即した対策として事業地外に廃棄物の影響を及ぼさないよう必要な措置を講じるというものであります。
したがいまして、事業者の責任において行われる通常の廃棄物処理である最終処分などとは異なり、県が公費を用いて実施する行政代執行ですので、不適正処理された廃棄物の種類、数量、現場の状況、これらに起因する生活環境保全上の支障の程度、あるいはその発生の危険性等の客観的事情を総合的に勘案して、生活環境保全上の支障の除去等を行うために適切かつ合理的な対策を実施するものであります。


◯安藤委員

生活環境の保全上の支障の除去等の措置として、今回、適切かつ合理的な対策で行政代執行を行うということですが、生活環境の保全上の支障の除去等の措置として、これが最善の方法なのか伺います。

◯福井環境保全課長

この措置については、環境省及び公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団からも、現場の実態に即した適切かつ合理的な措置であると認められたものであり、事業地外に産業廃棄物の影響を及ばせない十分な効果が得られる対策であるとして、同財団による財政支援が決定されたものであります。


◯安藤委員

今回の対策工事を行っても、産業廃棄物は現場に残ることになり、住民の不安は解消されるとは思いません。この点について、県の考え方を伺いたいと思います。

◯福井環境保全課長

本県の対策については、八戸市に対しても行政代執行の実施方針について、これまで十分に説明をしてきました。住民の方に安心していただくためには、八戸市との連携と協力が重要であると考えています。今回の対策工事の実施に当たっては、八戸市から要望なども伺い、工事の内容にその要望を反映させました。
今後も引き続き住民の方に安心していただけるよう、八戸市と十分に情報交換を行いながら、必要に応じて相談したいと考えています。


◯安藤委員

情報交換をこれまでも行ってきたということですが、それでもなお、住民の不安は拭えていないということがあります。現場に産業廃棄物が残るわけですが、残る産業廃棄物の内容は全て把握されていると理解してよろしいでしょうか。

◯福井環境保全課長

今回の行政代執行の実施に当たり、現場の土質や廃棄物の堆積状況の調査など、事前の調査を進めて把握しております。


◯安藤委員

現場はかなり大きな山になっていますので、その中に堆積されている産業廃棄物を全て把握し切れないと思うのですが、事業者から産業廃棄物の内容について、きちんとした帳簿上の報告はされているのでしょうか。

◯福井環境保全課長

これまでも当該事業者や原因者に対して行政処分を進めるに当たって事情を聴取し、必要な書類について確認させていただくという作業を進めたところであります。


◯安藤委員

では、県として自信を持って全ての産業廃棄物の内容について把握しているということでよろしいのでしょうか。

◯福井環境保全課長

全ての廃棄物を把握しているかという質問ですが、全てのものを把握するという観点は、全てのマニフェスト等と、全ての現場に搬入された産業廃棄物を照合して確認する形になると思いますが、行政処分を進めていく段階で、全てのマニフェストが残っていたわけではありません。


◯安藤委員

答弁の後半が理解できなかったので、もう一度、お願いします。

◯高橋委員長

林環境生活部長。

◯林環境生活部長

課長からの答弁を若干補足しますが、この件については平成24年7月に現場直下の井戸から総水銀が検出されたため県では調査を始め、詳細な調査を平成25年度から平成26年度までの2カ年をかけ行いました。その結果として、平成26年12月の時点では、まだ環境に支障を与えていることが認められないと判断したわけです。その後、八戸市と協議を進めていく中で、改めて環境省といろいろと調査や調整を行った結果、現時点では影響は現場に出ていないが、今の時点で行政代執行を前倒しして行うということも妥当であるという判断をいただきました。また、産業廃棄物の内容についてもマニフェスト等で把握できるものは全て把握した上で、将来的に環境に支障を与えない方法であるとして、環境省及び公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団から、今回お示しした工法で大丈夫であるという支援の決定をいただいたところであります。

「狩猟免許保有者をふやすための県の取り組みの進捗状況について」

◯安藤委員

大丈夫だという国のお墨つきがあるということですが、これまでの委員会の答弁で、遮水シートについては30年は耐えられるということでしたが、周辺住民の方たちの不安を払拭するということにはならないのではないかとの不安が残っています。県がこの問題を一歩前に進めたということは評価しても、その内容は若干不満が残るということで、私たちの会派としては反対をさせていただきます。
次は、議案第1号「平成27年度青森県一般会計補正予算(第2号)案」の鳥獣保護費について伺います。
先ほども狩猟免許保有者の件で質問がありましたが、私からは狩猟免許保有者をふやすための県の取り組みの進捗状況について伺います。

