2016年12月07日平成28年商工労働観光エネルギー委員会

「自然公園費、自然環境整備交付金について」

◯安藤委員

議案第1号「平成28年度青森県一般会計補正予算(第4号)案」、歳出7款2項2目、自然公園費、自然環境整備交付金について、1点目は、国立公園満喫プロジェクトについて伺います。

◯戸沼観光企画課長

国立公園満喫プロジェクトですが、ことし3月に国が策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」に基づき、我が国の国立公園を世界水準の「ナショナルパーク」として誘客の増大を図るため、国を初め、県、市町村、関係団体等が各種の取り組みを計画的、集中的に実施するものです。
全国33カ所の国立公園の中で、十和田八幡平国立公園を含む8カ所の国立公園が選定されており、プロジェクトを推進するために、各国立公園において「ステップアッププログラム2020」を策定することとしています。


◯安藤委員

全国の中で8カ所選定されたということなのですが、選定の基準になるようなものが、おわかりでしたら伺います。

◯戸沼観光企画課長

選定に当たっては、国が有識者会議等を設けて、専門家から御意見を伺ったということ、さらに、地元からの熱意と申しますか、私どもも、関係する秋田県、岩手県を含めて、知事をトップに、ぜひ十和田八幡平国立公園を選定していただきたいという熱意を持って訴えかけたこと、それらが複合して選定されたものと理解しています。


◯安藤委員

それでは、今回の補正予算の内容について伺います。

◯戸沼観光企画課長

今回の補正予算に関する環境省所管の自然環境整備交付金ですが、国立公園内の各自治体が管理する施設に対し、老朽化対策と訪日外国人対策に係る経費の一部を交付する制度です。国の二次補正予算成立に伴い、追加内示があったところです。
今回の補正予算による具体的な実施箇所ですが、十和田八甲田地域の中でも多数の観光客が訪れている、八甲田ロープウェーから散策できる「田茂萢園地」と「奥入瀬渓流歩道」の安全な歩行を確保するための歩道施設の再整備、四季折々の景観が楽しめる「睡蓮沼園地」の展望デッキの老朽化対策などを実施することとしています。
また、十和田市が事業主体となって実施する「蔦温泉園地」にある公衆トイレのユニバーサルデザイン化事業に対して補助を行うこととしています。


◯安藤委員

今の予算内容を聞きますと、本当に切実なといいますか、観光客の方たちが求めていた改修内容なのかなと思いますので、この予算を使って実施できるということは、我が県にとっても大きく観光行政の前進になるものだと思います。
それで、今回の補正予算の中に組み込まれなかったような事業で、今後、改善していきたいというところが、大体でいいのですが、どのくらい残ることになるのでしょうか。

◯戸沼観光企画課長

現在、観光企画課が所管する自然環境整備交付金の関係ですが、国の予算内示に合わせて実施箇所を選定していくという手法をとっています。事業の必要性、緊急性により、その予算内示の範囲の中で勘案しながら実施箇所を選定していくということにしている状況にあります。
現在、国立公園の満喫プロジェクトに選定されたことで、今回の補正予算に関しては、選定された8カ所の国立公園に対して配分されたという事情があります。この補正予算を活用して、できる限りのことはしていきたいと思っています。
なお、加えて、今後のプロジェクトの選定の機会を捉え、自然環境整備交付金を十分に活用しながら、十和田八甲田地域における県が管理する遊歩道等の改修とか再整備、案内・誘導標識の多言語化、トイレのユニバーサルデザイン化など、受け入れ環境の整備に計画的に取り組んでいきたいと考えています。


◯安藤委員

改修の中にトイレの洋式化も含まれているようですけれども、洋式化をするというのは、全てのトイレを洋式ということですか。今回のというのは、全てを改修するという捉え方でよろしいのですか。

◯戸沼観光企画課長

御質問のありました、全てという捉え方なのですが、例えば、石ヶ戸の休憩所のトイレの洋式化というのは、このプロジェクトに選定される以前から洋式化に取り組んでいるところです。今年度もやっているというところがあります。
いろいろ意見もありますので、できる限り洋式化は進めていきたいと考えていますが、例えば、トイレの中の1便器は和式を残すとかということも検討しながら、できる限りインバウンド対応できるように整備していきたいと考えています。


