2016年11月21日平成28年商工労働観光エネルギー委員会

「地熱の活用について」

◯安藤委員

おはようございます。最初の質問は、地熱の活用についてです。ぜひとも青森県でも再生可能エネルギーを充実・発展させてほしいという思いで質問します。
最初に、新たなエネルギー産業振興戦略における地熱利用の基本的な考え方について伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

新たなエネルギー産業振興戦略では、本県が目指すべきエネルギー消費構造として、熱利用の拡大等によりエネルギー利用効率を高めながら再生可能エネルギーの導入拡大を図り、化石燃料消費量を低減させていくこととしています。
地熱発電については、発電時に大量の熱水が発生することから、それを熱源として利用してエネルギー効率を高めることが重要となります。
このため、積雪寒冷地で熱需要の多い本県においては、地熱発電を早期に実現させるとともに、発電後の熱水を地域の暖房、融雪、農業のハウス栽培等に利用する多段階のカスケード利用を促進し、地熱開発周辺地域のエネルギーマネジメントや産業活性化につなげていきたいと考えています。


◯安藤委員

このエネルギー産業振興戦略の中には、エネルギーの地産地消、自立分散型エネルギーシステム、地域の産業振興、雇用創出の原動力となる社会を目指すと入れられています。その中で、再生可能エネルギー発電の導入量見込み、平成32年、41億キロワット、平成42年、69.4億キロワット、これは2014年比では約5倍になるという数字ですが、そのうち、地熱は平成32年、1.5億キロワット、平成42年、3.0億キロワットという目標を立てています。今現在の状況から見ると、大きな目標だと思うのですが、この目標に到達するために、県はどういう対応をしていこうとしているのか伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

今、御質問のありましたエネルギー産業振興戦略における再生可能エネルギーの導入量ですが、これは目標ではなくて、戦略策定時における、国、経済産業省が認定している再生可能エネルギーの認定量をもとに推計した導入見込み量で、平成42年ごろには69億キロワットの発電量が見込まれるのではないだろうかという推計値です。
当然、戦略策定時において発電の事業を計画している民間事業者がいますので、その積み上げをした結果も加味しており、平成42年度の地熱発電量の見込み額を推計したところです。当然、民間事業者の取り組みですし、国のFIT補助制度にのっとった事業展開ですので、私どもは県全体として、許認可等に係る部分について調整をするという側面からの支援をしているところです。


◯安藤委員

目標ではなくて見込み量ということなのですが、その見込み量をこれだけの値と計画にのせているわけですので、側面からの支援という形ではなく、もう一歩踏み込んだ県としての取り組みがあってもいいのではないかなと思うのですが、その辺についてはいかがでしょうか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

そもそもこのFIT制度は、国が再生可能エネルギーの原価に対して利益が出るよう上乗せした価格で買い取るという制度になっています。したがって、投資額は事業によって違いますが、初期投資がかかっても当然、FITの買い取り価格で採算がとれるというシステムになっていますので、その上乗せで県が何らかの支援ということには多分ならないだろうと。当然、事業者が採算性の見込みの中で取り組んでいきますので、県はそういう計画の中で出てくる許認可等がスムーズにいくような側面的な支援というところまでは可能ですが、それ以上の支援、金銭的な部分などは国の制度がある以上、それ以上必要はないのではないかと考えています。


◯安藤委員

冒頭お話ししましたように、この新エネルギーの産業振興戦略の中で、雇用創出の位置づけというのも触れられているのですが、資料をいろいろ見てみましたら、事業効果として再生可能エネルギーの雇用創出効果が最も高いのが地熱、地中熱と書かれた資料を見ました。それによれば、約2,800人の雇用創出が見込まれるという書き方がされていましたが、地熱、地中熱の雇用がこのように高く見込まれる背景について伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

御案内のとおり、事業効果ということで、エネルギー産業振興戦略においては、各事業ごとに投資額と雇用効果を算出しています。地熱発電の事業費については、民間事業者が事業開発を行う投資額として、480億円と推計しています。
また、雇用創出効果については、先ほど申しましたように、地熱発電に係る多段階利用、暖房や融雪、農業ハウス等、特に農業の関係で熱を多く利用するということで、具体的には、地熱そのものにかかわる事業に参加する方が60人、園芸ハウスとか農業関係に働く方として1,200人、それから、地熱とは少し違いますが、地中熱関係で1,500人ということの積み上げで2,800人と、雇用創出効果を算出しているところです。


◯安藤委員

地熱発電に関する県内の取り組み状況について伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

県内には、地域資源に恵まれた地域が分布しており、「岩木山嶽地域」「八甲田北西地域」「八甲田城ヶ倉地域」「むつ市燧岳地域」「下風呂地域」、この5地域が現在、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、いわゆるJOGMECと呼ばれる機構の支援を受けて、実施可能性調査が進められているところです。


◯安藤委員

現在、5地域が可能性調査ということですが、そうしますと、この5地域とも近い将来、発電されるだろうという見込みがなされているという認識でよろしいでしょうか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

