2017年6月28日平成29年農林水産委員会

「リンゴの病害虫に関しまして」

◯安藤委員

最初に、今の報告の中で1つお聞きしたいのが、リンゴで開花しても結実しないカラマツが一部発生しているというお話を聞いたのですが、県でその状況を把握していましたら伺いたいと思います。

◯舘田りんご果樹課長

ちょっと今、詳細を持ってきておりませんでしたけれども、受粉の開花期に風が強くて、めしべが乾燥がしやすいという状況や、低温が続いたということもあって、一部園地でカラマツが──品種、それから、園地の中でもばらつきがありますが、多少影響が大きいところもあると承知しております。ただ、全体的に見れば、先ほど部長から報告したとおり、標準的な着果量は確保できているということになっております。


◯安藤委員

県全体の生産量には影響がないということだと思いますが、場所によっては、カラマツの発生率の高いところがあると聞いていますので、実態をしっかりと把握して、対応策についても考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、通告していました質問に移ります。最初は、リンゴ共済の加入状況についてです。
最初に、平成29年産リンゴ共済の加入状況についてお伺いいたします。

◯齋藤団体経営改善課長

平成29年産リンゴ共済の加入状況は、戸数が7,223戸で、面積は8,106ヘクタールとなっており、加入率を面積ベースで見ますと、前年産を0.6ポイント上回り、平成に入って過去最高となる40.7%となっております。
地域別の面積では、中南地域を管内とするひろさき広域農業共済組合が前年産と同じ40.5%、東青・西北地域を管内とする津軽広域農業共済組合が、対前年産比3.1ポイント増の47.4%、三八・上北・下北地域を管内とする南部地域農業共済組合は、対前年産比0.3ポイント減の23.4%となっています。
また、加入方式別の面積では、全ての自然災害や病虫害、鳥獣害を補償対象とする総合方式が2.6%、暴風雨、ひょう、霜による被害に補償対象を限定した特定危険方式が97.4%の加入となっています。


◯安藤委員

全体を見ますと加入率が向上しているということは、それぞれの関係機関の御努力が実っているのだと思います。ただ、特定危険方式が全体で7,044戸の7,893ヘクタールに対して、総合一般方式は65戸、77.1ヘクタール、総合短縮方式が114戸の136.1ヘクタールという数になっていまして、2つ合わせても179戸の213.2ヘクタールで、特定危険方式に比べるとまだまだ低いという状況であることがわかります。この総合方式への加入が進まない理由については、どのように認識しているのでしょうか。

◯齋藤団体経営改善課長

当県では、過去の被害状況といたしまして、一番大きいのは台風等による被害でございまして、その被害の過去の事例等を踏まえながら、また、掛金も、風に限定した特定危険方式に比べるとオールリスク──全ての災害を対象としている総合方式はどうしても割高になるということもございまして、これまで特定危険方式への加入が多かったと認識しております。


◯安藤委員

それでは、平成29年産リンゴ共済の加入状況に対する県の見解について伺います。

◯齋藤団体経営改善課長

リンゴ共済の加入に対する取り組みとしては、平成20年に県内の広い範囲で降霜・降ひょう被害を受けたことを契機に、農業共済組合ごとに設置した市町村等関係機関で構成される地域果樹共済加入促進協議会が加入推進活動を積極的に展開してきました。
その結果、リンゴ共済の加入率は増加傾向にあり、農業者にリンゴ共済の重要性が認識され、みずからの経営はみずからが守るという意識が醸成されてきたものと受けとめています。
こうした中で、平成29年産リンゴ共済の加入率が、前年産を0.6ポイント上回る40.7%となったことは、高齢化に伴う離農・規模縮小等により、リンゴ共済の継続加入を取りやめる農業者がいる一方で、新たにリンゴ農家全戸に対する戸別訪問に取り組むなど、農業共済組合を中心とした加入推進活動を強化したことが大きな要因であると考えています。