◯安藤委員

特に外国の方が利用する場合、和式だとなかなか利用できない、子供さんたちも今、使えないということがありますので、これは急がれる事業かと思います。でき得れば、障害者の方も利用しやすいようなバリアフリー化というのも必要かと思うのですが、この辺については、この事業の中で一緒にやるということはできないですか。

◯戸沼観光企画課長

実施箇所などの制約はもちろんありますけれども、今回申し上げたとおり、洋式化というだけではなくて、ユニバーサルデザイン化と申し上げているのは、そのような対応も念頭に置きながら整備をしていきたいという意味だということで御了解いただければと思います。


◯安藤委員

そのお話を聞いて安心しました。ぜひ誰もが使いやすいような環境を整備していただきたいと思います。
3点目ですが、この事業について、今後どのように取り組んでいくのか、何かほかにお話があれば伺いたいと思いますが。

◯戸沼観光企画課長

先ほども少し申し上げましたが、このプロジェクトに選定されたというのは本当に絶好の機会だと捉えています。十和田八甲田地域にいろいろな課題がある中で、施設整備に関しては、この機会を捉えて、特にインバウンドの受け入れ環境整備をきちんと計画的に取り組んでいきたいと決意を新たにしているところです。

「太平洋沿岸インバウンド連携強化事業について」

◯安藤委員

次の質問ですが、議案第1号「平成28年度青森県一般会計補正予算(第4号)案」、歳出7款2項1目、観光振興費、太平洋沿岸インバウンド連携強化事業について。最初に、事業の目的について伺います。

◯堀誘客交流課長

東北の太平洋沿岸においては、震災復興のため、本県、岩手県及び宮城県の沿岸が、平成25年5月に三陸復興国立公園として指定されたほか、現在、八戸市から福島県相馬市まで「みちのく潮風トレイル」が整備されているところです。しかし、太平洋沿岸地域への観光客の入り込みはまだ回復していません。
このため、太平洋沿岸インバウンド連携強化事業は、現在、訪日外国人旅行客が増加していくことに着目し、太平洋沿岸の4県と仙台市が連携して、太平洋沿岸地域の美しい自然や漁村の伝統的な生活文化などの日本らしさをPRすることで海外からの誘客の拡大を図り、太平洋沿岸地域の震災復興に資することを目的としています。


◯安藤委員

それでは、具体的に事業の取り組み内容について伺います。

◯堀誘客交流課長

本事業は、太平洋沿岸の4県と仙台市が連携して、国の東北観光復興対策交付金を活用し、太平洋沿岸地域の観光コンテンツの認知度向上を図るとともに、受け入れ体制の整備を進め、海外からの誘客拡大に取り組むものです。
具体的には、まずは、基礎調査として対象地域の自治体や観光事業者などへのヒアリングを実施し、太平洋沿岸地域の外国人観光客の現状や課題を整理します。
次に、受け入れ体制整備として、対象地域の観光コンテンツを集約し、データベース化するとともに、地域の魅力と震災の教訓を伝える語り部ガイドを育成するほか、「みちのく潮風トレイル」を活用したモデルコースや海外からの教育旅行受け入れのためのモデルプランを作成します。
また、海外に効果的なプロモーションを行うための3カ年計画を策定するとともに、海外の旅行エージェントの求めに応じてツアーコースの立案を行う在京の旅行社を招請したモニターツアーの実施や、多言語によるパンフレットの作成など、太平洋沿岸地域の情報発信の強化に取り組むこととしています。


◯安藤委員

震災の模様を外国の方たちにもお伝えするということでの「語り部ガイド」というのも視野に入っているようですが、これはそれぞれその地域の中からそういう方を養成するということなのでしょうけれども、例えば、青森でいえば、イメージするのに、何人くらいの方を養成する運びになっていくのかお知らせいただければと思います。