可能性はあろうという中で、JOGMECの支援を受けて調査を進めているところですが、地熱開発は、調査開始から事業展開まで10年以上の長い期間を要する事業です。この5地域の調査は、その10年以上の中の最初の一歩の調査というところです。まだ試掘をして、高温のお湯が出るのかどうかというところまでも行っていない状況ですので、当然、失敗する可能性もありますし、見つかるかどうかというところの入り口の段階で、可能性があるということでやっていますが、それが具体化するかどうかというのは、これからの進捗状況によるかと思います。


◯安藤委員

先ほどの挙げられた5地域の中に、弘前市の岩木山嶽地域も含まれていますが、一番最初の起点の調査が、難しいという状況にあると聞いていますが、もし情報がありましたら伺いたいと思います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

平成25年度から調査等を展開してきているようですが、平成25年度に、まず、確認のための400メートルぐらいの井戸を掘削して、調査等をやってきています。昨年、1,500メートルの掘削をしまして、余り芳しくない状況になって、今年度、工法等を見直して、掘削の検討を進めているというところでして、先ほど申したように、なかなか簡単に当たるものではないのですが、当たる可能性がある以上、何らかの形で引き続き検討を進めていると聞いています。


◯安藤委員

そうしますと、工法を変えるということは、その場所における掘削調査は引き続き行われていくということなのでしょうか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

失礼しました。工法を変えるというと、やり方を変えるような言い方に聞こえたかもわかりませんが、場所を変えて掘削してみるということです。どこが一番可能性があるのかということで、その地点の調査も含めて今、検討しているところです。


◯安藤委員

今、青森県の状況、弘前市のものも含めて伺ったわけですが、全国的には地熱発電の状況というのはどういう状況なのか伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

平成27年10月現在の状況ですが、全国で36カ所、地熱発電が行われているという状況です。


◯安藤委員

全国で36カ所行われているということでもあり、本県も火山が多い地域の一つでありますし、豊富な地熱資源の有効利用促進という観点で、この地熱発電についても、10年かかるということですけれども、ぜひともそうした事業が促進できることを願いたいと思います。
次は、地中熱ということになるのですが、温泉熱の活用に関する県内の取り組み状況について伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

温泉熱ですが、青森県は温泉の数も、温泉の湧出量も全国5位で、温泉のポテンシャルが非常に高い地域となっています。そこで、県では、これまで温泉熱を有効活用した省エネルギー設備の導入促進を図るため、公共施設や宿泊施設における暖房及び融雪設備の導入を支援してきたところです。
しかしながら、温泉熱利用システムは、重油等の化石燃料消費量を大幅に削減できるなどの効果が期待できる一方で、イニシャルコスト、初期投資が依然として高く、ランニングコストの低減により投資額の回収を行うわけですが、相当の年数を要するということが課題となっています。
このため、まずは、公共施設の率先導入を通じて、広く県民に温泉熱利用の有効性を理解してもらう必要があると考え、平成27年度は大鰐町地域交流センター「鰐come」を対象に、温泉の排湯熱を利用した効率的な省エネルギーシステムを、今年度は弘前市の「アソベの森いわき荘」を対象に、温泉熱を活用した暖房、融雪設備のモデルプランの作成について調査検討を行っています。


◯安藤委員

初期投資を取り戻すのに相当の時間がかかるということで、今、事例は2カ所ということでしたが、この2カ所以外について、何らかの検討をされているようなところはあるのでしょうか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

昨年、ことしの取り組みをお話しましたが、実は、温泉熱の利用については、平成21年度から取り組んでいます。一番最初の平成21年度の取り組みは、浅虫温泉で温泉熱の活用ができないだろうかということで調査をした経緯があります。結果として、組合等の御協力が得られない、あるいは、初期投資が多いということで実現しなかったのですが、そういった検討をしたことがあります。
平成23年度は、これもまた大鰐町ですが、中央公民館の融雪の事業を展開するということ、それから、民間では、酸ヶ湯温泉の八甲田ホテルで、暖房等に使うシステムについて導入したという実績があります。


◯安藤委員

温泉が多い青森県ですので、ぜひ温泉熱の有効活用がさまざまなところで展開されるように期待をしたいと思いますし、青森県としても支援をしていただくよう要望したいと思います。

「使用済み燃料の再処理等の業務に関する協定等の締結について」

◯安藤委員

次の質問に移ります。
使用済み燃料の再処理等の業務に関する協定等の締結についてです。県、六ヶ所村、使用済燃料再処理機構の三者が基本協定等を締結した理由について、伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

