2016年7月21日平成28年商工労働観光エネルギー委員会

「エネルギー産業振興戦略について」

◯安藤委員

エネルギー産業振興戦略について伺います。
最初の質問は、本年3月に策定したエネルギー産業振興戦略における太陽光発電導入の基本的な考え方について伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

太陽光発電については、固定価格買取制度の導入以降、メガソーラーを中心に急速に導入が進み、未稼働案件も増加しているほか、国民負担の増大も懸念されています。
そこで、エネルギー産業振興戦略では、売電を目的とした大規模な太陽光発電を拡大していく方向性よりも、分散型電源として住宅用、事業所用を中心に、より効率的なエネルギーマネジメントシステムを普及していく方向性を重視して施策の展開を図ることとしています。
また、太陽光発電設備等の施工のみならず、発電モニタリングやメンテナンス、トラブル対応などのO&M(オペレーション・アンド・メンテナンス)ビジネスについても新たな関連産業として期待できることから、産学官金からなるネットワーク組織を通じて県内企業の参入を促進していくこととしています。


◯安藤委員

これまでの委員会でも太陽光発電及び風力発電について質問してきたのですけれども、これまでの答弁の中で、あるいは、今回出されたエネルギー産業振興戦略の中にも明記されているのですが、大規模なメガソーラーを拡大していく方向性よりも、分散型電源として住宅用、事業用を中心に、より効率的な導入を進める方向性を重視していくとしていますが、大規模なメガソーラーの導入については、どういう状況か伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

基本的な考え方としては、大規模なメガソーラーは、風力も同じですが、資本力の大きい、いわゆる首都圏等の大規模な企業が事業主体となるケースが多く、統計的には、県内の大規模なメガソーラーの25%が青森県内資本ですが、残り75%が県外資本となっています。そもそも県としては、エネルギー産業振興戦略において、青森県の地域振興及び雇用の創出を目指しているという観点からすると、県外資本による事業参入については、国の制度ですから、否定するものではありませんが、それについて我々が支援するということではなく、県内企業に参入していただくことについて支援するという基本スタンスにあります。


◯安藤委員

2015年10月1日から、ユーラスエナジーホールディングスが六ヶ所村にユーラス六ヶ所ソーラーパークの運転を開始したということで、最大出力11万キロワット、操業中のメガソーラーでは国内最大、広さは2カ所あわせて253ヘクタールで、東京ドーム約50個分に相当すると言われています。
また、青森市から弘前市に向かう途中の国道7号線沿い、青森市新城に大規模なメガソーラーが建設されているのを見ています。さらに、この隣接地、青森市新城山田の森林に、今、紹介したメガソーラーの規模を上回る広大な面積のメガソーラーが建設予定と聞いています。現実的に大規模なメガソーラーがこれまでも建設されてきたし、これからもそういう予定が目白押しですが、県の方針にそぐわないような状態でも、事業者の考えに沿って国の認可が得られれば、大規模なメガソーラー計画は進んでいくという現実になっています。
こうした体制に対して、県は口を挟むことは一切できないという仕組みになっているという理解でよろしいでしょうか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

メガソーラーを初めとするソーラービジネスについては、国の固定価格買取制度に基づいて導入が進んでいます。したがって、個別の事業については、経済産業省が認定をして固定価格買取制度で進めていくシステムになっていますので、当然、国が個別の事業について、審査した上で認めていくということです。
一方、私どもエネルギー総合対策局は、個別の案件について許認可の権限を持っているわけではありませんし、基本的な考え方は、エネルギー産業振興戦略に示しているように、県内企業のエネルギーを活用した地域振興と雇用という部分での支援をしていこうということです。首都圏等の大規模事業者がメガソーラーを建設するということについては、固定価格買取制度で認められている、国の制度の中で進めていることですので、私どもがそれについて、否という権利は何もありませんので、その制度の中で進められていると認識しています。