◯佐々木自然保護課長

県では、狩猟免許試験の受験者の利便性を考慮して、試験日を日曜日に設定していましたが、今年度からは受験機会をふやすために、これまで年2回だった免許試験を年3回としました。また、地域の要請に応じて臨時に開催する出張狩猟免許試験を別に実施したところです。
また、網猟及びわな猟の免許の取得年齢の制限が、法改正により18歳以上に引き下げられたことを受け、これからの農業の担い手となる青森県営農大学校の学生に対し、狩猟制度についての研修を昨年度から実施するなど、新規狩猟者の掘り起こしに努めています。
これらの取り組みにより、新規の狩猟免許取得者の数は、平成24年度の45名から平成25年度は62名、平成26年度は67名と確実に増加しており、今年度、狩猟免許試験の回数をふやしたということもあり、93名が狩猟免許を新規取得した状況であります。
また、さらに11月21日と22日に八戸市でニホンジカの脅威と狩猟の魅力をPRするイベントを開催しました。また、12月6日と13日には狩猟体感バスツアーを開催して、県民が狩猟に興味を持つためのきっかけづくりを行っています。
特に、狩猟体感バスツアーについては、2回で合計60名の定員に対し、134名の応募がありました。参加者は抽せんで決定しましたが、抽せんに漏れた方に対しても、狩猟免許試験の情報を提供するなどフォローしていきたいと考えています。


◯安藤委員

狩猟免許保有者をふやすための取り組みが着実に実っているということは今の話でわかりました。ニホンジカの脅威が青森県にも徐々に迫り始めているということを考えると、ぜひとも狩猟免許保有者をふやし、ニホンジカの対策を前に進めていただきたいと思います。
この委員会では岩手県の狩猟免許者の状況と対策について調査を行いましたが、女性の狩猟免許者をふやすためのユニークな取り組みの説明を受け、岩手県は青森県の比ではないニホンジカの脅威を持っているとの感想を持ちました。これからも他県の状況を参考にしながら、青森県における狩猟免許保有者がさらにふえるよう頑張っていただきたいと思います。

◯高橋委員長

ほかに質疑ありませんか。
[「なし」と呼ぶ者あり]
ないようでありますから、これをもって質疑を終わります。
これより議案の採決をいたします。
議案第1号中所管分の原案に賛成の方は御起立を願います。
[賛成者起立]
起立多数であります。
よって、原案は可決されました。
議案第18号の原案に賛成の方は御起立を願います。
[賛成者起立]
起立総員であります。
よって、原案は可決されました。
次に、請願受理番号第4号「三協リサイクル産廃の全量撤去を求める請願書」を審査いたします。
本請願について、執行部の説明を願います。──林環境生活部長。

◯林環境生活部長

八戸市大字櫛引字小沢15-3、三協リサイクル産廃の撤去を求める会、代表者若松利雄から提出されている受理番号第4号「三協リサイクル産廃の全量撤去を求める請願書」に関して御説明を申し上げます。
請願事項は、三協リサイクルの産業廃棄物を全量撤去することを求めるというものであり、その趣旨として、三協リサイクルの産業廃棄物を遮水シートで覆う対策工事については、産業廃棄物の全量を現場に残すことになり、地元市民が願う全量撤去にはならないこと、何が埋められているのかかわらず、今後どのような有害物が流れ出るかわからないこと、主食の米づくりや環境上もこのまま放置されることは許されないこと、八戸市議会でも何度か提起されたものであるが、長期間放置してきた県の責任で全量撤去を求めることとされています。
まず、事案の概要についてですが、本事案は産業廃棄物処理業者であった株式会社三協リサイクル処理センターが処理の委託を受けた産業廃棄物を適正に処理できなくなり、事業地内に大量に保管するに至った事案です。
事業地内には汚泥、燃え殻、木くず等の混合物や汚泥及び燃え殻を処理したコンクリート固形化物が野積み等されています。
県では、当該事業者に対し指導を継続したにもかかわらず、産業廃棄物の保管量が減少しなかったことから、平成13年度から行政命令や許可取り消し処分など、廃棄物処理法に基づき必要な対応を行ってきたところでありますが、現在も大量の産業廃棄物が不適正処理されたままの状態となっています。
次に、行政代執行を実施することとした経緯ですが、県では平成25年度及び平成26年度の2カ年にわたり詳細調査を実施した結果、事業地内の産業廃棄物に起因する有害物質が周辺環境に影響を及ぼしていることが確認されなかったため、昨年12月の時点では引き続きモニタリング調査を実施していくこととしていました。
その後、八戸市から中核市移行前における事案の解決を目指し、県とともに支障の除去に向け努力したいとの意向が示されたことを踏まえ、環境省と協議を重ねた結果、ことし2月、環境省から将来的な行政代執行の実施も相当程度予見されることから、現時点で予防的に行政代執行の実施を前倒しすることも可能であること、行政代執行の方法は全量撤去ではなく、事業地外に産業廃棄物の影響を及ばせない封じ込めの措置で足りることとの新たな見解が示されました。
県では、この見解を踏まえ、県民の安全な生活環境の確保の観点から、公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団の財政支援を前提に、行政代執行の実施を前倒しすることとし、具体的な工法としては、産業廃棄物の表面を遮水し、雨水の浸透を遮断することで有害物質の溶出を防止する効果が見込まれること、これまで財団の支援を受けた全国の類似事例においても同様の工法が採用されていることから、廃棄物をなだらかに整形した上で表面を遮水シートで覆うキャッピング等の措置を講ずることにしました。このような方針に基づき、対策工事に係る基本設計等を実施するための補正予算を平成27年2月定例会に提案し、議決いただいたところであります。
今回、県が実施する対策工事は、環境省及び財団からも現場の実態に即した適正かつ合理的な対策であると認められております。その上で事業地外に産業廃棄物の影響を及ばせない十分な効果が得られる対策であるとして、財団からの財政支援が決定されたものであり、生活環境保全上の支障の発生を防止する恒久的な対策であると認識しています。
県としては、今回の行政代執行を着実に進めることで、県民の安全な生活環境の確保に努めていきます。