県としては、本年10月3日に設立された、使用済燃料再処理機構が再処理等の業務を行うに当たり、核燃料サイクル事業がこれまで県民の理解、協力のもとで進められてきた経緯等を十分踏まえ、今後とも立地地域との信頼関係、協力関係が維持されるよう、安全対策や地域振興対策等に万全を期していく必要があると考え、青森県、六ヶ所村及び使用済燃料再処理機構の三者で新たな協定等を締結することで合意しました。
新たな協定等については、これまで日本原燃株式会社と締結してきた協定等を十分踏まえ、「使用済燃料の再処理等の業務に関する基本協定書」、「日本原燃株式会社六ヶ所高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター及び六ヶ所再処理工場におけるアクティブ試験等に係る周辺地域の安全確保及び環境保全に関する協定書」、再処理事業の確実な実施が著しく困難となった場合の措置に係る「覚書」を去る11月10日に締結したところです。


◯安藤委員

今回新たに基本協定が締結されたわけですが、これまで日本原燃株式会社と結ばれた基本協定書があるわけですが、この基本協定書は、今後も生き続けるという捉え方でよろしいのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

今回新たに使用済燃料再処理機構と結んだ基本協定の中にありますとおり、これまでの立地に関しての基本協定書、これについては、その趣旨を最大限尊重して、安全確保を第一義に地域振興に寄与することを前提として必要な措置を講ずることを規定したものです。したがって、これまで日本原燃株式会社と締結してきた立地基本協定の趣旨については、引き継がれるものです。


◯安藤委員

引き継がれるということは、これまでの日本原燃株式会社との協定書は、一応、もう終わりということになるのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

今申し上げたのは、趣旨の引き継ぎということであって、あくまでもこれまで結んできた立地基本協定、これは当事者間で、そのまま遵守されていくということです。


◯安藤委員

新たに締結された基本協定書を何度か読んでみたのですけれども、使用済燃料再処理機構との基本協定の事故・風評対策というところでは、「関係法令に基づき、日本原燃が必要な措置を講ずることができるよう適切に対処するものとする」とあるのですが、これは具体的にはどういうことを指すのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

万一、事故が発生した場合に、現在は、実施者である日本原燃株式会社が、原子力損害の賠償に関する法律に基づいて必要な措置を講じていくということになっています。これは原子炉等規制法に基づいて、その責務を持っているのが日本原燃株式会社ということによるものです。
使用済燃料再処理機構に対しては、この措置について、再処理等拠出金法に基づいて適切に対処するということを求めたものです。


◯安藤委員

日本原燃株式会社が基本協定書で「万一、原子力損害が発生した場合は、原子力損害の賠償に関する法律等に基づき、厳正、適切に対処する」としているわけですが、使用済燃料再処理機構は適正に対処するために何をすることになるのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

具体的な対処については、その事案が発生した時点で検討されるものと認識していますけれども、日本原燃株式会社は、先ほど少し触れましたとおり、事故に備えて、原子力損害の賠償に関する法律に基づく補償料等を現在負担しています。そのため、使用済燃料再処理機構は日本原燃株式会社に委託する際に、この補償料等を勘案した上で委託金額を支払うと同機構から聞いているところです。


◯安藤委員

そうしますと、確認ですけれども、原子力損害の賠償に関する法律等に基づき適正・適切に対処するための費用を使用済燃料再処理機構が責任を持つという捉え方でよろしいのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

先ほど申し上げましたとおり、具体的に使用済燃料再処理機構がその時点でどのような対処をするかというのは別途あるとは思いますけれども、申し上げましたとおり、その補償料等を、原子力損害の賠償に関する法律に基づく補償料等の負担ということが現時点では想定されているところです。


◯安藤委員

県としても、それ以上の確認作業はされていないというわけですか。

◯笹山原子力立地対策課長

原子力損害、風評も含めてですが、これは実際に事業を行っている者の責任ということになります。その具体的な事項について、あらかじめ協定の中で何かを想定したものではありません。具体的な事象が発生した時点で、関係者間で協議していくものと理解しています。


◯安藤委員

事故があってはならないことですけれども、事故が起きたときの関係性といいますか、そのときにどこが責任を持つのかということについて曖昧にしてはならないし、その辺の確認作業をしっかりと行っていただきたいと思います。
次の質問ですが、県が締結した覚書では、「使用済燃料の施設外への搬出を含め、速やかに必要かつ適切な措置を講ずる」としていますが、施設外への搬出とはどこを想定しているのか、県の見解を伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

平成10年に青森県、六ヶ所村及び日本原燃株式会社との間で締結した再処理事業の確実な実施が著しく困難になった場合の措置に関する「覚書」については、再処理等の実施主体となった使用済燃料再処理機構にも引き継いでいただく必要があると考え、今般新たに「覚書」を締結したところです。
再処理事業の確実な実施が著しく困難になった場合の措置については、関係者が協議の上、講ずることとなっており、使用済燃料の施設外への搬出については、具体的な搬出先をあらかじめ特定しているものではないと認識しています。


◯安藤委員

搬出先を特定しているものではないということなのですが、実際の現状を見てみますと、各原発の使用済み燃料のプールはどこも満杯状態であり、搬出先に戻すことは難しいとも言えるのではないか。また、「施設外」とありますので、特に東京電力ホールディングス株式会社及び日本原子力発電株式会社から搬入された使用済み燃料については、むつのリサイクル燃料貯蔵株式会社へ運び込まれる可能性もあるのではないかと思いますが、この2点についての認識を伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