◯安藤委員

国はメガソーラーの環境アセスメントは義務づけていないわけですけれども、青森県はどのような体制になっているのか伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

環境アセスメントについては所管外になりますので、私どもがお答えする部分ではないのかもしれませんが、情報としては、環境生活部が所管する条例の中で対象にしていると聞いています。


◯安藤委員

先ほど紹介しました、今、計画されている青森市新城山田の大規模なメガソーラーについては、保安林解除による保安林伐採なども聞いていますけれども、このような中で、土砂の流出などが心配だという声も寄せられているのですが、これらの問題については、青森県としてはどこが対応しているのでしょうか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

ただいまの保安林の話であれば、当然、農林水産部に関するものだと認識していますが、いずれにしましても、個別の法律は個別の所管課が所管して、当然、クリアしたものが国の制度で認定されるわけですから、法律に基づかない事業を経済産業省が固定価格買取制度で認めるはずはないのではないかと思います。


◯安藤委員

これは要望なのですけれども、大規模なメガソーラーによる環境問題が全国的にも危惧される事態も起こっています。青森県としても、今、お話にあったように、さまざまな問題をクリアして経済産業省から認可されているということですけれども、その認可に当たって、青森県としてもそれぞれの部署が監視や指導をしっかり行って、問題が大きくならない前に解決を図っていただきたいということを申し上げておきます。

「風力発電導入の基本的な考え方について」

◯安藤委員

次の質問ですが、風力発電導入の基本的な考え方について伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

本県は風力発電の導入量が7年連続日本一となるなど風況に恵まれた風力発電の適地であり、現在も下北半島、津軽半島の地域を中心に多くの発電事業が計画されています。
一方、風力発電事業は、建設費等が多額であるほか、事業開始までの環境アセスメント等に相当の期間を要するなど、資金や人材、技術の確保の面で中小規模の多い県内企業が参入しにくい状況となっています。
このような中で、先般、電気事業法が改正され、平成29年4月から風力発電所に定期安全管理検査が導入されることとなったことから、県内企業によるメンテナンス業務への参入拡大を図ることを目的に、メンテナンス業務に係る技術研修を実施することとしました。
こうした研修を重ねていくことにより、県内企業のメンテナンススキルアップや将来のメンテナンスを担う人材の育成が図られ、受注機会の拡大や雇用の創出につながっていくことを期待しています。


◯安藤委員

これまでもお話を伺っている中で、風力発電によって青森県の雇用がふえていく、そういうつながりを持っていくことが青森県の経済振興につながっていくということですが、一方では、青森県の立場としては、風力発電を地域振興につなげるためにも、地元の参入につなげていきたいが、現実にはなかなか進んでいないということで、県外事業者が事業主体となっているのが現状です。規模も大きくなっていて、調査してみたのですが、2015年3月末で214基、計画中のものも合わせると760基から770基になるといいます。既に稼働しているところでは、六ヶ所村で稼働している日本風力発電の二又風力発電所が34基で、計画中のものでグリーンパワーインベストメントが稲庭田子風力発電37基、深浦風力発電40基、下北風力発電40基と、3カ所で117基、インベナジー・ジャパン合同会社の稲庭風力発電が60基と驚くほどの大規模化が進んでいます。海外資本もふえています。
このような状況について、風力発電を推進する立場として青森県はどのように受けとめているのか、できましたら局長に所感を伺いたいと思います。

◯八戸エネルギー総合対策局長

今般策定いたしましたエネルギー産業振興戦略の中では、風力発電については、まだ設備認定を受けていない計画もたくさんあります。こうした計画を想定して、ある程度事業規模を出しているところです。
雇用創出効果については、風力発電については、発電事業そのものは大規模なものはなかなか見込めない状況ですが、来年4月から定期検査制度がスタートしますので、その準備段階、今年度からメンテナンス事業への県内企業の参入、その基盤づくりとして、県としては人材育成という部分で支援事業を実施していくこととしているところです。
こういったメンテナンス業務がかなりの人手を要すると思いますので、そういった部分での県内企業の育成を図って、雇用促進を図っていきたいと思っています。


