2017年10月5日平成29年農林水産委員会

「畜産経営体質強化支援資金について」

◯安藤委員

おはようございます。それでは、質問させていただきます。
議案第1号「平成29年度青森県一般会計補正予算(第1号)案」の債務負担行為、平成29年度畜産経営体質強化支援資金の利子補給について、畜産経営体質強化支援資金は、どのような目的でつくられたのかお伺いします。

◯中野畜産課長

畜産経営体質強化支援資金は、平成27年10月のTPP大筋合意を受け、国が平成28年度に創設したもので、畜産の生産基盤の強化により収益性を向上させる、畜産クラスター事業へ取り組む酪農や肉用牛、養豚生産者等を資金面から後押しすることを目的としています。
また、本資金は、償還期間が酪農や肉用牛では25年以内、養豚では15年以内と長期で、しかも金利が低く、対象となる生産者が、既に借り入れしている他の資金を一括して借りかえできることから、生産者にとっては、軽減される償還金相当分を、規模拡大や生産性の改善に向けた新たな設備投資に向けることが可能となります。


◯安藤委員

融資枠及び債務負担行為設定額の根拠についてお伺いします。

◯中野畜産課長

融資枠については、県が、国の畜産経営体質強化資金対策事業実施要領に基づきまして、借り入れ予定者が畜産クラスター計画の中心的経営体であることや、飼育規模の拡大や生産性改善が見込まれるなど、資金の対象者としての要件を満たしていることを確認して設定したものです。
また、債務負担行為設定額につきましては、借り入れ予定者が希望する10億円の融資枠に対して、県が平成30年度から44年度までの15カ年にわたり、年率0.08%相当額を利子補給するために必要な経費として設定したものでございます。


◯安藤委員

融資枠10億円ということになっているのですが、この融資枠が10億円を超えた段階でさらに希望があったときは、どのような対応になるのでしょうか。

◯中野畜産課長

現在のところ、それを超える要望はないのですが、そういう要望があった場合には、その都度予算化をしていくという形になるかと思います。

「畑作振興対策費、産地パワーアップ事業費補助について」

◯安藤委員

次の質問です。歳出6款1項15目、畑作振興対策費、産地パワーアップ事業費補助について、本年度に追加となった事業の内容をお伺いします。

◯坂田農産園芸課長

追加となった野菜・畑作関係の産地パワーアップ事業は、板柳町と六ケ所村における2地区で、その事業費の合計が約1億3,200万円、補助金額が約6,600万円となっています。
それぞれの事業内容は、板柳町では集落営農組織が大豆用コンバインをリースで導入し、六ケ所村では13名の生産者が露地野菜で使用するトラクター10台、ナガイモ等のトレンチャー2台、防除機4台をリースで導入することとしています。


◯安藤委員

当事業の活用が多い野菜の品目と、機械の種類についてお伺いします。

◯坂田農産園芸課長

平成28年度の実績と29年度の計画承認の合計50地区におきまして、当事業の活用が多い野菜、畑作の品目は、ナガイモ、ニンニクが各9地区と最も多く、次いで、大豆が8地区、ゴボウ、大根が各6地区となっています。
また、導入された機械は、最も多いのがトラクターの36台、次いで、ナガイモ、ニンニクなどの収穫機が19台、圃場の耕起に用いるロータリーが13台、農薬散布用のブームスプレーヤーが12台などとなっております。


◯安藤委員

畜産経営体質強化支援資金利子補給も、今の産地パワーアップ事業も、基本的には、最初の説明にあったように、TPP対応ということですので、反対をさせていただきます。
次の質問です。議案第5号「青森県国営土地改良事業負担金等徴収条例の一部を改正する条例案」について、今回の改正内容をお伺いします。

◯野中農村整備課長

国営土地改良事業の受益者負担金と特別徴収金については、土地改良法の規定により、県が農地所有者等から徴収することとされています。
本条例では、土地改良法及び同施行令の条項及び文言を引用して負担金等の徴収に必要な手続きを定めております。
今回の改正内容は、国がことし5月に土地改良法を改正し、旧法第88条第1項の内容を新法第87条の5第1項へ、旧法第113条の2第3項の内容を新法第113条の3第3項へ移動し、「翌年度」という文言を「翌年度の初日」としたことから、本条例においても、引用している部分を改正し、法律の規定とそごが生じないようにしたものです。
なお、今回の条例改正によって、制度自体に変更が生じるものではありません。