2点お答えします。
1点目の県外搬出は困難という現在の状況を踏まえた御質問です。「覚書」にあるとおり、関係者が協議の上、使用済み燃料の施設外への搬出を含め、速やかに必要かつ適切な措置が講じられるものと考えています。
それから、もう一点、むつ市のリサイクル燃料備蓄センターについて、使用済み燃料の再処理が困難となった場合の措置は、今後、同センターに使用済み燃料が搬入される際に関係者間で検討することになるものと理解しています。


◯安藤委員

そうしますと、後半のリサイクル燃料貯蔵センターへ運び込まれる可能性ということもあり得ると見たほうがよいのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

あくまでも六ヶ所再処理工場及びリサイクル燃料貯蔵センターでは、再処理を前提として使用済み燃料の受け入れをしているものです。したがって、再処理されない使用済み燃料を受け入れることはないと考えています。


◯安藤委員

そうすると、再処理工場が再処理の見込みが持てないような状況になって、施設外に返していくというものは、もう再処理はしないものだという捉え方、そういう使用済み燃料ということになるのですか。

◯笹山原子力立地対策課長

本県はあくまで、使用済み燃料を再処理するという前提で使用済み燃料の受け入れをしているということです。その搬出された先に、具体的にどのような手順で進めていくのかについては、これは国策として進めていますので、国及び事業者において検討されていくものと考えています。


◯安藤委員

覚書の重要な点な訳ですので、こうだろうというのではなく、やはり県民に対してしっかりと安心感が持てるような、やはり国との、あるいは、使用済燃料再処理機構、日本原燃株式会社などとの中身における協議といいますか、もっとじっくりと、こういう状況の場合はどうなのかと、あるいは、どこも満杯状態であるので、返すといっても返す場所がないのではないかというようなことも含めて、もっと突っ込んだ話し合いが必要ではないかと思いますが、どうでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

あくまでも、覚書というのは、私ども青森県が再処理、あるいは、中間貯蔵、中間貯蔵についてはまだ締結等何ら取り決めをしていないわけですが、再処理事業の実施のために使用済み燃料を受け入れていくという前提がありますので、この前提が崩れることがあってはならないという意味において覚書を締結したものと理解しています。


◯安藤委員

あってはならないといっても、あることも想定した上での覚書だと思いますので、その辺については、もっと突っ込んだ覚書の中身について協議を進める必要があると思います。この点について、エネルギー総合対策局長のお考えはどうでしょうか。

◯八戸エネルギー総合対策局長

原子力立地対策課長からいろいろ答弁しておりますとおり、この覚書は、あくまでも六ヶ所再処理工場で受け入れていく、その前提は再処理事業の確実な実施でありますから、この前提が崩れた場合、これはそれぞれの搬出元に返還されるということを念頭に、この覚書を締結したものです。あらかじめいろいろな場面を想定してこの覚書を締結しているものではありませんので、そういった事態になった場合は、関係者と協議の上、適切な措置を講じていくという覚書になっているものです。


◯安藤委員

私としては、その答弁で納得しましたとは言えないですね。現実的に返す場所がないというのが現実なわけですから、現実性のある覚書の内容にするよう、ぜひとも県は突っ込んだ協議を今後も続けていただきたいということを要望したいと思います。
次の質問ですが、使用済燃料再処理機構の中期計画についてです。今回出された中期計画では、「日本原燃株式会社は2018年度上期の竣工を目指して工事を進めていることから、それまでの間は、計画どおり竣工できるよう適切に工程管理を実施。再処理を行う使用済燃料の量については、再処理施設の竣工の操業計画等が具体化した段階で、利用目的のないプルトニウムは保持しないという我が国の原則のもと、再処理を実施する前にその計画を策定する。」と書かれています。そこで、国に認可された使用済燃料再処理等実施中期計画では、事業の具体的な計画が示されておらず、核燃料サイクル事業の先行きが不透明であると考えられますが、県の見解を伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

使用済燃料再処理機構が策定した中期計画については、原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律に基づき、経済産業大臣が認可したものと受け止めています。県としては、使用済燃料再処理機構においては、日本原燃株式会社と一体となって、国策である核燃料サイクル事業の安定的かつ継続的な運営に不退転の決意で取り組んでいただきたいと考えています。


◯安藤委員

原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律、この法律に基づいているわけですけれども、この法律の第45条によれば、「再処理等の実施時期、その他の経済産業省令で定める事項について使用済燃料の再処理等の実施に関する中期的な計画を定め、経済産業大臣の認可を受けなければならない」とされています。今回の中期計画は、実施時期は明記されていないもので、法律に定めた計画とは言えないと思いますが、県にはどのような説明がなされているのか伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

あくまでも当機構が定めた中期計画については、法令に基づいて経済産業大臣が認可をしたものです。この法律の中では、この中期計画については、使用済み燃料の再処理等が適切かつ確実に実施されると見込まれるものであるということが認可の際の要件として定められていますので、国において、この点をきちんと確認した上で認可したものと考えています。