◯安藤委員

どんな災害が来ても対応できる、農家自身がそういう力をつけていくためのリンゴ共済は大変大事なものだと認識しています。ただ、特定危険方式に比べて総合一般方式は、例えば、雪の枝折れだとかそういうものにも対応できるし、黒星病など病気にも対応できるということでは、ふやしていきたいと思っています。ただ、総合方式が進まない理由として、先ほどの答弁にもありましたように、掛金が高いということがあるのですけれども、そのほかにも特定危険方式が全園地の2割を超える損害が起きたときに8割を補償するということに対して、総合一般方式や総合短縮方式が、全園地の3割を超える損害のときに7割の補償だという、この違いもあると思うのです。あと、補償期間についても、特定危険方式、総合短縮方式が発芽期から収穫期──ことし入れば、ことし実ったリンゴに対して補償されるのに対して、総合一般方式が、発芽の形成期から翌年の収穫期ということで、ことし収穫されたリンゴは補償の対象にならず、翌年収穫されたリンゴを補償対象とするという、この違いもやはり入りにくくしている理由だと思っています。この辺が、生産者の方たちの声、総合一般方式がふえない理由に思えるのですが、どのように考えているでしょうか。

◯齋藤団体経営改善課長

私どもが具体的にお聞きしている理由としては、やはり掛金が割高である。あるいは、先ほども答弁させていただきましたが、被害がどうしても多いのは台風による風等だと聞いております。ただ、今、委員から御指摘がございました、責任の期間等につきましては、これから我々も改めて共済組合等も通じて、生産者の声を聞きながら、必要に応じて対応等も検討していきたいと考えております。


◯安藤委員

加入状況の資料を見ましたら、板柳町が、総合方式の加入数が県内で一番多いんですね。弘前市などと比べたら生産者の数も少ないと思いますが、それでも総合方式がトップの数になっているわけですけれども、この辺の理由というか、板柳町の取り組みなどがもしわかっていましたら、伺えればと思います。

◯齋藤団体経営改善課長

委員御指摘のとおり、板柳町等で非常に加入状況が高いということは承知しております。その一つの要因として、板柳町は、非常にリンゴの生産が盛んな地域で、昔から、町で掛金等を助成している、地域の主力産業だということでやられているということもありますし、やはり生産者自体のリンゴ生産、あるいは、リンゴ経営に対する意識というものが非常に高いというところもございまして、ことしだけではなくて、昔から板柳町につきましては、非常に加入率が高いと認識しております。


◯安藤委員

板柳町も含めて、自治体の掛金に対する補助などについても手厚いのではないでしょうか。

◯齋藤団体経営改善課長

本県で果樹共済を実施している市町村が全部で22ございます。そのうち掛金等を助成している市町村が13ございます。市町村によって、その掛金の助成度合いについてはまちまちでございますが、助成している市町村というのは、先ほど板柳町の事例もお話ししましたが、やはりその市町村で、地域の中でリンゴ生産、リンゴ産業というのが非常に重要だというところで手厚くされているのだと考えております。


◯安藤委員

平成34年産から特定危険方式が廃止され、総合方式に一本化されることになっていますが、県はどのように対応していくのか伺います。

◯齋藤団体経営改善課長

本県では、平成25年に河川の氾濫による園地の水没等の大きな被害が発生した際、暴風雨、霜、ひょう害を補償対象とした特定危険方式に加入していた多くの生産者が補償されなかったなどの事例もあることから、県としては、全ての自然災害による減収を補償対象としている総合方式のメリットについて周知してきたところでございます。
一方、平成31年産からは、自然災害に加え、価格低下による損失も補填する農業経営収入保険が始まりますが、農業経営収入保険とリンゴ共済は、重複加入が認められないことから、農業者はいずれかを選択して加入することになります。
農業経営収入保険は現在、保険料や補償割合等、制度の概要は示されておりますが、保険料のほかに農業者が負担することとなる事務費賦課金等は明らかにされていないことから、県としては、農業者がみずからの経営内容を踏まえて農業経営収入保険か、既存の制度であるリンゴ共済やりんご経営安定対策事業への加入について、適切に選択できるよう、国からの情報収集に努めながら、より詳細なシミュレーションが可能となる資料等を農業者に情報提供していきます。


◯安藤委員

総合方式はなかなか加入率がふえていかないという実態があるわけですね。やはり掛金のことだとか、台風や風で被害が起きることが多いという過去の事例なども踏まえて、特定危険方式の加入率がずっと高いわけです。そして、総合方式に一本化になるということが今、示されているわけですが、その際、総合一般方式と総合短縮方式と2本あるわけですが、この両方が、総合方式一本ということは、これを合体することになるのか、この2本がそのまま生きるのか、その辺について、もし決まっていましたら伺いたいと思います。