「「青森県県営土地改良事業分担金等徴収条例の一部を改正する条例案」について」

◯安藤委員

次に、議案第6号「青森県県営土地改良事業分担金等徴収条例の一部を改正する条例案」について、今回の改正内容を伺います。

◯野中農村整備課長

今回の改正内容は、青森県国営土地改良事業負担金等徴収条例の一部を改正する条例案と同様に、土地改良法の改正に伴い引用部分の改正を行うほか、現在実施していない事業について、特別徴収金の対象事業から除外するものです。


◯安藤委員

土地改良法の改正の概要についてお伺いします。

◯野中農村整備課長

今回の土地改良法の改正は、農用地の利用集積の促進や防災・減災対策の強化、事業実施手続きの合理化が主な内容となっております。
具体的には、農用地の利用集積の促進では、農地中間管理機構が所有者から借り入れた農地について、農業者からの申請によることなく、県が、農業者の同意や費用負担を求めずに基盤整備を行うことができる制度が創設されています。
次に、防災・減災対策の強化では、ため池などの土地改良施設の耐震化について、農業者からの申請によることなく、国や県が、原則、農業者の同意や費用負担を求めずに行うことができる制度や、突発事故の発生により破損した土地改良施設の復旧について、国や県が、災害復旧事業と同一の手続きで迅速に行うことができる制度が創設されています。
また、事業実施手続きの合理化では、国や県が土地改良事業を行う場合の申請人数要件の廃止や、老朽化した土地改良施設を更新する場合の同意徴集手続きの簡素化などの措置が講じられています。


◯安藤委員

農地中間管理機構と連携した基盤整備事業について伺います。
まず、現在実施している事業との違いは何か伺います。

◯野中農村整備課長

本事業は、現在実施している事業と、事業対象となる農地の条件、農業関係者の申請・同意、受益者負担の3点において制度が異なります。
まず、事業対象となる農地について、本事業は、農地中間管理機構が所有者から借り入れた農地を担い手に集積集約するために必要な基盤整備を目的としていることから、農地中間管理機構が借り入れた農地を事業の対象としています。次に、関係農業者の申請及び同意について、本事業では法律上の要件となっていません。また、受益者負担について、本事業では、事業に要する費用を国、県、市町村で負担し、農業者からは徴収しないことが法律に規定されています。


◯安藤委員

農業者の同意を得ずに事業を実施すると、農業者の意向が事業に反映されないのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

◯野中農村整備課長

本事業の実施に当たって、農業者の同意は法律上の必須要件となっていませんが、基盤整備を行った農地において、収益性の高い農業が展開されることを通じて事業の効果を最大限発揮させるためには、農業者の意向を事業に反映する必要があると考えています。
このため、青森県で本事業を実施する場合には、農地中間管理機構と密接に連携して農業者の意向を的確に把握した上で、計画と実施のそれぞれの段階で可能な限り事業に反映する考えです。


◯安藤委員

そもそも基盤整備が実施されていないような農地は、農地中間管理機構で借り受けることは少ないのではないかと思うのですが、その辺の実態はどのような状況でしょうか。

◯赤平構造政策課長

農地中間管理事業では、借り受ける農用地について、法律に基づいて基準を定めております。それは法律にも規定されておりますけれども、農用地として利用することが困難であるものは対象としないことにしておりまして、機構の事業規程にもその旨、規定しております。よって、申し込みがあった農用地については、一旦は引き受けますけれども、翌年度までにマッチングする相手が──委託先の市町村で一生懸命探すわけですけれども、どうしても見つからない場合は借り受けないということを決めて、通知するという仕組みになっております。