◯安藤委員

国が認可したということですから、国の姿勢を問わなければならないと思うわけです。再処理等の実施時期、そして、使用済み燃料の再処理等の実施に関する中期的な計画としなければならないとされているにもかかわらず、その具体的な項目がないまま認可されたということは、中身のない中期計画だと言わざるを得ません。
高速増殖炉もんじゅの破綻、そして、16基から18基の計画であったプルサーマルの実施も思うように進んでいないわけです。そして、フルMOXの大間原子力発電所も先行き不透明という状況からすると、仮に目指している2018年度に竣工したとしても、利用目的のないプルトニウムは保持しないという原則に立てば、再処理を行う使用済み燃料の量は、ゼロかごく少数にならざるを得ないということになると思うのですが、この辺については、どういう認識を持っているのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等に有効利用するという核燃料サイクルの推進については、我が国の一貫した基本方針であると理解しています。今般の再処理等拠出金法においても、この再処理の着実な実施ということが法の目的に明記されているところです。国策である核燃料サイクル政策については、国において当面する課題を一つ一つ解決しながら、中長期的に責任を持って取り組んでいただきたいと考えています。


◯安藤委員

全てにわたって着実に実施ができないでいる困難な状況に陥っているというのが現状です。そういうことも考えれば、使用済み燃料の再処理事業そのものがやはり破綻していると言わざるを得ない事態だということを改めて強調して質問を終わります。

◯丸井委員長

ほかに質疑はありませんか。
[「なし」と呼ぶ者あり]
ないようでありますから、これをもってエネルギー総合対策局の審査を終わります。
執行部入れかえのため、暫時休憩いたします。

○休 憩 午前11時40分

○再 開 午前11時42分

◯丸井委員長

休憩前に引き続き、委員会を開きます。
商工労働部・観光国際戦略局関係の審査を行います。
なお、本日は前多商工労働部次長が公務のため欠席しております。
特定付託案件について質疑を行います。
質疑は所管外にわたらないように願います。
なお、答弁者は挙手の上、「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。
質疑はありませんか。──安藤委員。

「知財活用によるビジネス創出について」

◯安藤委員

最初に、知財活用によるビジネス創出について伺います。青森県中小企業振興基本条例に基づく年次報告の中の「あおもり知的財産戦略推進事業」というものに関して関心を持ちましたので、御質問することにしました。
平成27年度に実施した「あおもり知的財産戦略推進事業」の取り組み状況と成果について伺います。

◯羽原新産業創造課長

「あおもり知的財産戦略推進事業」は、県内企業の知的財産の戦略的な活用による知財経営の導入を促進するため、モデル企業を選定し知財経営戦略の構築支援を行うほか、県外大手企業の開放特許等を活用した製品や技術開発等を支援するものです。
平成27年度において、知財経営の導入に取り組むモデル企業として選定した6社について、知財専門家による知的資産経営報告書を作成するとともに、大企業の知財技術等を活用した事業展開を推進するため、17件のマッチング支援を行い、2社について特許ライセンス契約が実現しました。


◯安藤委員

今、6社がこの推進事業に取り組まれたという話がありましたが、そのうち2件が実際に成果として結びついたということなんですが、その6社のうち2社以外に今後事業に生かされる見込みのある企業というのはないのでしょうか。

◯羽原新産業創造課長

委員御指摘の6社ではなく、17社のマッチング支援を行っている中での2社ということでして、それ以外の案件については、現在、支援を行っているところです。個別案件については、現在、個別企業同士の契約の中身ということで、進行中です。


◯安藤委員

それでは、事業に結びつくであろう2社について紹介していただければと思います。

◯羽原新産業創造課長

1社については、平成27年度青森県中小企業振興基本条例に基づく年次報告にも事例紹介として掲載されていますが、八戸市の株式会社味の海翁堂が富士通株式会社との間で、特許ライセンス契約を締結し、南部せんべいにプリントされた写真やイラストに携帯端末をかざすと動画が見られる、動画再生プリントせんべいの商品開発を進めています。今後、企業PRや観光PR向けの商品としての販路拡大が見込まれています。
もう1社については、弘前市の表面処理メーカーが大手鉄鋼メーカーとの間で、抗菌メッキ技術について特許ライセンス契約を締結し、農漁業用資材や医療用機器の抗菌加工技術への応用など、幅広い商品群への展開が期待されているところです。


◯安藤委員

今、2社の事例を紹介していただいたのですが、この2社に戦略推進事業を行った中で、企業が負担する財政面での負担というのはどのようになっているのでしょうか。

◯羽原新産業創造課長

個別の企業の商品開発のコストについては、生産数等によって変動しますので、県では把握できていません。他方、技術開発、そして、製品開発に当たり、県として、例えば、味の海翁堂については、平成27年度に流通した費用等にかかる経費の2分の1を補助しているほか、本年6月には、国の平成27年度補正のものづくり・商業・サービス新展開支援補助金、いわゆるものづくり補助金の応募に当たり、申請書作成等の支援を行った結果、無事採択され、新たなプリンターを導入し、動画が見られるプリントせんべいの生産能力の向上が図られたところです。