◯齋藤団体経営改善課長

先般、6月16日に農業経営収入保険創設等に係る法律が成立したわけでございますが、その中では、まだそこまでは決められておりませんで、一本化する際に2つ残るのか、あるいは、一本化されるのか、一般方式だけになるのかについては、今後、国のほうで政省令等を順に固めていくと思いますので、その段階でその辺が明らかになると考えております。


◯安藤委員

ぜひ県としても、意見を反映させていただきたいと思います。その際には、現在、総合一般方式よりは総合短縮方式のほうに加入している方が非常に多いという現実がありますし、入りやすいということや、補償の期間の問題などもありますので、県としてはぜひ両方を残すように声を上げていただきたいと思います。そのことを要望したいと思います。
これから収入保険のほうに加入していくのか、それには入らずに果樹共済に入っていくのかというのは生産者の判断に委ねられることになるわけですが、収入保険制度は今の時点ではないわけですが、それでも果樹共済に入らない方も多いわけですね。そういう中で、今後、収入保険か果樹共済かと迫られても、結局、どちらにも入らないという方が残っていく可能性も非常に高いと思います。特に小規模農家の方や後継者がいない農家の方たちというのは、やはりこれからも果樹共済にも入らずという方も残っていく可能性が高いと思われます。しかし、青森県としては、リンゴの生産を、数量を維持していきたいと考えていると思いますし、日本一の生産量を維持していくということから考えると、やはり小規模農家の方たちにも入りやすいリンゴ共済をしっかりと守っていくということが重要だと思いますので、そういう方たちにも、どんな災害が来ても対応できる体制づくりを、県もしっかりと農家の方たちに寄り添って考えていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次の質問に移ります。青森県りんご経営安定対策事業についてです。
最初に、平成28年度の加入状況についてお伺いします。

◯舘田りんご果樹課長

青森県りんご経営安定対策事業は、リンゴ生産者の経営の安定を図ることを目的に、消費地市場の9月から翌年5月までのリンゴの平均価格が一定の基準を下回った場合に、生産者に対し、次年度の再生産に向けた経費の一部として補填金を交付するものです。
平成28年度の加入状況は、加入者数が1,739人、加入面積は2,334ヘクタールで、加入者1人当たりの平均加入面積は、約1.34ヘクタール、県全体のリンゴの栽培面積に占める加入面積の割合は、約12%となっています。
なお、この事業のために資金造成した合計は、約6億3,023万円で、生産者が50%、県が35%、市町村が15%拠出しており、生産者は、毎年、10アール当たり4,500円、事業期間である3年間で1万3,500円拠出しております。


◯安藤委員

今、ちょうどこのりんご経営安定対策事業の切りかわりの時期にあり、平成29年から3年間の加入者を募るという時期に来ているわけですけれども、答弁にありましたように、県も6億3,000万円拠出されているということなのですが、平成29年からの事業に向けての県の予算というのは、どのくらい見込んでいるのでしょうか。

◯舘田りんご果樹課長

今年度の予算につきまして、先ほど安藤委員が、県が資金造成した額が約6億3,000万円という話をされましたけれども、それは全体でという意味で、生産者、それから、県、市町村の拠出金を合わせて6億3,000万という意味でございます。今年度からの事業につきましては、6億3,023万円ということで、これは平成28年度の実績に基づきまして予算化しておりまして、県としましては、2億2,058万2,000円を予算化しております。


◯安藤委員

生産者に補填金を交付したこれまでの実績についてお伺いします。

◯舘田りんご果樹課長

本事業は、平成23年度から25年度を第1期目、平成26年度から28年度を第2期目として取り組んできております。これまでの6年間は、消費地市場における9月から翌年5月までのリンゴの平均価格が補填金交付の基準価格を下回らなかったことから、生産者に補填金を交付した実績はございません。
なお、補填金の交付がない場合、事業期間終了後に、生産者が拠出した金額は、返金されることになっております。


◯安藤委員

この6年間は、補填しなくても済んできたということですので、これは大変うれしいことです。ただ、今後どういう状況で価格変動があるか、それは未知なわけでして、ぜひりんご経営安定対策事業をしっかりと構築していただきたいと思っております。
平成29年度からの新たな事業への加入促進にどのように取り組んでいるかお伺いします。

