2017年4月21日平成29年農林水産委員会

「リンゴ黒星病対策について」

◯安藤委員

それでは、3点質問をさせていただきます。
1点目は、リンゴ黒星病対策についてです。昨年、津軽地域を中心に黒星病が多発し、生産者を初め関係機関は大きな苦難を経験しました。特に、生産者から「県防除暦に従って薬剤散布を行ったが防げなかった」という声が目立ちました。結局、これまで使われてきたEBI剤に対する感受性が低下した菌が存在していることが判明し、新たなリンゴ病害虫防除暦による薬剤防除が示されました。そこで、ことしのリンゴ黒星病に関する防除対策について、どのように指導しているのかお伺いします。

◯舘田りんご果樹課長

昨年のリンゴ黒星病の発生要因は、防除薬剤の効果の低下、雪解けの早まりによる早期感染、園地の菌密度の高まりであることが確認されており、その防除対策として、病害虫防除暦において使用薬剤や散布時期、回数を見直すとともに、黒星病菌の飛散状況を速やかに情報提供し、適期散布を遵守させるほか、菌密度を低下させるため被害落葉の処分も徹底するよう指導を強化しているところです。
具体的には、昨年の黒星病の発生状況も踏まえ、ことしは例年より5日早く4月5日にリンゴ生産情報第1号を発行し、黒星病の発生が多かった園地においては、落葉の処分や芽出し当時、これは園地全体で8から9割方発芽した時期でございますけれども、芽出し当時の特別散布などを呼びかけました。
また、黒星病防除対策を含めた第1回リンゴ等果樹生産技術研修会を例年より早く4月7日と4月10日に開催し、病害虫の発生状況と今後の防除対策について、指導機関を対象に研修を行いました。
さらに、リンゴの生育が早まる見込みとなったことから、4月14日にはリンゴ生産情報号外を発行し、芽出し当時──黒石市のりんご試験場で4月13、14日ころがこの時期ということですけれども、芽出し当時の、先ほど言った特別散布の速やかな実施などを働きかけたところでございます。
県といたしましては、県産業技術センターりんご研究所や県りんご協会、農協等関係機関と連携して、今後も気象条件に対応した速やかな指導に努めていくこととしております。


◯安藤委員

平成29年度のリンゴ病害虫防除暦の指導をされているというお話だと思うのですけれども、その周知については、県としてどのように把握しているか。そして、4月13、14日が芽出しだろうということですが、きょうは21日ですから、既にその時期が経過したわけなのですが、その大切な時期に特別散布が実際に行われたのかどうか、どのように認識しているのでしょうか。

◯舘田りんご果樹課長

周知につきましては、昨年度3月に関係機関と一緒に撲滅に向けての決起大会を行っておりまして、意識の高揚を図っております。それから、私もNHKの取材等に答えてテレビ等に出演しましたけれども、そういうような形で、いろいろ防除暦を含めて改定しており、適期に防除するようにということを呼びかけております。
また、先ほど言ったように、生産情報をこまめに発行する。それから、病害虫防除所で発行しております防除情報につきましても、昨日また発行しておりますけれども、いろいろな形で情報を提供して呼びかけているところでございます。
それから、特別散布の実施状況については、各県民局に問い合わせたところ、大体半分のところで実施をしているとのことで、これは発生が多いところのほ場で実施するようということで呼びかけておりますので、半分程度ということで把握しております。


◯安藤委員

冒頭の説明で、薬剤散布とあわせて菌密度を下げるために落葉したものを処理していくということで、それはとても大切なことだと考えていますが、その時期も、ちょうど草がたくさん生えてくる前に作業することがとても重要だと思います。その辺について、実際、秋、雪が降る前にもそういう指導はされていたかと思うのですが、生産者の方の声を聞きますと、なかなかそこまで手が回らないという実情もお聞きしました。今、雪解けが終わって、草が生える前の落葉に対する処理が徹底されることがとても重要だと思うのですが、その辺について周知徹底がされているか、また、実情をどう把握されているのか伺いたいと思います。

◯舘田りんご果樹課長

落葉処理の促進といいますか、呼びかけにつきましては、昨年度、1万部以上チラシを作成して、毎戸配布させていただきました。そのほかに中南地域県民局では、4月中ごろ、日にちは把握しておりませんけれども、キャラバンということで呼びかけをして、次の日、展示ほを設けて、すき込みと処分について、このぐらい効果があるのだということを実演して啓蒙しているところでございます。