◯安藤委員

動画が再生される八戸のおせんべいが近々食べられるかもしれないということですので、楽しみにしたいと思います。

「県特別保証融資制度の実績及び県内中小企業の倒産状況について」

◯安藤委員

次の質問に移ります。
県特別保証融資制度の実績及び県内中小企業の倒産状況について、平成27年度及び平成28年度の融資実績について、最初に伺います。

◯相馬商工政策課長

県では、県内中小企業の事業活動の促進と経営の安定を図るため、長期低利な事業資金を融資する県特別保証融資制度を実施しており、平成27年度の融資実績は、1,267件、約164億円となっており、前年度の約122億円と比較して、135.1%となっています。
また、平成28年4月から10月までの融資実績は852件、約112億円となっており、前年同時期の約102億円と比較しますと、110.2%という状況になっています。


◯安藤委員

平成28年度の傾向について伺います。

◯相馬商工政策課長

平成28年10月末までの状況を見ますと、企業のいわゆる前向きな取り組みを融資対象とする、未来を変える挑戦資金については、221件、約35億円、前年同時期の170件、約36億円と比較して、件数では130%、金額では97.6%となっており、融資金額が比較的小規模な創業への融資が増加しています。
次に、状況の厳しい中小企業向けの経営安定化サポート資金は、56件、約8億円で、前年同時期の70件、約13億円と比較して、件数では80%、金額では65.8%となっており、売り上げ減少等に伴う資金繰りの悪化を対象とした融資の利用が減少している状況にあります。
続いて、融資対象や資金使途に特段要件を設けない事業活動応援資金については、554件、約63億円で、前年同時期の490件、約54億円と比較して、件数では113%、金額では117.3%となっています。これは主に県特別保証融資制度の利用に際し、市町村が信用保証料や利子の一部または全部を助成する連携融資制度の拡大に伴って、中小企業の負担が軽減され、利用しやすくなったことによるものと考えています。
最後に、国の認定を受けた専門家の支援を受けながら経営改善等に取り組む企業を支援する借りかえ制度である、経営力強化対策資金については、昨年度の実績はなかったわけですが、今年度から資金使途を拡大したということもありまして、10月末現在で21件、約6億円の融資実績となっています。


◯安藤委員

今御紹介いただいた資金の活用、全体を見てどういうふうな特徴と捉えられるのでしょうか。

◯相馬商工政策課長

今、答弁しましたとおり、資金によって前年度を上回っているもの、下回っているものがありますが、全体としては、前年度同時期と比べると110.2%ということで、内容的には、いわゆる前向きな取り組みに対する資金が伸びている状況にあると考えています。


◯安藤委員

前向きな取り組みが行われているということはよいことだと思うのですが、これらの取り組みの内容について、企業が十分相談できるような体制というのも必要かと思うのですが、その辺の体制はしっかりと構築されているのでしょうか。

◯相馬商工政策課長

いわゆる体制という部分でいきますと、制度金融運営協議会という組織を県、青森県信用保証協会、金融機関、商工関係団体で設けており、その中で地域金融の促進ということで、リレーションバンキング、そういう金融が行き渡るような取り組みを続けていますので、その中で相談体制等も含めて対応している状況です。


◯安藤委員

やはり融資を受けて、資金を活用してうまく展開されていくような事業支援というのが必要だと思いますので、企業側からすれば相談しやすい体制で、中身についても、きめ細かな支援体制というものが実施されるように要望したいと思います。
そして、次の質問に移るのですけれども、うまくいっている企業ばかりではないかと思うのですが、平成27年及び平成28年の県内企業の倒産件数と負債総額について伺います。

◯相馬商工政策課長

民間の信用情報調査機関によりますと、本県における平成27年1月から12月までの負債総額1,000万円以上の企業倒産の件数は52件で、負債総額は約69億円となっています。また、平成28年1月から10月までの企業倒産の件数は、前年同時期に比べ1件少ない45件で、対前年比97.1%となっており、負債総額については、前年同時期に比べ約25億円多い、約92億円となっています。
なお、平成28年の業種別の件数では、卸・小売業が20件、サービス業9件、建設業7件となっており、倒産原因別では、販売不振によるものが32件で全体の約7割を占めている状況です。


◯安藤委員

今のお答えは、倒産件数の中身については、負債総額が1,000万円を超えるところという限定でよろしいですか。確認をさせてください。

◯相馬商工政策課長

これまでも企業倒産の件数等、そういったことで答弁していますが、全て負債総額1,000万円以上、いわゆる民間の信用調査機関が把握しているデータに基づいて答弁しています。