◯舘田りんご果樹課長

本事業は、今年度から平成31年度までの3年間を第3期目の事業期間として、初年度目であります今年度、改めて加入するリンゴ生産者の募集を行っております。
県では、事業主体である公益社団法人青森県青果物価格安定基金協会や市町村、関係機関・団体等と連携しながら、加入申込先であります農協、りんご協会、産地市場のほか、市町村等を通じた生産者へのリーフレットによる周知、それから、栽培研修会等での呼びかけ、前期に加入していました生産者に文書による再加入の文書依頼、りんご協会が発行するりんごニュース、最大の栽培面積を有する弘前市の農業者向け広報紙に募集記事の掲載をしてもらっております。それから、県のラジオ広報番組による加入促進の呼びかけなど、さまざまな方法で生産者の加入促進に取り組んでいるところでございます。
なお、その際には、果樹共済制度や、国が平成31年度から実施する予定の収入保険制度の紹介を含めて、周知に努めているところでございます。


◯安藤委員

平成29年度からの事業への加入の締め切りはいつになるのでしょうか。

◯舘田りんご果樹課長

一般的には、新規の方は8月下旬までの受付になっておりまして、今まで加入されている方は6月末までの申し込みということになっております。


◯安藤委員

この制度にかかわって、青森県りんご経営安定対策検討委員会というものがあるかと思うのですが、この開催状況と、委員の方々からどのような意見、要望などが出されているかお伺いします。

◯舘田りんご果樹課長

県では、リンゴ生産者の経営安定に向けた施策のあり方や具体的な方策等について、関係者から広く意見をいただくことを目的に、学識経験者や生産出荷団体等で構成する、青森県りんご経営安定対策検討委員会を設置しております。
本事業につきましては、平成28年度で事業終期となったことから、昨年9月20日に検討委員会を開催して、次期対策のあり方について検討し、11月に平成29年度からの新たな事業内容について、青森県りんご経営安定対策に資する施策提言書として取りまとめ、県に提出されたものでございます。


◯安藤委員

その提言書の中で、主な提言というのはどういうことでしょうか。

◯舘田りんご果樹課長

具体的には、現行事業をそのまま継続すること、物価上昇に合わせて補填基金の基準価格を4円上げること、それから、特に意見があったのは、りんご協会の藤田会長から、最近、経営面積がふえてきているということも含めて、今、上限が2ヘクタールというところの見直しをお願いしたいというような意見が出されております。


◯安藤委員

それらの提言について、県はどのように対応していくことになるのでしょうか。

◯舘田りんご果樹課長

基準価格につきましては、4円上げて決定したところでございます。
また、上限の関係でございますけれども、現状、調べてみますと、平均面積は2ヘクタール弱で、2ヘクタール以下の方々で約8割ぐらいというのが、リンゴ農家の面積になっておりますので、限られた予算の中では、2ヘクタールまでの上限ということで決めさせていただいております。


◯安藤委員

次年度からは2ヘクタールが上限ということで決まったということですが、そういう生産者の声もある、提言にもあるということですので、ぜひ今後、そうした声が反映されるような検討もしていただきたいと思います。
次に、りんご経営安定対策事業というのは、果樹共済への加入が前提になっているわけですが、国が導入を進めている収入保険制度へ加入した生産者は、果樹共済に加入できなくなりますが、青森県りんご経営安定対策事業への加入はどのようになるのかお伺いします。

◯舘田りんご果樹課長

委員御指摘のとおり、生産者が国の収入保険制度に加入した場合には、果樹共済へ加入できなくなるとされていることから、果樹共済への加入を条件とする本事業については、現行の運用では加入できないことになります。
県としましては、収入保険制度の運用に係る国の動きを注視しながら、今後の経営安定対策のあり方について、関係機関・団体の意見を踏まえて検討を進めるとともに、生産者が国の収入保険制度へ加入した場合と、果樹共済及び本事業へ加入した場合について、比較検討できるよう情報提供に努めていきたいと考えております。


◯安藤委員

生産者が比較検討して、どちらも選べるということが大前提だと思いますので、収入保険制度に移行しない方たちの対策としては、やはりりんご経営安定対策事業というのはしっかりと今後も継続させ、充実させた制度にしていただきたいということを要望したいと思います。
次の質問ですが、コドリンガ及び火傷病についてです。
5月22日に農林水産省植物防疫所は、日本向けに輸出される米国カリフォルニア州産サクランボで、指定生産地から出荷されたものから、検疫の生果実検査時にコドリンガの幼虫が発見され、直ちに輸出停止したことを発表したそうです。全国果樹研究連合会は、リンゴ部会を含めた関係果樹部会長の連名で、国内侵入阻止に係る要請書を同省へ提出したという記事を見ました。
そこで、火傷病とコドリンガの世界における発生状況についてお伺いしたいと思います。