◯安藤委員

また多発しないように、その辺の指導と現状把握をしながら、きめ細かな対策を講じていただきたいと思います。
次に、新たに薬剤に選ばれたフルーツセイバーという薬剤の効果は、EBI剤の約5分の1だとお聞きしているのですけれども、薬の特性に関してどのような配慮が必要となるのかお伺いしたいと思います。

◯舘田りんご果樹課長

新たに採用したフルーツセイバーは、EBI剤に比べて治療の効果が少ないということですが、防除暦に採用されていますそのほかの薬剤としてユニックス、チウラム、ジマンダイセン等があり、これらはEBI剤のような、感染してからの発病を抑える効果を余り期待できない薬剤でございますので、黒星病の重要な防除時期であります4月から6月まで10日間隔で、予防、予防という形で適正な防除をすることにより、黒星病の侵入を予防していくということで進めていきたいと考えております。


◯安藤委員

そういう意味では、これまでよりも薬をかける回数をふやさなくてはいけないという状況になるかと思います。となりますと、薬剤にかかる費用がどのくらいふえるのかということは私はわからないのですが、県としてはその薬剤費用について、どのくらい負担がふえるのかという試算をされているのでしょうか。

◯舘田りんご果樹課長

3月の委員会でも答弁しておりますけれども、新たな病害虫防除暦に基づく薬剤費は、現行に比べて、10アール当たり最大で3,800円程度高くなる見込みとなっております。その増加割合は、県の経営改善指標に基づく現行の薬剤費が、10アール当たりで5万3,700円となっておりますので、7%に当たるということになっております。


◯安藤委員

以前にも要望いたしましたが、生産者の方たちの経営を安定的なものにするためにも、この防除費用に対する支援というのもぜひ検討していただきたいと思います。
それから、今回新しく取り入れたフルーツセイバーですけれども、これもいずれは感受性が低下していくということが考えられるのですが、どのくらいの期間はこの方針でやっていけるとお考えでしょうか。

◯舘田りんご果樹課長

どのくらいの程度もつかというのは、今のところは把握してございませんけれども、連用するとやはり効果が落ちていくということが示されておりますので、連用しないようにということで指導していきたいと考えております。


◯安藤委員

それから、冒頭の部長からの説明で、黒星病の菌が存在するというお話でしたが、それが伝染していくような環境について、今の気候とか雪解けの時期に鑑みて、どのような推測がされるか伺いたいと思います。

◯舘田りんご果樹課長

先ほど部長から御説明しましたけれども、飛散状況の推測という問題で、アップルネットにも掲載していますが、数個というような形で確認されております。その数が数百とか数千になると感染する見込みが非常に高くなるということで、これから中旬、下旬、感染が一番見込まれる、花がついてから開花期というところが防除的には非常に大事になってくると考えております。


◯安藤委員

これからそういう大切な時期に入っていくわけですので、飛散の状況もしっかり把握しながら、その情報を生産者の方たちに伝えて、蔓延することのないように期待したいと思います。
黒星病に関してもう一点伺いたいのですが、県内には無農薬でリンゴを栽培されている方たちも、割合としては少ないかもしれないですがいらっしゃるわけですが、その無農薬栽培をしている方たちの園地が、今回の黒星病に罹患した状況はどうだったのか、もし把握していたら伺いたいと思います。

◯秋本食の安全・安心推進課長

具体的には、現在、無農薬でやられている方、数は多くないですけれども、正式に黒星病の発生の関係で把握している情報はないです。


◯安藤委員

ぜひとも把握していただいて、菌に強い園地をつくっていくということも重要かと思いますので、総合的にさまざまな角度から検証していただきたいと思います。
それから、リンゴ黒星病の発生予察情報について、どのように周知されているのかお伺いいたします。