◯安藤委員

先ほども触れられたかとは思いますが、平成27年と平成28年における倒産内容の違いについて伺います。

◯相馬商工政策課長

平成27年1月から10月と、平成28年1月から10月の倒産内容を比較しますと、件数、業種においては、両年大きな違いはありませんが、負債総額が昨年と比べて約25億円増加しているという違いはあります。これについては、負債総額が10億円を超える倒産が、平成27年は小売業1件、約17億円だけであったのに対して、平成28年は小売業1件、約22億円、サービス業1件、約15億円、卸売業1件、約11億円の合計3件、約48億円ということでその差が出ているという状況です。


◯安藤委員

大きな企業の倒産があるという実態ですが、その倒産にかかわる労働者の失業といいますか、この点についての労働者への影響というものについて、把握されていたら伺いたいと思いますが。

◯相馬商工政策課長

倒産に伴う具体的な失業ですとか解雇ですとか、そういう状況は個別には把握していませんが、こういう大型の倒産がありますと、従前から商工関係団体等と連絡をとりながら、相談の窓口ですとか、もちろん県も含めて、そういう体制は随時とるようにしていますので、その中で対応しているという状況です。


◯安藤委員

具体的に、数などについては把握されていないでしょうか。

◯相馬商工政策課長

個別の企業ごとということではありませんが、件数の集計の単位でいきますと、例えば、平成28年ですと、1月から10月まで45件、216名という全体としての数字は、件数のデータと一緒にいただいています。


◯安藤委員

平成28年は216名の方が失業、(「影響を受けたということです」と呼ぶ者あり)影響を受けたということなわけですね。倒産というのが、そこで働く人たちの雇用確保ということで大きな影響があるということでは、倒産しない、そういう環境が必要だということを改めて考えるところです。
負債総額が1,000万円以上を対象にした調査結果を伺ったわけですけれども、全ての事業所、企業を対象にする平成26年度商業統計調査結果書によれば、683事業所、1.1%の減少率で、これは全国の減少率0.2%に比べても高く、県民の購買力低下や大規模店舗、コンビニの進出などの影響が中小零細企業の廃業につながっているのではないかと思いますが、この辺についての県の見解を伺います。

◯相馬商工政策課長

1,000万円未満の部分ですとか、データにあらわれていない部分については、今、委員おっしゃるとおり、そういう情報もありますし、事業所数の減少と倒産件数を比較しますと、やはり事業所数の減少が大きいということからすれば、小規模な倒産ですとか、あとは、休業、廃止とか、そういう部分での事業所数の減少というのは、データには出てこないですが、あるかと思っています。
その中でも、県とすれば、休廃業でいいますと、後継者がいないですとか、高齢化しているという部分でのそういう状況に至ることが主な原因と聞いておりますので、その中では、休業・廃業に行くまでの前に、事業承継ということも大事なのかなと考えています。
その中で、従前からそういう取り組みをしており、例えば、21あおもり産業総合支援センターには、平成24年にそういう窓口を設けていますし、平成27年には青森県事業引継ぎ支援センターという組織を設けまして、その中で事業承継がうまく進むような取り組みをしていますので、そういう部分についても、今後、力を入れてといいますか、そういうものができるだけ減少するような取り組みは進めていきたいと考えています。


◯安藤委員

やはり後継者不足ということもその中の理由にはあるだろうということですけれども、中小零細企業が元気に活動できることが町の活性化にもつながるわけですので、十分、県としてもさまざまな角度から支援をしていただきたいと思います。

「県内企業の時間外労働及び過労死について」

◯安藤委員

次の質問、あと1点です。
県内企業の時間外労働及び過労死について伺います。厚生労働省が働きやすいとお墨つきを与えた株式会社電通の新入社員、高橋まつりさんが過労自殺した事件で、社員らに違法な長時間労働をさせていた疑いで、東京労働局が強制捜査に入ったことを契機に、長時間労働を是正させる世論が高まっています。
そこで、県内企業の時間外労働及び過労死の実態について伺います。

◯金子労政・能力開発課長

毎月勤労統計調査地方調査結果によりますと、県内の事業所における所定外労働時間、いわゆる時間外労働ですが、平成26年、最新の数字ですが、調査産業全計で112.8時間ということで、全国よりも19.2時間短くなっています。
また、県内の過労死についてです。平成27年度の労災補償状況に関する厚生労働省の資料において、脳血管疾患もしくは心臓疾患を原因とする死亡が1名、精神障害を原因とする自殺が1名となっています。


◯安藤委員

労働基準法で労働時間が1日8時間、週40時間と決まっているわけです。それを超えて働かせるときには労働組合との協定などが必要ですが、強制力はなく、事実上野放しです。亡くなった株式会社電通の正社員も、協定では月70時間までとされていましたが、全く守られていなかったわけです。実態をしっかりつかむ取り組みが必要ではないかと思います。この点についてと、そして、36協定条項を廃止すべきと考えますが、県の認識を伺います。