◯安藤委員

農地中間管理機構が絡む問題ですが、この点について、私ども日本共産党は、今回の土地改良法の一部を改正する法律案には反対をしました。それは、政府は農地の基盤整備について、土地所有者の費用負担を求めないことで条件のよい農地をふやし、農地の集積を進めるということになっていますが、しかし、実態は、条件が不利な土地ほど機構は借り受けないため、集積が進んでいないという問題があると考えています。機構の実績が上がっているのは、地域の話し合いと自主的な取り組みがあり、借り手が見つかるところだけです。重要なのは、そうした取り組みに直接財政支援することだという考えから、この国会での論議の中で、日本共産党とオール沖縄の議員との共同で修正案を提出しているという経緯がありますので、この土地改良法の改正そのものに反対しているという立場から、この案件については反対をさせていただきたいと思います。

「クロマグロ資源管理に係る漁業共済制度について」

◯安藤委員

私から1点質問します。クロマグロ資源管理に係る漁業共済制度についてです。
前の委員会で、クロマグロの資源管理に係る質問をした中で、漁業共済制度、そして、積立ぷらすという新しい制度ができたので、ある程度収入の補償ができているというような答弁をいただいていたので、それなら大丈夫なのかなと思っていました。しかし、日本海側の漁業者と懇談する機会がありまして、ある漁業者は、そういう漁業共済の仕組みを余り知っていなかったし、それから、資源管理について、最初の月で予定の枠を漁獲してしまったということで、非常に大変な状況だという感想が出されていました。
ある漁協の方からは、この積立ぷらすというものがあっても、仕組みとして前年までの3年間の平均を基準とするので、そもそも比較する前の漁獲額がかなり低くなっているので、なかなか大変だというお話を伺ってきました。そこで今回、漁業共済制度について伺いたいと思いました。
1点目の質問ですが、資源管理などで漁獲金額が減少した場合、漁業共済制度で減収は補填されるようですが、資源管理前後の共済金の支払い状況はどうなっているのか伺います。

◯松坂水産振興課長

漁業共済制度において、クロマグロを漁獲する漁業者が加入する漁業区分は、主に、10トン未満の漁船による、クロマグロを漁獲する釣り、はえ縄を初めとしまして、イカ釣りや刺網などの漁業種類も対象とする小型合併、それから、大型定置、小型定置の3種類があります。
漁業共済組合によりますと、この3つの漁業区分を合わせた共済金の漁業者への支払い実績は、資源管理導入前の平成24年度から平成26年度の3カ年の平均が約5億4,500万円であるのに対し、資源管理導入後の平成27年度と平成28年度の2カ年平均では約5億7,000万円となっており、2,500万円ほど増加しています。
なお、支払い実績が増加した主な原因は、平成28年度のスルメイカの不漁によるものと聞いております。


◯安藤委員

そもそもの話なのですが、この漁業共済の加入率というのはどの程度なのでしょうか。

◯松坂水産振興課長

クロマグロを漁獲する漁業者の共済制度、いわゆる漁業共済と積立ぷらすの加入率ですけれども、9割程度と聞いております。


◯安藤委員

まずそこの点でいえば、積立ぷらすという制度もあると思いますが、9割ということは、1割の方は減収があっても補填されないということになりますので、漁業共済制度への加入率を向上させていくということが大事かと思います。そういう点についての取り組みなどはどのようになっていますか。

◯松坂水産振興課長

県としては、この制度は漁業経営の安定を図るために非常に重要だと認識しておりますので、漁業共済組合と連携しまして、漁協研修会やラジオ放送、それから、新聞等の広報を通じて制度の周知と加入促進を図っている状況でありまして、今後もそうした取り組みをしっかり進めていきたいと考えております。


◯安藤委員

資源管理によって、今後ますます漁獲金額が減少していった場合でも、漁業共済制度で十分に補填していけるのかどうか伺います。

◯松坂水産振興課長

漁業共済制度では、漁業共済金の支払い基準となる基準漁獲金額は、原則として、過去5年間の漁獲金額のうち、最高と最低の年を除いた3年の平均とされておりますことから、急激な減少にはならないものの、漁獲金額が減少し続けた場合には、受け取れる共済金も減少していくこととなります。
このことから、県としましては重要な課題と捉えまして、国に対し、平成27年度、28年度と、漁業共済金で十分に減収を補填できる仕組みとなるよう要望してきたという状況でございます。


◯安藤委員

県としても、この問題点を認識して国に要望しているということですので、しっかりと実を結ぶように、引き続き国に要望を繰り返し行っていただきたいということを申し上げて、終わります。