◯舘田りんご果樹課長

リンゴ黒星病の発生予察は、防除時期の判断に非常に重要なことから、昨年故障しました黒星病発生予察機メトスにかわり、より正確な情報を提供するため、平成28年度にりんご研究所に高性能の観測機能をもつシーカメラと黒星病菌を自動で計測できる高性能顕微鏡を導入しております。
これらにより、菌の飛散状況を実測し、黒星病に感染しやすい4月から6月までの期間、1週間で2回程度の頻度でアップルネットで情報提供し、農協や県民局等の指導機関で活用しているところでございます。
また、本年3月に東青、中南、三八、西北地域にシーカメラと黒星病菌の胞子の採集器を設置し、各地域の気象に対応したきめ細かい予察を行うためのデータ集積を行っております。
これまでのところ、黒星病菌の飛散につきましては、先ほども御説明しましたが、4月13日から確認されておりまして、まだ感染の危険性が高まる段階ではございませんが、散布予定日に降雨が見込まれる場合は、事前散布を徹底するとともに、1回目の散布適期と見込まれております4月22日、23日ころ、これが展葉の7日後ごろということですけれども、4月22日、23日ころから6月までは10日間隔で薬剤散布することをリンゴ生産情報等を通じて呼びかけていきます。


◯安藤委員

メトスが活用できなかったということが、去年の蔓延の一つの要因になったと捉えてよいかと思うのですが、今回は新しく導入した予察機によって、しっかりと菌の状況把握を行った上で指導を徹底していただきたいと思います。秋の収穫期に黒星病の被害が少なかったと言えるような状況になるよう、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
次の質問ですが、農業経営収入保険制度の導入についてです。
現在、国会で審議中の収入保険制度は、法律名を農業災害補償法から農業保険法に改めるというもので、いわゆるTPPを視野に入れた農産物の収入下落に対応する措置を制度で位置づけるというものだと考えます。加入の前提は、青色申告をしている農家に限られるということから、後継者がいなかったり、比較的小規模な農家は、これまでのやり方で進めたいという場合や、また、掛け金や作付の種類などによって、経営的に青色申告をしないという選択をするなど千差万別だと思います。その場合、これまでの災害に対応する農業共済はどうなるのかという問題について、きょうは質問したいと思います。平成31年分の収入から制度が始まりますが、農業共済など既存の類似制度はどうなっていくのかお伺いいたします。

◯齋藤団体経営改善課長

平成31年から収入保険制度が始まる予定ですが、水稲共済や果樹共済などの農業共済制度は存続し、農業者は、基本的に収入保険制度か既存の類似制度かのどちらかを選択して加入することになります。
なお、収入保険制度の導入にあわせて農業共済制度の見直しが予定されており、その内容といたしましては、まず、水稲共済では、当然加入制が廃止され、任意加入制となること、果樹共済では、補償対象を暴風雨等、災害の種類を限定して加入する特定危険方式が廃止され、あらゆる災害に対応する総合方式に一本化されることなどが挙げられます。


◯安藤委員

水稲共済が任意加入制になり、果樹共済についても内容が若干変わり、総合方式に一本化するというお話でした。これまでも果樹共済の加入については、加入率を高めるために県や各市町村が努力されてきたと思うのですが、掛け金も高いということでなかなか総合方式を選択する方が低調に終わってきたという経緯があったと思います。今回の改定で総合方式一本になると、ますます果樹共済を選択した方にとっては、加入しづらくなるという気がするのですが、その辺については、どのような配慮がされていくのかお伺いしたいと思います。

◯齋藤団体経営改善課長

今回の改正につきましては、収入保険制度ができるということで、既存の制度については極力簡潔な制度にするというのが国の基本的な考えと聞いています。確かに、委員が言われたとおり、掛け金はまず2倍から、あるいは3倍程度、特定危険方式に比べると高くはなるのですが、全体的に全ての災害に対応し得るというところで、補償の範囲は非常に広がるということが1点でございます。
また、どうしても掛け金が高いということであれば、収入保険制度のほうに入っていただいて、恐らく掛け金は安くなるかと思いますので、そちらのほうで対応していただく。
県といたしましては、いずれにしても、農業者の方がこれからも経営を維持安定させていくためには、収入保険制度、あるいは、既存の類似のセーフティネット、共済制度のいずれでも構いませんので、とにかく入っていただいて、安心して経営を維持していただくということでやっていきたいと考えております。


◯安藤委員

そうしますと、平成29年度の収穫に対する果樹共済の加入は、多分締め切られたかと思うのですが、その辺の説明も十分周知され、果樹共済を選択した方たちには説明が行き届いていたと考えてよろしいですか。

◯齋藤団体経営改善課長

果樹共済にかかわらず、制度の周知につきましては、昨年6月から、県が主体となりまして、関係機関と連携していろいろと説明させていただいております。そうした中で、今回、果樹共済についての見直しのお話でございますが、実際に総合方式に一本化されるのは平成34年産からになります。ですから、それまでは従前どおり、これまでどおり特定危険方式がまだございますので、それについては、これからも改めて農業者の方々には周知を図っていきたいと考えております。