以上、本請願に関する御説明といたします。

◯高橋委員長

本請願について、御意見等ありませんか。──安藤委員。

「「三協リサイクル産廃の全量撤去を求める請願書」について」

◯安藤委員

受理番号4番「三協リサイクル産廃の全量撤去を求める請願書」について、採択すべきという立場で意見を申し上げます。
住民が当初から深夜にダンプカーで産業廃棄物を搬入する様子を目撃し、その焼却の悪臭などでぐあいが悪くなるなど、三協リサイクルが扱う産業廃棄物への不信感は高く、将来的に今回の行政代執行で大丈夫なのかという環境上の懸念がされています。また、米づくりなどの農家の方々は、風評被害を心配しているところです。
遮水シートの効果については、30年から50年先まで耐えうる保障はありません。
よって、三協リサイクル産廃の撤去を求める会の本請願、「三協リサイクル産廃の全量撤去を求める請願書」については採択すべきと考えます。


◯安藤委員

2点、質問します。
1つ目は、11月18日付の新聞に、東北電力株式会社東通原子力発電所の敷地内に活断層が複数存在し、原子力規制委員会が見解を出したという報道がありました。このことについて質問します。
東北電力株式会社東通原子力発電所の新規制基準に係る適合性審査会合が約1年5カ月ぶりに開催されたが、現在の審査の状況と今後の見通しについて伺います。

◯庄司原子力安全対策課長

東通原子力発電所の新規制基準への適合性審査については、昨年6月の1回目の審査会合において、東北電力株式会社から概要の説明があり、同年7月の2回目の審査会合においては、原子力規制委員会から主要な論点が提示されております。そして、先月27日に3回目の審査会合が開催されたところです。
今回の審査会合では、東北電力株式会社は敷地内断層についての同社の評価について説明を行い、原子力規制委員会からは新規制基準及びガイドラインに沿って慎重に判断することなど、今後の審査の進め方が示されております。
東北電力株式会社では、現在、データの拡充のため、敷地内断層の補足調査を行っており、これらの調査結果も含め、今後の審査会合で敷地内断層についての同社の見解を丁寧に説明していく予定であると聞いています。
県としては、今後とも国と事業者の対応状況を注視していきます。


◯安藤委員

敷地内断層については、原子力規制委員会と事業者側との主張が異なっているわけですが、仮に、敷地内断層に活動可能性はあるということが断定された場合、原子力発電所の再稼動への影響はどのようになると考えているのでしょうか。

◯庄司原子力安全対策課長

原子力施設の安全確保に当たりましては、新規制基準への適合性について、原子力規制委員会の確認を受けることが前提であると考えています。原子力規制委員会での確認には、適合性審査という過程の中で敷地内断層も含まれると考えています。


◯安藤委員

現在審査がされており、その結果、活断層だという断定がされた場合、再稼動にどのような影響が及ばされるかということで聞いていますので、その答弁をお願いします。

◯庄司原子力安全対策課長

東北電力株式会社から出ている新規制基準適合のための事業変更申請については、原子力規制委員会が断層も含めた全ての項目について新規制基準を満たしていることを確認した後に許可がおりると考えております。