◯堀誘客交流課長

「語り部ガイド」ということで、これから育成される方、あるいは、既にもう活動を行っている方もいます。そういう意味で、正確な人数は把握できていませんが、例えばということであれば、種差海岸も震災で被災した箇所です。震災直後、被災した種差漁協の漁師の方々、組合長が中心になってですが、何とか地元を元気づけようということで、まずは地元の小学生を対象に、自分たちがその日、朝、地引き網でとれた魚をその場で、浜で鍋にして、これを漁師鍋と称して振る舞い、その場で自分たちは震災のときにこういう体験をしたんだ、今、復興に向けてこれだけ頑張っているんだということをお話ししています。
地元の旅行業者、NPOなのですが、地元だけでなくて多くの方に知っていただきたいということで観光コンテンツ化されて、今、定番の観光商品となっています。例えば、こういった方々をガイドとして、海外のお客様にもお話しできるような準備をしながら取り組んでいきたいと考えています。


◯安藤委員

現在もやられているということで、それをさらに膨らませていくということになるのだと思いますが、外国人の方たちを視野に入れている事業だとは思うのですが、ぜひとも日本の方たちにもこの事業を生かして、観光客の方をふやしていくという取り組みにも取り組んでいただければと思います。
以上で終わります。

◯丸井委員長

ほかに質疑はありませんか。
[「なし」と呼ぶ者あり]
ないようでありますから、これをもって質疑を終わります。
これより議案の採決をいたします。
議案第1号中所管分及び議案第6号の原案に賛成の方は、御起立を願います。
[賛成者起立]
起立多数であります。
よって、原案は可決されました。
次に、所管事項について質疑を行います。
質疑は所管外にわたらないように願います。
質疑はありませんか。──安藤委員。

「新規高等学校卒業者の離職状況について」

◯安藤委員

今、高校生の就職内定率が非常に高いということで、喜ばしいことだと思うのですが、その一方で、離職率が非常に高いということが先般、新聞にも報道されていたのですが、このことについて少し質問をさせていただきたいと思います。
新規高等学校卒業者の離職状況について伺います。

◯金子労政・能力開発課長

青森労働局では、新規学校卒業者の就職後3年後までの離職状況に関する調査を行っています。これによると、本県の平成25年3月新規高等学校卒業者で、雇用保険被保険者資格を取得した2,261人のうち、卒業後3年間に離職した者は1,119人ということで、離職率は49.5%となっています。


◯安藤委員

せっかく就職した方の49.5%が3年以内に離職されるというこの状況、私は非常に残念だなと思いますが、この数字について、率直にどのように考えているのか、認識を伺います。

◯金子労政・能力開発課長

就職後間もない離職については、企業、それから、御本人双方にとってデメリットがあるものと考えています。具体的には、企業にとっては、採用、経済活動、今後の計画というのが実施できなくなるということもありますし、教育研修など、企業がかけた手間というものが失われてしまうということで、企業にとって確実にデメリットがあるものと承知しています。
それから、御本人についても、キャリアアップを進めていく上で、その機会を失ってしまうことになること、人生の何カ月であっても、やはり大事なものでありまして、そういった意味では、御本人の損失になっていくことも間違いないことであると考えています。
全国では40%台の低い数字になっていて、我が県については、離職率が高いこともこれまた承知しており、そこはきちんと手当しなくてはいけないと考えているところです。


◯安藤委員

全国が40%で、青森県の25年3月の時点で49.5%という数字でしたが、この数字は、その前年、前々年に比較してどういう状況なのか伺います。

◯金子労政・能力開発課長

新規高等学校卒業者の離職状況の推移ですけれども、過去3年にわたってみますと、平成23年3月卒業の方の3年後離職について、2014年に公表されたものですが、こちらは48.9%、それから、昨年公表されました平成24年3月卒業者の3年後離職率については50.3%ということで、40%台後半から50%にかけて、微増微減を繰り返していると承知しています。


◯安藤委員

そうしますと、平成25年の数字は平成24年の数字から見ると、若干は改善されているということのようですけれども、2点目の質問として、離職状況は改善が見られるものの、なお高い離職率になっていますが、離職理由について、県はどのように認識しているのか伺います。