◯安藤委員

それから、既存の農業共済の中で、収入保険の対象にならない種類の共済はあるのかどうか伺いたいと思います。

◯齋藤団体経営改善課長

基本的に全て対象になるとは思います。


◯安藤委員

家畜共済も対象になると考えてよろしいですか。

◯齋藤団体経営改善課長

家畜については、病傷事故という、いわゆるけがをした場合の事故、病気もそうですけれども、それと、死廃事故という、死亡したり廃止したりというものが家畜共済でございます。収入保険については、基本的には、収入に着目しておりますので、例えば、家畜の病気とか死廃とか、そういう事態とはリンクしませんので、それぞれ入れるということにはなります。


◯安藤委員

それぞれ入れるわけですね。両方に入る畜産農家も出てくるということでよろしいわけですか。

◯油川農林水産部長

今、いろいろな条件の中で御説明させていただいていますけれども、大きい捉え方として、今の収入保険については、肉用牛、肉用の子牛、豚、鶏卵等は、一応対象品目から除外されているという大きい枠組みの中で整理されております。と申しますのは、畜産については、これまでも独自の共済制度がございますので、そういうものを基本にして引き続きやっていくと我々は理解しております。先ほど団体経営改善課長が触れたのは、もう少し細かい分野でのお話だったのですが、大きな捉え方としては、畜産関係は除外ということで理解していただいて結構だと思っています。


◯安藤委員

畜産の生産者の方たちがよく理解できているのかどうか、その辺の周知もしっかりと行っていただきたいと思います。
いずれにしましても、生産者にとって収入保険のほうが経営にとってよいのか、あるいは、これまでの農業共済のほうがよいのか、その生産者の条件によって随分異なるかと思います。そうした選択に迷う方たちへの相談体制をしっかりと整える必要があるかと思います。そこで、制度の導入に当たり、農業者の経営安定に向けて、県はどのように対応していくのかお伺いします。

◯齋藤団体経営改善課長

県では、農業者が、収入保険制度か既存の類似制度かのいずれかに加入することにより、農業経営の安定に万全を期すことが重要であると認識しております。
このため、収入保険制度と農業共済制度、どちらを選択するかの相談に対しては、本年1月、各農業共済組合に設置された収入保険制度相談窓口が、また、経営全般にわたる相談に対しては、地域県民局に設置されている農業経営相談窓口等が対応することに加え、昨年度に引き続き、収入保険加入に向けたセミナーの開催等によりまして、制度内容の周知に努めてまいります。
なお、農業者が収入保険制度か既存の類似制度のどちらに加入するかについて適切に判断できるよう、県では農林水産委員会とともに、国に対し、各種制度等を比較検討できる資料の速やかな提示について要望したところでございまして、国からは、法案成立以降、詳細な資料を示していきたいとの回答を得ているところでございます。


◯安藤委員

詳細な条件等、まだ不確かな部分もあるかと思うのですけれども、3月15日までに青色申告をしなければならないという、そういう差し迫った状況の中で、迷いながらそれぞれ選択した方もいるかと思います。一度、収入保険に加入するということを前提に青色申告をした方もいるかと思うのですが、その青色申告を選択した方が、翌年はまた考えを変えて白色申告に戻すとか、あるいは、収入保険制度を申請した後に、その後また選択を変えていくという柔軟性は確保されるのかどうか、その点についてもお伺いしたいと思います。

◯齋藤団体経営改善課長

現在聞いているところによりますと、収入保険制度の加入要件につきましては、原則としては5年以上青色申告を継続していることでございますが、我々県も従前から国のほうに要望してきておりまして、1年から加入できるということで、現在、法案が出ているところでございます。ただ、あくまでも、1年であっても青色申告をしているという実績が必要でございますので、例えば、昨年やってことしやっていないとなると、その翌年の収入保険には入れないということにはなってしまいます。

「主要農作物種子法について」」

◯安藤委員

農業者の主体性を尊重しながら、これまでの果樹共済を選択する場合もありますので、これまでの農業共済の周知や入りやすい制度というのもしっかりと構築していただきたいということをあわせて要望しまして、この質問は終わります。
次の質問ですが、主要農作物種子法の廃止法案が4月14日に十分な審議が尽くされないまま可決するという事態となりました。県に対する具体的な説明はまだ行われていないということですので、これまでの県の取り組みについて伺いたいと思います。
まず1点目は、主要農作物種子法とはどのような内容を定めた法律なのかお伺いします。