◯金子労政・能力開発課長

まず、実態の把握ということです。36協定というものについて、まず、設定しましたら、労働基準監督署に届け出るということになっています。そちらにより、労働基準監督署で把握ができる、制度について把握ができるということになっています。
それに基づいて、労働基準法に基づく指導監督の権限というものが労働基準監督官にありますので、労働基準監督官、厚生労働省において把握、それから、指導を行うということになっています。
それからもう一つ、36協定の廃止についての県の見解ですけれども、労働時間の規制については、労使の対話、了解に基づいて36協定を結び、それにのっとって運用がされるということです。まず、そういった形で労使の間で合意がなされて時間外労働が可能になるという法律になっており、労使できちんと話し合って対応することがまずは1つ大事だと思います。その上で、仮に使用者がそのルールにのっとって運用しない場合には、労働基準監督官が指導するということになっており、場合によっては、送検などそういったペナルティーも科されますので、まずは、労使の対話により、36協定導入の可否というものをきちんと検討すべき、それから、ルールにのっとって運用がなされない場合には、厚生労働省、労働基準監督官がきちんと指導すべきであると考えています。


◯安藤委員

そういう流れについてはよくわかりますが、実際に36協定で決められた時間以上に長時間労働がなされているという実態が横行しているわけですから、県内においても、企業の労働者に対する働かせ方について、よく状況をつかんでいただきたいと思います。
次の質問ですが、県内企業の時間外労働の削減について、県はどのような取り組みを行っているのか伺います。

◯金子労政・能力開発課長

県では、人口減少が進む中で、全ての人々が健康で安心して働くことができるよう、多様で柔軟な働き方を実現することが重要であると認識しています。このため、県では、時間外労働の削減を含む働き方改革を推進するために、昨年12月に一般社団法人青森県経営者協会、日本労働組合総連合会青森県連合会、東北経済産業局及び青森労働局とともに、「青森県働き方改革推進協議会」が設けられましたが、そちらに参画をして、働き方改革の実現のための機運の醸成を図ることとしました。
それに基づき、本年5月には、商工団体等を青森労働局とともに訪問し、時間外労働の削減などの働き方改革の推進について要請活動を行っています。
さらに、働き方改革に関するセミナーの開催、広報誌へのメッセージの掲載などにより、県民の皆様への周知啓発を図っています。
今後も青森労働局など関係機関と連携をし、時間外労働の削減を含む県内企業の働き方改革の実現に向けた取り組みを進めてまいります。


◯安藤委員

安倍首相が、最大のチャレンジは働き方改革だと言っており、県としてもこの働き方改革にのっとった指導をされているということなのですが、この働き方改革を提言している一方で、既に国会に高度専門職の労働者について、労働時間の規制を全て廃止する高度プロフェッショナル制度、これは残業代ゼロ法とも言われています。そのほか、企画型裁量労働制の範囲を企画立案、調査分析等を行い、その成果を活用して行う営業業務にまで認める企画業務型裁量制、いわゆる固定残業代法と言われていますが、どちらも労働時間の規制を緩め、長時間労働を促進するもので、真逆の政策だと考えます。正社員なら長時間労働は当たり前などという働き方を変えなければ、非正規労働者がふえ、貧困等が進むのではないかと考えます。これらの問題について、どのような捉え方をされているでしょうか。

◯金子労政・能力開発課長

ただいま委員から御指摘のありました、高度プロフェッショナル制度の導入、それから、企画業務型裁量制の制度の改正などの法案が、現在、国会に出されているということは承知しています。
まず、そちらについては、国会で議論がなされ、さらには、制度の詳細というものが国会の審議などに基づいて制定され、法が施行され、実施されていくことになりますが、制度の詳細というものは、国会、厚生労働省できちんと設計されるだろうと承知しています。もちろん、県としてもきちんと学び、よく注視していきたいと考えています。
それから、委員御指摘のとおりに、株式会社電通の事件、そのように、法律やルールにのっとった運用をしない企業があるということは、大変けしからんことでありまして、厚生労働省がきちんと指導監督をすべきと考えていますし、社会的にもペナルティーは科されていくべきものと考えています。
一方で、私が申し上げました両制度については、それが直ちにそういった長時間労働の促進とかそういったものにはならないと今のところは考えています。いずれにしても、法律の審議状況、それから、詳細なルールの設定などについては、私どもも国、国会の様子を見守っていきたいと考えています。


◯安藤委員

冒頭の答弁で、青森県にも過労による自殺者が1人いたということを伺いました。調査の結果、1名ということですが、そういう方を絶対に出してはならないという立場に立つべきだし、そのような労働環境をつくっていく必要があると考えています。
日本共産党は、長時間労働の野放しをやめさせるためには、まず、残業は年360時間以内という大臣告示を直ちに法制化するとともに、残業時間を大幅に短縮する。将来的には、月20時間、年120時間とすることなどを提案しています。安倍政権は、働き方改革を売り物にしていますが、労働者の命と健康を壊す長時間労働をなくす対策こそ最優先すべきと考えています。ぜひ青森で働く労働者が健康で健やかに労働できるような環境をぜひともつくるために、県としても努力していただきたいと願っています。
以上で終わります。