◯秋本食の安全・安心推進課長

火傷病は、リンゴなどの果樹や花木に発生する細菌による病害で、アメリカ合衆国で1780年に初めて発見され、北米やニュージーランド、イギリス、エジプトなどに広がっていき、現在では、ヨーロッパのほぼ全域から西アジアまで発生しています。また、東アジアでは、韓国で平成27年、28年に発生が確認されております。
また、コドリンガは、リンゴなどの生果実に発生する害虫で、かつてはヨーロッパに生息していましたが、現在では、ハワイを除くアメリカや中国、ヨーロッパ、アフリカなどに幅広く分布しております。


◯安藤委員

火傷病とコドリンガの影響を受ける果樹の種類について伺います。

◯秋本食の安全・安心推進課長

火傷病の影響を受ける果樹は、リンゴ、梨、カリン、マルメロ、ビワなど。また、コドリンガの場合は、リンゴ、梨、サクランボ、桃、スモモなどが挙げられます。火傷病とコドリンガは、いずれもバラ科の果実を主に加害する病害虫でございます。


◯安藤委員

先ほどの世界の発生状況をお聞きしますと、かなり広範囲に発生しているということがわかります。いつ侵入するか大変不安な中にあると感じます。そこで、県は、火傷病とコドリンガの侵入に備えて、どのような対応をしているのかお伺いします。

◯秋本食の安全・安心推進課長

県では、火傷病やコドリンガなどの国内未発生の病害虫の侵入を早期に把握するため、国の指針に基づく侵入警戒調査を実施しております。
具体的には、火傷病については、リンゴと梨の園地におきまして、5月上中旬の開花後1週間目から2週間目に68地点、6月から7月の果実の肥大時に248地点において、花腐れ症状や新梢の枝枯れがあるかないか目視によって調査を実施しております。
また、コドリンガについては、4月から11月にかけて、県内のリンゴ園や市場11地点でフェロモントラップによる調査を実施しております。
特に、侵入した場合、コドリンガより影響力の大きい火傷病につきましては、早期発見に係る協力体制の構築等を図るために、平成24年度に青森県火傷病侵入警戒連絡会議を設置しまして関係機関、団体において情報の共有に努めております。また、市町村や関係団体等に文書で注意喚起しているほか、海外渡航者を対象としまして、青森空港管理事務所やパスポート交付窓口にポスター掲示とチラシの配布をお願いしているところでございます。


◯安藤委員

今お話しされたような備えをしているということなのですが、今現在、かけている薬の中には火傷病やコドリンガの病気を防ぐための種類のものも含まれているのでしょうか。

◯秋本食の安全・安心推進課長

火傷病につきましては、国の指針に基づいて、銅剤とかストレプトマイシンの水和剤等の抗生物質の剤を散布するということになっておりますけれども、コドリンガにつきましては、まだ国の指針による規定がないということで、発生時に国から具体的な薬剤名や防除方法について提示されるものと考えております。


◯安藤委員

りんご研究所では、火傷病とコドリンガについて、どのような対応をしているのかお伺いします。

◯秋本食の安全・安心推進課長

火傷病とコドリンガについては、検疫上、日本で発生していない病害ということで、持ち込むことができないため、実際の試験研究は実施されておりませんが、海外では火傷病とコドリンガの防除対策が確立されておりまして、文献が発表されていることから、検索できるツールを整備しまして、万が一発生があった場合において、迅速に対応できるようにしております。
また、火傷病につきましては、農林水産省の事業を活用しまして、国外の調査を行っておりまして、平成17年にニュージーランド、18年にトルコ、20年にアメリカに赴き、その結果に基づいて、国とともに「火傷病侵入警戒調査の手引き」を作成しました。さらに、平成27年には、ニュージーランドにおいて、火傷病とコドリンガの予察体制や防除体制などについて調査を行っているところです。