◯坂田農産園芸課長

主要農作物種子法は、戦後における食糧増産を背景に、主要農作物である稲、麦類、大豆の優良な種子の生産と普及を促進するため、昭和27年に制定された法律であります。
その内容は、都道府県が普及すべき主要農作物の優良品種、いわゆる奨励品種を指定し、農業者が使用する種子の元となります原原種及び原種の生産、種子を生産するほ場の指定、それから、優良な種子であることを保証するために審査することなどを規定したものであります。
なお、本法律は、来年3月31日で廃止となりますが、その趣旨は、平成28年11月に策定した農業競争力強化プログラムに基づき、種子・種苗について、民間活力を最大限に活用した開発、普及体制を構築することとされております。


◯安藤委員

この主要農作物種子法が廃止されることに伴って、これまで行ってきた県の取り組みが後退していくのではないかという危惧を感じるわけですが、その点については、どのように捉えているのでしょうか。

◯坂田農産園芸課長

主要農作物種子法廃止法案に対する附帯決議に、政府に対しまして、都道府県の継続的な種子の安定生産のための予算及び体制確保や主要農作物種子の適正価格の維持が求められております。このことから、種子生産体制はこれまでどおり維持が見込まれると考えてはおりますが、県では、この附帯決議のほか、国の見解や他県の動向を見極めながら、必要に応じて関係機関と推進体制を検討し、生産者に不利益が生じないよう対応していくこととしております。


◯安藤委員

主要農作物の優良な品種を普及するため、県は具体的にどのような対応をしてきたのかお伺いします。

◯坂田農産園芸課長

県では、主要農作物の優良な品種の普及を促進するため、県産業技術センターや国等が育成した品種のうち、本県の気象条件に合致し、既存の奨励品種と比較して、収量、病害虫抵抗性、品質等がすぐれていると認められる品種について、学識経験者や農業団体等で構成する青森県主要農作物奨励品種審査会に諮り、その意見を聞いて奨励品種に指定するかどうかを決定しています。
また、奨励品種の普及拡大に必要となる種子供給の仕組みについては、まず、種子の元となる原原種や原種を県産業技術センターが生産し、その後、県内の種子生産組合が原種を用いて種子を生産します。県が行う審査に合格した種子は、農協等を経由して生産者に届けられる体制となっております。
さらに、奨励品種の普及に当たりましては、農業普及指導員や農協の営農指導員等の指導者に対して、栽培マニュアルを作成するとともに研修会を開催するほか、生産者に対しましては、普及拠点ほを設置し、現地で栽培講習会を実施するなどにより品種特性の周知と作付拡大を図っております。


◯安藤委員

青森県の気候やさまざまな条件に適合する品種を開発するために、これまで努力されてきて、「青天の霹靂」なども誕生してきたと思うわけですが、そのように試験場で行われてきた品種開発の体制というのは、これまでと変わらず進められていくという認識でよろしいでしょうか。

◯坂田農産園芸課長

国から詳細な方針についてはまだ説明されておりませんけれども、これまで県産業技術センターが培ってきました品種開発については、法律が変わったからこれでということではございませんし、今後も引き続き、本県の気象条件などに合致した品種開発については、継続していくということで考えております。

◯安藤委員

農林水産省は、種子法廃止の理由として、都道府県が開発した品種は民間企業が開発した品種よりも安く提供することが可能なことを挙げ、平等に競争できる環境を整備するためとしています。しかし、実際は民間の三井化学アグロが開発した「みつひかり」の価格は、20キログラム8万円で、青森の「まっしぐら」の10倍もするそうです。これまで出資法のもとで公的にコントロールされてきたコメ・小麦・大豆と民間育種が主流の野菜とでは、生産コストに占める種苗代の違いは二、三倍の開きがあると言われています。この公的コントロールの枠が外されることから生まれる農家の負担増が懸念されます。また、県、地域にあった品種改良が急速に進んでいる動向に逆行し、品種の画一化が進む危険性も指摘されているところです。こうした問題が強調されていかないように、県の試験場の独自の開発、そして、生産者の負担がふえないよう、県としては国に対してもしっかりと声を挙げていただきたいと思っております。
以上で終わります。