◯安藤委員

かなり大規模に風力発電が進んでいるということに対しての所感はなかったようですけれども、以前は風力発電には環境アセスメントが義務づけられていませんでしたが、2012年の法改正で義務づけられ、所管は違いますけれども、青森県環境影響評価審査会で扱う風力発電事業は爆発的にふえたと言われています。
保安林伐採が問題になったり、バードストライク問題や風車の影問題、急斜面での土砂の流出の懸念、近隣住民の健康被害に対する懸念など、風力発電所に絡み環境アセスメントの実施主体である環境保全課からの情報提供はあるのか伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

環境保全課からは環境アセスメントの段階、段階の時点で公表されますので、その段階で私どもにも情報提供という形で情報はいただいています。


◯安藤委員

そうしますと、環境アセスメントで若干台数を変えたり、位置を変えたりとかということもあると思うのですが、その辺の変化についても情報として入ってくるのでしょうか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

環境保全課からいただく資料は、その時点の状態、環境アセスメントの方法書とか準備書を縦覧している時点での報告ですので、それを見た限りでは、変更になっているかどうかというのはわからないということになります。あらかじめ我々が事業者から聞いた内容と比較すればわかるということになりますが、数もかなりありますので、その都度その都度、どのように変わっているかというところまでは承知していないところです。


◯安藤委員

風力発電導入に向けた課題と今後の取り組みについて伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

風力発電の導入拡大を進めるに当たっての課題としては、まずは、送電線の容量不足が挙げられますが、そのほかに太陽光発電と比較すると、開発のリードタイムが長いことなども課題となっており、このリードタイムが長い要因の一つとして、環境アセスメントの手続に相当の期間を要することが挙げられています。
このような状況を踏まえ、国では、風力発電等の早期導入に向け、環境アセスメント手続期間の半減に向けた前倒し環境調査の実証事業を行っているほか、環境影響評価に活用できる環境基礎情報(貴重な動植物の生息・生育状況等)のデータをデータベース化するとともに、これを提供する仕組みづくりを行っているところです。
これらの取り組みにより、風力発電事業者は、環境アセスメントを実施する際に活用できる基礎的な情報を早期に入手できるほか、初期の立地調査や現況調査を省略、または効率化できることなど、環境アセスメントに係る期間の短縮が期待されているところです。


◯安藤委員

環境アセスメントのリードタイムが長いということで、その半減に向けていろいろな仕組みづくりがされているということですが、環境アセスメントをしっかり行うという観点は、こちらの部署でもしっかり押さえていただきたいということを要望したいと思います。
1点、再質問したいのですが、耐用年数の終わった風車についての取り扱いについては、どのように考えられているのか。特に、環境アセスメントを経ないでつくられてきたものが大半ですので、補強などして継続する場合は、改めて環境アセスメントを受けることになるのか。もう一点、使われなくなったものはどうしていくのか、その方向性は定まっているものなのか伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

風車のメンテナンスは、先ほど申し上げたとおり、環境アセスメントを受けようが受けていまいが、定期点検をすることが法律に定められておりますので、何かふぐあいが出てくると、当然、車と同じように更新していくことになります。
一方、耐用年数が過ぎて事業者が廃止しようという機器については、そもそも固定価格買取制度の単価の中に廃止経費が含まれていますので、当然、事業者がその経費を使って廃止措置をすることになります。ただ、国としては、その風車をそのまま廃止するということは資源の無駄になりますので、太陽光も同じですが、再利用の可能性について、いろいろ調査研究をしていると聞いています。