◯金子労政・能力開発課長

県では、アンケート調査、大規模なものを平成22年度に県内企業の若年者の職場定着の状況、企業における職場定着のための取り組みについてということで調査しました。この調査では、県内企業の500社と、そこに勤務する若年労働者を対象として、若年者の採用と定着状況についてということでのアンケート調査を行った次第です。
若年労働者を対象とした調査結果としては、退職を考えたことのある人が325人いまして、その考えた理由について伺ったところ、一番多かったものは「賃金が低い」、これが37.8%、続いて「職場での人間関係」、35.7%、同率ですが、「仕事がきつい」「他に自分に合った仕事を探すため」というもの、これらがいずれも25.2%などとなっています。
済みません、申しおくれましたが、こちらは複数回答ということで、個人が回答を複数選べる調査でした。
また、厚生労働省が平成25年に行った調査もありますので、紹介させていただきます。その中で、現に会社をやめた人に伺ったのですが、その理由としては、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」というものが22.2%、複数回答でしたが、続けて「人間関係がよくなかった」、これが19.6%、「仕事が自分に合わない」が18.8%、「賃金の条件がよくなかった」が18.0%などとなっています。
この2つの調査は、対象時期、設問などいろいろ違いますので、単純な比較というものはできませんけれども、若年層の離職の要因としては、賃金を含む労働条件、待遇、そういった企業側の要因と、それから、職業意識などのような働く側の要因、その両方があるものと承知しています。


◯安藤委員

一時期、若者たちがやめていくのは根性がないからだとか、そのような見方をされる風潮があったかと思いますが、今、お話を聞きますと、やはり賃金が安いとか、青森県のアンケートでは、人間関係が次で、そして、仕事がきついというような理由ですので、まっとうな理由だなとも思います。賃金が安いというのは、本当に私の周りの方たちの賃金を聞いても、これで生活しているのと思うような額、正規、あるいは非正規の方はなおさらだと思いますが、やはりそこが大きな理由になっているという、その現実をしっかり見極めなければいけないと思います。
賃金が安いということに関しては、やはり全体の底上げができるような、あるいは、非正規を正規に変えていく、そういう企業側への努力を促すとかということも大変重要かと思いますが、人間関係というところについては、やはり上司との関係だとか、先般もこの委員会で質問した中で、過労自殺ということも出てきますし、自殺する前には、まずはやめたほうがというか、自分の身を守るためにはそういう選択もやむなしとも思うわけですが、こういう状況が横たわっている中で、次の質問に移りたいのですが、新規高等学校卒業者の職場定着を図るために、県はどのように取り組んでいるのか伺います。

◯金子労政・能力開発課長

新規高等学校卒業者の職場定着を図るための取り組みです。県では、就職前の早い段階から、就職に向けた意識醸成を図るということを一つ考えており、高校生とその保護者を対象とした就労意識形成セミナーを開催するとともに、仕事選びや就職活動に役立つような情報をまとめた就職ガイドブックを作成し、配布をしています。
また、就職におけるミスマッチを解消し、県内企業への理解を深めてもらうために、高校生を対象とした地元企業の見学会に対する支援も行っております。
在職中の若年者の職場定着促進のための取り組みとしては、新入社員、中堅社員、人事担当者、管理職など、対象者、役職役割ごとにそれぞれ求められる知識、技術、そういったものを学べる研修を実施しているほか、個々の企業が抱える課題に即した個別の研修というものも実施しています。
さらに、今年度の取り組みですが、これら実施中のものに加えて、新たに若年者の職場定着に向けた課題を明らかにする、そういった目的のために、キャリアカウンセラーによる個別のカウンセリング、意識調査等を行っているところです。
県としては、今後とも、高校生に対し県内企業をよく知ってもらえるよう努めるとともに、企業における人材育成の意識を高めて、若年者の職場定着の促進に努めてまいります。


◯安藤委員

県内に就職を希望するという若者は、やはり青森が大好きだし、家族のもとにいて、家族にいろいろな手助けをしたりとか、そういう思いを持って青森に就職を選択する方が多いかと思いますので、そのような方たちを社会がどう育てていくか、企業がどう定着させていくか、企業との連携も強めながら、ぜひとも県がリーダーシップを持って、環境づくりをしていただきたいと思います。
先ほども触れましたけれども、やはり賃金が安いということが一番のネックになっているという事実があるわけですので、この辺について、それぞれの企業の状況も厳しさもあるかと思いますが、全体を底上げしていく、賃金を引き上げていくということに対して、県が考えているような施策があれば伺います。