◯安藤委員

検疫対応の強化を国に求めるべきと考えますが、県の見解をお伺いします。

◯秋本食の安全・安心推進課長

火傷病については、平成27年と28年に、韓国において発生したことから、両年度において国に対して、「韓国における侵入経路等の早期解明と迅速な情報収集・提供」や「輸入検疫体制と国内検疫体制の強化」につきまして、要請したところでございます。
また、コドリンガにつきましては、今般、先ほど委員からもお話しがありましたとおり、米国における生果実検査で日本向けのカリフォルニア州産サクランボからコドリンガの幼虫が発見されたということから、植物防疫法施行規則に基づいて、指定生産地で生産する方式でのカリフォルニア州産サクランボの輸入が直ちに停止されました。
このことから、県りんご協会でも、本年5月30日に国に対して「コドリンガ、火傷病など未侵入病害虫の侵入を断固阻止するために輸入検疫体制を一層強化すること」などの提案書をまとめて提出したところでございます。
県としましても、火傷病とコドリンガを含めた国内未発生の病害虫が、万が一侵入した場合には、国内の農産物が大きな被害を受けることが予想されますので、輸入検疫体制と国内の検疫体制の強化を国に働きかけていきたいと思っております。

「県民の食育実践向上事業について」

◯安藤委員

ぜひ緊張感を持って侵入阻止のために全力を挙げていただきたいと思います。
次の質問に移ります。県民の食育実践向上事業についてです。
県民の食育実践向上事業に取り組むこととした経緯と目的についてお伺いします。

◯秋本食の安全・安心推進課長

県ではこれまで、青森県食育推進計画に基づき、県民が食に関する知識と食を選択する力を習得することにより、健全な食生活を実践できるよう、市町村や関係団体と連携しながら、食育を県民運動として推進してきました。
一方、平成26年の県のウェブアンケートによると、「食育の言葉も意味も知っている」とする県民の割合は約7割となっているものの、実際に食育に取り組んでいる割合が約5割と少なく、啓発活動が思うように食育の実践に結びついていないという現状にあります。
特に、食育を実践しない理由としては、金銭的な事情に加え、「忙しい」「面倒くさい」「きっかけがない」などとしていることから、県としては、その背景として、県民の間に食育は難しいものといった思い込みがあると考えております。
こうした経緯を踏まえ、今年度から取り組んでいる県民の食育実践向上事業は、県民が、農林水産業が盛んな本県の生産・流通の現場や、健康的な食事の基礎を学ぶことにより、食育は身近にある食材で手軽に始められることを理解するための機会を提供し、県民の食育実践を後押しすることを目的としております。


◯安藤委員

県民の食育実践向上事業の取り組み内容についてお伺いします。


◯安藤委員

実は、私自身が食育ということに対する認識がちょっと甘かったなと感じているのですが、食育というのは、小学生や中学生、高校生、そうした子供たちに、体をつくる上での食の大切さを学ばせるのが食育だと認識していたのですが、大人自身も健康寿命を延ばすために食事の大切さを認識させていくということで、子供ばかりではないということを改めて認識した次第です。県がこういう食育実践向上事業を進めている中で、先ほど来、いろいろな答弁がありましたけれども、なかなか進んでいかない状況も一方であるかと思います。県民性などもあるのかもしれないのですが、課題をどのように位置づけておられるでしょうか。

◯秋本食の安全・安心推進課長

先ほど答弁の中でお答えした部分と重なるのですが、基本的に、食育は、言葉としては知っているけれども、なかなか実践につながっていかないというのが大きな課題かなと思っております。ですから、どちらかというと、忙しいとか面倒くさいとかというのもあるのですけれども、食育はそんなに難しいものではないんだよと。日ごろの生活の中で工夫しながら、野菜をいっぱいとりましょうよとか、そういうことを続けていくことが食育につながるんですよということで、そういう身近なライフステージに応じた身近なところから食育をどんどんやっていければなということで、新しい事業で進めているところでございます。

◯安藤委員

この質問をしようとしたきっかけは、新聞に報じられた弘大の学生たちに向けての「自炊塾」の開講ということで、質問に至ったわけなのですが、ぜひいろいろな場面で若者や子供たち、そして大人たちも含めて、健康を維持していくためにどういう食生活が必要かということを、実践していけるような運動といいますか、県民に対しての働きかけをさらに強めて、健康寿命がさらに延びるように頑張っていただきたいと思います。
以上で終わります。