◯安藤委員

私たちの立場としては、再生可能エネルギーに軸足を移していくということが大変重要だと思いますので、風力にしても太陽光発電にしても、しっかりと発展していくように県としても力を入れていただきたいということについては申し上げておきたいのですが、それに付随したたくさんの問題があるということも現実ですので、それらの問題点の解決に向けてもしっかりと他部局との連携で進めていただきたいと思っています。
これは要望ですけれども、例えば、風力発電について、イギリスなどでは風車を人家から5キロメートル離すことが義務づけられたりしているのですけれども、日本においては、そうした規制というものがしっかりと定まっていないように思います。ぜひとも日本においても、立地条件などの制度化を構築することも青森県として国に求めていただきたいということを申し上げて質問を終わります。

「青森UIJターン就職を促進するための県の取り組み内容と成果について」

◯安藤委員

私からは2点質問します。
1点目は、青森UIJターン就職を促進するための県の取り組み内容と成果について伺います。

◯金子労政・能力開発課長

県では、大都市圏等に在住している県出身者の県内企業への就職を促進し、人財還流を図ることを目的とした事業を実施しています。
具体的には、東京において、UIJターン就職希望者と県内企業とのマッチングの場を提供しているほか、県内企業に対し、国内最大級の転職フェアへの出展の支援、それから、大手転職サイトへの採用広告の掲載支援を行っており、それにより、昨年度は32名の県内就職を実現しました。
今年度は、これらに加え、地域活力振興課と連携し、移住フェアでの就職相談に対応するなど、取り組みの強化を図ることとしています。
県としては、一人でも多くの人財が本県で就職できるよう、UIJターン希望者の県内就職と県内企業の人財確保を支援してまいります。


◯安藤委員

県の取り組みで32名の方が県内就職が決まったということですが、もしわかりましたら、その内訳などを伺いたいのですが。

◯金子労政・能力開発課長

場の提供ということで労政・能力開発課はやらせていただいており、具体的に雇用、契約に立ち入っていないところがあり、具体の32名の方の詳細、名前ですとか業種とか、そういったものについては、あいにく把握をしていません。


◯安藤委員

別に名前までは知りたいと思わないですが、大体、八戸、青森、弘前などからすると、どういうところが多いのかというのがもしわかればと思いました。そういうのはわかりますか。

◯金子労政・能力開発課長

この事業は委託事業で行いましたが、その受託事業者からの報告によりますと、青森、八戸地域からの企業が多く参加をされ、契約に至った方についても、青森、八戸地域の方と承知しています。
そして、その方の年齢ということでは、やはり中堅の方が多いと、そのあたりまでは報告を受けているところです。


◯安藤委員

青森UIJターン事業の中で、人財マッチングや転職フェア参加の取り組みをされてきたと思うのですが、いただいた資料を見てみますと、人財マッチング出張企業の中で、青森市が15、八戸市が10、弘前市が7、もう一つ、転職フェア出展企業については、青森市が3、八戸市は5、弘前市が2となっていたのですが、これらの取り組みに対して、県のほうで枠というのですか、青森市からどのくらいとか、企業がどのくらいの数とか、そういうある程度の条件をもって企業を募集するのか、あるいは、希望があれば、どの企業でも参加できるのか、そのあたりについて、どうなっているのか伺います。

◯金子労政・能力開発課長

参加企業の選定については、そういった地域の枠などは設けておらず、応募のあった企業について、フェアを行う場所の枠などはありますので、その枠の範囲内におさまるように選定をさせていただいたものです。地域バランス等を考慮した枠、制限というものは設けていません。


◯安藤委員

こうした取り組みの中で、青森に戻ってこられて就職ができた方も、それから、企業側も、成果があれば大変喜ばしいことだとは思うのですが、32名の県内就職ということをよしとするのか、もっとたくさんの方が成果を得られるような形をとれれば、とっていただきたいと思うのですが、企業側、あるいは、UIJターンの対象者からの意見や要望などが出されていれば、どのような声があるのか伺います。