◯金子労政・能力開発課長

賃金の問題です。こちらは基本的には労使との対話により決めるものと承知しており、介入したり指導というものは難しいものです。
そういった原則も踏まえて、県としては、県内企業が経済活動を高め、活性化して企業の労働者に還元できるようなことを目指して、県内企業の経営の支援ということに力を注いでいるところです。具体的には、国の資金も活用して、離職者を雇用した上でOJT(職場における教育訓練)して正規雇用化してもらう「戦略産業雇用創造プロジェクト」を実施しているほか、県内の特に中小企業の皆様に向けては、経営相談を行い、販路開拓ですとか計画支援、新商品開発、そういったものへの支援をしているところです。そういった形で、企業が賃上げをできる環境を整備するということをこれからもやってまいります。
さらに申し上げますと、賃上げを含めました労働環境の改善ということは、働き方改革というコンテクスト(脈絡)でも大変重要なものと考えています。県では、労働局、それから、青森県経営者協会、連合青森などの関係機関と連携し、働き方改革について取り組みを進めてもらうよう、県内に周知を図っているところであり、こちらについても、引き続き働きかけを行っていくとともに、内容をさらによりよいものにしていきたいと考えています。


◯安藤委員

さまざまな努力をされていると思いますが、現実はそういう中でも離職率は全国に比べても非常に高いという実態がありますので、ぜひこの改善のために県を挙げて頑張っていただくようにお願いいたしまして、終わります。

「温泉熱発電について」

◯安藤委員

大きく2つ質問します。
最初の質問は、温泉熱発電についての質問です。これまでの委員会で、地熱発電等についても質問してきましたが、先般、横浜議員の一般質問の中で、温泉熱発電についての質問がなされておりまして、十分その温泉熱発電について理解できていないものですから質問させていただきます。
温泉熱発電の仕組みについて伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

温泉熱発電は、バイナリー発電という発電方式で発電されるもので、その仕組みは、水より沸騰温度が低いアンモニア水などを温泉熱で加熱し、得られた蒸気によりタービンを回して発電するというものです。
温泉熱発電は、新たな掘削を伴わずに既存の温泉を活用できることから、地元事業者の参入が比較的容易であり、また、発電後の温水をこれまでどおり浴用に活用できるといった利点があります。
一方、十分な発電量を確保するためには、おおむね70℃以上の高温泉と冷却水の確保が必要になること、温泉に含まれる成分によってメンテナンス経費が変わってくること、系統連系を確保することなどの課題があります。


◯安藤委員

アンモニア水を使うということなのですが、温泉熱発電をするということは、温泉がある箇所でやるということになると思うのですが、よくわからないので伺いますが、このアンモニア水を使うということで、環境に対する影響というものはないのでしょうか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

アンモニア水を使うといいますのは、ただいま答弁しましたように、普通の水であれば100℃を超えると水蒸気になりますが、温泉熱が70℃と低いので、普通の水だと水蒸気にならないので、もっと沸点の低いアンモニア水を使うと、大体35℃ぐらいで蒸気に変化するということで、温泉の熱をアンモニア水に移して沸騰させ、水蒸気の代わりとしてアンモニア水の蒸気を使ってタービンを回すという考え方が今回の発電です。もちろん、アンモニア水は沸点が低く、すぐ蒸発しますので、閉じ込めた中でタービンを回して、それを循環させて発電を行うというシステムになります。漏れない限りは環境に与える影響もありませんし、仮に漏れたとしても、沸点が低いのですぐ蒸発してしまうということで、安全な仕組みです。


◯安藤委員

温泉といってもいろいろそこの温泉によって水温が違ったりするわけで、先ほどの答弁で、70℃以上の高温水が出る温泉ということが対象になるような話でしたけれども、青森県はまだないかと思うのですけれども、全国的に見て、こういう条件下で温泉熱発電がなされている箇所はどのくらいあるのか伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

前回の常任委員会のときに、地熱発電の全国の件数を36件と申し上げました。その36件のうち、バイナリー発電が18件です。


◯安藤委員

それでは、温泉熱発電の導入に向け、県は調査を行っているようですが、調査の見通しについて伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