◯安藤委員

そうしますと、敷地内に活断層があることが断定されても、規制基準に適合すれば再稼動もあり得るということでしょうか。

◯庄司原子力安全対策課長

新規制基準の安全基準を満たすことが確認されると許可になると考えています。


◯安藤委員

仮に、活断層だと断定された場合、設計をやり直し、耐震性を高めることが再稼働の前提となるのでしょうか。

◯庄司原子力安全対策課長

具体的にはどういうことになるかは、私からは申し上げられませんが、仮に活断層だということになれば、再稼働に当たって安全性がきちんと担保できるということが確認されたあとで許可になると認識しています。


◯安藤委員

これも仮の話ですが、最終的に重要施設の直下に活断層があることが判断されると、どうなるでしょうか。

◯庄司原子力安全対策課長

今の指針では、耐震安全上重要な施設の直下に活断層があるときは、その上に重要な施設などの建物は建ててはいけないことになっていると理解しています。


◯安藤委員

現在、重要施設の直下に活断層があるかどうかの審査がされているわけでして、審査の結果、活断層だと認められれば廃炉にしなければならないという方向性もあり得るのだということも視野に入れた考え方に立たなければならないと思います。
事業者と原子力規制委員会の間で意見が対立しているわけで、安全なくして原子力なしという立場の青森県としては、しっかりとした審査を行うよう求めていただきたいと思います。
次に、医療系廃棄物の処分についてです。
約10年前のことですが、弘前市の方から、ある山に医療系廃棄物などの産業廃棄物が次々に捨てられたという訴えがありました。結果的に全ての産業廃棄物が掘り起こされた事件でした。そのときに、医療系廃棄物もかなり捨てられていました。1つの医療機関だけでもかなりの量の医療系廃棄物が出ていると思います。そして、医療系廃棄物が適正に処理されているのかという不安を常に持っています。
そこで、医療系廃棄物の処分方法について伺います。

◯福井環境保全課長

医療機関等から排出される廃棄物は、感染性廃棄物とそれ以外の通常の廃棄物に分かれ、感染性廃棄物については廃棄物処理法施行令に基づく国の告示で、その処分方法が定められています。
これによると、感染性廃棄物の処分方法は、焼却施設を用いて焼却する方法、溶融施設を用いて溶融する方法、高圧蒸気滅菌装置または乾燥滅菌装置で滅菌する方法などで行うこととされており、適正に処分する必要があります。
なお、感染性廃棄物以外の廃棄物については、通常の一般廃棄物または産業廃棄物として廃棄物処理法で定められた基準に基づき、適正に処分することになります。
このように感染性廃棄物については、特別にその処分方法が定められているため、委託して処分する際には、他の廃棄物と分別し、感染性廃棄物に係る処分業の許可を有している事業者に委託する必要があります。


◯安藤委員

県内で医療系廃棄物を処分することができる事業所の有無について伺います。

◯福井環境保全課長

医療系廃棄物のうち、特別管理産業廃棄物である感染性産業廃棄物に関して、県の特別管理産業廃棄物処分業の許可を有している事業者は、八戸市に2業者、十和田市に1業者、三沢市に1業者、むつ市に1業者の合計5事業者となっています。
なお、これらの事業者は産業廃棄物処分業の許可も有していることから、感染性廃棄物以外の通常の医療系廃棄物の処理もあわせて行っております。


◯安藤委員

5事業者は県が許可をしている事業者ということでよろしいでしょうか。県以外が許可している事業者があれば伺います。

◯福井環境保全課長

今、申し上げたのは県が許可している業者の数です。このほか、中核市である青森市が許可している事業者が1事業者となります。


◯安藤委員

中核市の青森市が許可している事業者を含めると6事業者となりますが、この6事業者には感染性廃棄物も含めた廃棄物について、監査や定期的な指導が適正に行われているのか伺います。

◯福井環境保全課長

県では、毎年1回以上、産業廃棄物処分業者及び特別管理産業廃棄物処分業者の事業所に立入調査を行っています。その立入調査では、医療系廃棄物由来の感染性廃棄物が適正に処理されていると確認しています。
県では、今後も当該事業所に立入調査を行うことによって、必要な場合には指導、あるいは命令を行うなど適切に対応します。


◯安藤委員

適切な処理がされているとの判断を含めて、県はきちんと指導しているということになると思うのですが、不適正に放棄されているようなことが繰り返されてはならないわけです。県全体に不法投棄がないかしっかりと監視するということが重要と思いますが、このことについて、県が行っている事業などがありましたら、教えていただきたいと思います。

◯福井環境保全課長

現在、県に医療系廃棄物の不法投棄があるという情報はありません。医療系廃棄物も含めた一般的な不法投棄対策について申し上げますと、不法投棄未然防止や早期解決のため、各市町村に行動監視員の配置、防災ヘリコプターを使った空中からの監視、監視カメラの設置について、それぞれ対応しているところであります。


◯安藤委員

同じような事件が繰り返さないよう、監視を強めていただきたいと思います。