◯金子労政・能力開発課長

人財マッチングの場や転職フェアの場などに、私どもも参加しています。その中で聞いた範囲では、具体的にその方が32名に入っているかは定かではないですが、意見としては、青森県にどんな企業が存在するのかを知らないという話、移住とやはりセットで就職というものを考えなければいけないということもあり、そういった情報がすぐにわかるといいという要望を承っております。それに基づいて、今年度、地域活力振興課とも連携して移住と就職相談とをセットでお答えするようなこと、それから、県東京事務所に配置しています、青森Uターン就職支援センターの相談員について、有楽町の東京交通会館内にある移住に関する青森県の窓口に出ていって話を伺うなど、移住と就職との情報を利用者がすぐに得られるような形に、取り組みを進めているところです。


◯安藤委員

今、お話にあったように、移住するということはかなりの決断が要るわけなのですけれども、いろいろな思いで、まずこちらに帰ってきて、それから就職先を探そうという方たちもいるのですけれども、こうした青森に来てから仕事を探そうという人たち、実質UIJターンを決断して、青森に来た方たちへの支援というのは何か考えているのでしょうか。

◯金子労政・能力開発課長

今、紹介させていただいた事業は、首都圏に在住している方を対象としたもので、念頭に置いているのは、まだ首都圏等に在住している方です。仮にこちらに戻ってきて仕事を探している方ということでしたら、ハローワークとかジョブカフェとか、そういったところで仕事探しの手伝いというものをさせていただいているところです。実際、アスパムに私ども「ジョブカフェあおもり」の窓口を置いていますが、そういった相談というものも承っているところです。


◯安藤委員

県外にいる方たちや都市圏で暮らしてきた方たちが、青森に戻ってきたということに特化した特別な就職支援などというのもぜひ考えてみたらどうかなと思います。私の周りにも、親の実家がこちらにあるということで、いろいろな状況の中で東京で暮らしていたが青森に帰ってきている方だとか、それから、Uターンしてきた方たちとかと接する機会があるのですけれども、そういう方たちの声を紹介したいと思います。
さきに言った、初めて青森に暮らしている若い方なのですが、仕事はしているけれども、正規の仕事になかなか就けなくて苦労している。もう少し青森県で正規の仕事に就きやすいような状況があれば、こちらで長く暮らそうと思うけれども、今、揺れているという話もありました。そしてまた、初めてこちらの冬を経験した中で、まず、雪に大変苦労している。朝、仕事に出る前に雪片づけという大きな仕事があって、特に大きな雪の塊などを置いていかれると、若い自分でもそれに大変苦労していると。こういう青森の冬の条件をやっぱりここに来て暮らそうと思えるような環境をぜひつくってほしいという声もいただいています。
それからまた、こちらに帰ってきてから就職を探そうという方たちの声なのですが、3月の終わりくらいにこちらに帰ってきて、まず最初に出費でかかったのが冬タイヤを買わなくてはいけなかったと。その方はUターンでしたので、冬の経験はある方ですけれども、青森ならではの出費などもあって、こういうところに支援があると助かるなという声がありました。
そしてまた、就職が決まらずに帰ってきた方ですが、まず、住まいのところでアパートの契約ができないそうです。就職先がないと契約ができないということで、ここに大きな苦労をしたという話も伺いました。
実際に青森に帰ってここで暮らそうという方たちが、こうしたいろいろな問題に直面しているわけですけれども、若者たちを青森県に移住させようという思いをいろいろな形で示していくことが重要だと思います。若者のUIJターンの促進を図るという構えがあるのであれば、こうした若者たちの声にしっかりと耳を傾けて施策をいろいろな角度から展開していただきたいと思います。このことを要望しておきます。