県では、今年度から経済産業省の地熱資源開発理解促進関連事業支援補助金──補助率は10分の10です──を活用し、おおむね70℃以上の高温泉がある浅虫温泉、猿倉温泉、黒石市の沖浦温泉、大鰐温泉、平川市のあいのり温泉の5カ所で可能性調査を行っています。
具体的には、温泉の温度や量、冷却水の温度等のデータから、発電量や売電量、発電機設置費等の初期投資費用などを調査分析しています。
これらの調査結果を踏まえ、発電後の熱水を地域の暖房や融雪、ハウス栽培等に多段階で利用する「カスケード利用」による地域への貢献など、事業性を総合的に検討する必要があることから、今後、弘前大学の協力を得ながら、各地域の温泉関係者等による研究会を開催して、事業の可能性を検討することとしています。


◯安藤委員

これから弘前大学にお願いして研究会を持つということなのですが、その見通しといいますか、この5カ所のうち何カ所が事業化できることになるのか、そういう結論というのは大体どのくらいの期間を要するものなのでしょうか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

ただいま申し上げましたように、発電だけということではなくて、発電以外に温泉熱を、例えば、融雪とかハウス栽培とか、廃熱を利用して広い範囲で使おうという考え方で今検討していますので、この5つの地域について、どこがいい、どこがだめという、まだその段階までは至っていませんし、発電機等の初期投資をいかに抑えるかによって採算性が全然変わってくることがありますので、できるだけこの5つの地域で可能性があるのであれば、その可能性を最後まで探っていきたいと考えています。


◯安藤委員

その結果によっては、温泉の経営者の方たちがこの事業を自主的にというか、自発的に行っていくという選択もあろうかと思うのですが、県はこの結果を見た上で、地元の方たちとの協議というのはどのようになされていくのでしょうか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

先ほど答弁しましたように、今回の調査結果を踏まえて、弘前大学の協力を得ながら研究会をつくるということにしていますが、この研究会には、温泉関係者も入っていただいて、5カ所ありますので、5カ所の研究会をつくって、その地域、地域で具体的に検討していきながら、事業の可能性について、温泉関係者みずからも判断しながら検討いただくという仕組みを考えています。


◯安藤委員

わかりました。全国でもこうした温泉を活用した事業が進められているということでもありますので、青森県としてもこのような事業がうまく回っていくことができるように望みたいと思います。

「核燃料サイクルにおけるプルトニウム利用について」

◯安藤委員

次の質問に移ります。核燃料サイクルにおけるプルトニウム利用についてです。
1点目は、高速増殖炉の研究開発やプルサーマル計画が見通せない状況において、余剰プルトニウムを持たないという原則は維持できるのか、県の見解をお伺いします。

◯笹山原子力立地対策課長

国においては、核燃料サイクル政策の推進について、これまでの経緯等も十分に踏まえ、関係自治体や国際社会の理解を得つつ、使用済み燃料の再処理やプルサーマル等を推進するとされており、また、プルトニウムの適切な管理と利用を行うとともに、米国やフランス等と国際協力を進めつつ、高速炉等の研究開発に取り組むとされています。
県としては、余剰プルトニウムを持たないとの国の方針のもと、核燃料サイクル政策が着実に進められるよう、引き続き国と事業者の責任ある対応を厳しく求めていきます。


◯安藤委員

余剰プルトニウムを持たないためには、国が示しているのですけれども、プルサーマルを16基から18基動かすことで余剰プルトニウムを持たない。高速増殖炉もんじゅも動かすということを前提にして16基から18基という方針だったと思うのですが、もんじゅで大量のプルトニウムを使わないということになれば、さらにプルサーマルの箇所数がふえていかないと、余剰プルトニウムがさらにふえていくということになると思うのですが、こういう考え方でよろしいでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

今、委員御指摘の、高速増殖炉もんじゅを含めてというお話でしたけれども、電気事業連合会によりますと、全国で16基から18基、これは原子力発電所でプルサーマルを導入するということです。それを目指しているということです。


◯安藤委員

それはわかるのですけれども、高速増殖炉もんじゅが廃炉になるということは、つい最近出されてきたことであって、もんじゅを動かしつつ、その一方で、プルサーマルを展開させていくという方針だったと理解しているのですが、そうではないのですか。

◯笹山原子力立地対策課長

高速増殖炉もんじゅによる研究開発を進める一方で、事業者においては、全国で16基から18基、プルサーマルを導入することによって余剰プルトニウムを持たないという我が国の方針が達成されていくという考え方で進められていると理解しています。


◯安藤委員

それでは、現在、この余剰プルトニウムがどのくらいあるのかという確認なんですけれども、六ヶ所再処理工場のアクティブ試験によって発生しているプルトニウムはどのくらいか。そしてまた、海外に再処理を委託しているわけですので、その際に発生したプルトニウムの量がどのくらいなのか伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

まず、海外に約37.1トン、分離プルトニウムを保有しています。
それから、国内には約10.8トンを保有していまして、このうち日本原燃株式会社には約3.6トンがあります。
合計で我が国は、国内外において約48トンのプルトニウムを保有しているところです。


◯安藤委員

約48トンものプルトニウムが存在して、それで今現在、それを使っているのは1基のみという中ですので、どう考えても余剰プルトニウムはなかなか減っていかない現状だということになるわけです。
そこで2点目の質問ですけれども、プルトニウムの利用計画を示せない状況を考えれば、2018年に期限を迎える日米原子力協定は継続すべきではないと考えますが、県の見解を伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

正式には「原子力の平和利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」、これをいわゆる「日米原子力協定」と呼んでいますけれども、これは国によれば、我が国の原子力活動の基盤の一つをなす極めて重要なものであり、米国との間で、円滑かつ緊密な原子力協力を確保すべく、日米原子力協力に係るさまざまな課題について、引き続き米国との間で緊密に連携していく考えであるということです。
県としては、今後の政府の動向を注視してまいります。


◯安藤委員

日米原子力協定ですので、大きなアメリカと日本との約束ごとなわけで、それを青森県がどうこうすることはできないわけですけれども、余剰プルトニウムは持たない、そして、プルトニウムは平和利用、また、日本は再処理をしてもよいということを取り決めた「日米原子力協定」の、その事業を進めるに当たって、なくてはならない青森県になっているわけで、青森県としても、やはりこれらの問題に、ぜひ国に対してしっかりとした意見を発信していく必要があるのではないかと思います。しかし、県としては再処理事業を継続できるようにということを望んでいるわけですので、そこが私と意見はくい違うわけですけれども、どちらにしても、「日米原子力協定」の期限が2018年に来るという現実があるので、この問題にしっかりと注目していきたいと思っています。
それで、もう一点、これは国が決めていくことですけれども、今の国の姿勢、再処理政策を続けていくという姿勢に立つのであれば、「日米原子力協定」の継続ということをアメリカに求めていくという方向性になると青森県としては考えているのでしょうか。

◯八戸エネルギー総合対策局長

先ほど来、委員から御指摘のありました余剰プルトニウムというのは、今、ないわけです。プルトニウムに余剰ということはないわけです。プルトニウムは確実に利用していくという考えです。余剰プルトニウムを持たないというのが国の基本方針でありますから、現在、余剰プルトニウムというのは存在していない、そういう認識です。
「日米原子力協定」、これは我が国が原子力を利用していくに当たって、あくまでも平和利用目的に限って利用していく、その基盤をなすものでありまして、日本にあるウラン、プルトニウムは、もちろん核爆発とか軍事目的に使わない、これを宣誓した基盤となるものですので、これは引き続き、我が国が世界の先頭に立って、プルトニウムを平和利用していく上で必要不可欠なものであると県も認識しているところです。国の動きを引き続き注視していきたいと思います。


◯安藤委員

余剰プルトニウムはないとおっしゃいましたけれども、それでは、約48トンというプルトニウムを利用するだけの条件があるかといえば、先ほど来言っているように、現在ではプルサーマル1基だけしか動いていないわけで、そういう現実の中では、世界的には日本が核兵器にこれを利用する条件が整っているということで注目されているわけで、そういった視点をしっかりと見据えていかなければならないと思います。
私としては、当初お話ししましたように、2018年に日米原子力協定が切れるというこの機会を、核燃料サイクル政策をストップさせる、原発政策もやめていくという、そういう機会として活用していただきたいという思いを述べて、この質問を終わります。