「旧尾太鉱山の鉱害防止対策について」

次に質問に移ります。旧尾太鉱山の鉱害防止対策について伺います。2012年と2013年、そして、昨年2015年の雪解け時期に未処理廃水の流出事故が発生していますが、ことしの雪解け時期の様子はどうだったのか。昨年進められた送水管増設工事はことしの春先に間に合ったのかどうか、この辺について確認をしたいという思いから質問します。
今春の木戸ヶ沢処理施設への堆積場廃水の流入状況について伺います。

◯相馬商工政策課長

木戸ヶ沢処理施設において処理する旧尾太鉱山木戸ヶ沢堆積場の廃水については、浸透する雨水だけではなく、3月から5月までの融雪期に浸透する雪解け水からも発生しているものです。
いずれも、木戸ヶ沢処理施設において処理することになりますが、今春の処理廃水については、3月が1万6,324立方メートル、4月が1万7,303立方メートル、5月が1万3,693立方メートルと、過去3カ年の流入量と比べ最も少ないものとなりました。
その理由としては、例年、累計で10メートルを超え、廃水量の増減を左右する降雪量が今春は8メートル程度と少なく、木戸ヶ沢堆積場に浸透する雪解け水についても同様に少なくなっていたと考えられますが、休廃止鉱山や堆積場から流出する坑廃水については、その流出量の多寡にかかわらず、必要な処理を行うこととしており、木戸ヶ沢堆積場から流出する廃水についても、同様の処理を行っているところです。


◯安藤委員

昨年度の木戸ヶ沢処理施設の未処理廃水流出を踏まえた鉱害の未然防止について伺います。

◯相馬商工政策課長

昨年4月、旧尾太鉱山木戸ヶ沢処理施設から一部未処理廃水が流出したことについては、昨年4月3日の記録的な大雨と、その前後において気温が比較的高く推移したこと等が相まって発生した大量の雪解け水が木戸ヶ沢堆積場の地中に浸透し、処理能力を超える量の廃水が集水施設へ流入したため生じたものと考えられます。
このような突発的な異常気象については、今後も発生すると予測されることから、地方自治体への技術支援を行っている独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の助言を得た上で、国に対し、昨年度の補助事業として送水能力向上のための送水管増設工事を緊急要望し、昨年12月22日には、木戸ヶ沢処理施設集水施設から中継槽への原水導水管1本の増設を完了したところです。昨年4月のような大量の廃水が流入した場合であっても、その機能を十分発揮させていくことを確保したところです。
また、今年度は、木戸ヶ沢堆積場周辺に整備しております山腹水路についても、左岸の「改修工事」及び右岸の「法面復旧工事」を行い、木戸ヶ沢堆積場自体への雪解け水や雨水など表面水の流入防止機能を強化することとしており、木戸ヶ沢処理施設及び堆積場関係施設の両面から、未処理廃水の流出を未然に防止していくこととしています。


◯安藤委員

全国で予想を超えるような雨量が集中的に見舞われる事態が発生しているのですが、今回の工事によって、予想を超えるような雨量に対しても耐え得るような環境であるということが言えるでしょうか。

◯相馬商工政策課長

昨年度の流出事故を踏まえ、先ほど言いました原水導水管増設工事の実施ということで、未処理廃水流出の直後から、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構に相談等を行っており、今後の対応策への技術的助言等もいただいています。その中で、昨年度実施した導水管増設工事の実施により、同じような降雨、雪解け水の発生に対しても、十分対応可能であるとの回答をいただいています。
県としては、今後とも、同機構からの助言等をいただきながら、坑廃水処理に係る問題の解決に積極的に取り組んでまいります。


◯安藤委員

そういう体制が敷かれているということで、二度と流出事故が起きないように、監視についても十分進めていただきたいと思います。そして、これまで休廃止鉱山の鉱害対策促進等に関する要望書を国に提出しているかと思うのですが、今年度についても、そのような動きがあるのか伺います。

◯相馬商工政策課長

9月に要望するということを予定しています。