2016年5月20日平成28年商工労働観光エネルギー委員会

「住宅用太陽光発電の普及について」

◯安藤委員

大きく3点について質問いたします。
1点目は住宅用太陽光発電の普及についてです。固定価格買取制度における太陽光発電の買取価格の推移についてお伺いいたします。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

太陽光発電の買取価格は、太陽光発電の建設コストが年々減少していることから低減しています。10キロワット以上の事業用で、制度開始の平成24年度に1キロワットアワー当たり40円であったのに対して、平成25年度以降、36円、32円、27円と下がり、平成28年度は24円となっています。
また、10キロワット未満の住宅用についても同様に、平成24年度は42円でしたが、平成25年度以降、38円、37円、35円と下がり、平成28年度は33円となっております。


◯安藤委員

コストが下がっていることに合わせた買取価格の低減ということですが、さらに平成29年度から見直し案が出される予定とのことですが、この見直し案によってさらに価格が下がっていくと見てよろしいでしょうか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

固定価格買取制度の見直し案については、現在、国会で審議されており、衆議院を通過しまして、現在、参議院で審議されているところです。予定では、平成29年4月1日から施行という法案になっています。この法案が通りますと、現在、太陽光発電、いわゆるメガソーラー等の事業用の建設が全体の9割以上を占めるなど、他の風力やバイオマス等の発電より極端に進んでいる状況にあること、事業用については、建設コストがどんどん下がっていることなど、それから、太陽光が進んでいることによって国民の賦課金が高くなっていることといった問題がありますので、事業用の太陽光発電については、いわゆる入札制度を導入するという方向で、最も低い価格で落札した業者の価格を設定するということが法案の中に盛り込まれています。その方向でいきますと、当然のことながら、価格は下がっていくものと思われます。


◯安藤委員

そうしますと、住宅用については、新しい見直し案の中で買取制度そのものは引き続き残っていくという予想でよろしいのでしょうか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

今申し上げましたように、改革の主なところは、10キロワット以上の事業用がメーンであり、10キロワット未満の家庭用はこれまでと同じ制度で買取価格制度の単価が決定していきますので、これまでどおりです。


◯安藤委員

今現在も買取価格が減少してきていますが、その水準が維持されていくのか、あるいは、さらに住宅用の買取価格も下がっていくと見たほうがいいのか、その辺の見通しを伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

住宅用に限らず買取価格の基本的な考え方は、その当時の建設コストに利潤を上乗せするという考え方ですので、今年度の建設コストが幾らになるのか、来年度のコストが幾らになるのかによって価格が決定されます。これまでは建設需要が多くなって、供給が安くなり、建設コストが下がった結果、買取価格が下がってきていますので、発電者に負担がふえるということではなくて、あくまでも費用が減った分、価格を下げているという理屈ですので、今、そういう状況になっています。
この流れからすると、当然のことながら、来年度も建設コストが下がることが想定されますし、国の施策もそういう方向に導こうとしていますので、そうなるのではないかと思っています。


◯安藤委員

県内における住宅用太陽光発電設備の導入状況について伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

平成28年1月末現在で国が公表したデータによりますと、10キロワット未満の住宅用太陽光発電については、稼働済みが8,728件、設備容量で3万7,412キロワット、国の設備認定を受け、今後稼働が見込まれるのが4,992件、設備容量で2万3,194キロワットとなっています。


◯安藤委員

今、述べられた件数というのは、住宅用太陽光発電設備ですので10キロワット未満、主に住宅用ということですけれども、この導入状況は、全体を見るといつをピークにふえている状況なのでしょうか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

いつをピークにふえているかという質問の答えにはならないのですが、当然のことながら、毎年ちょっとずつふえていって、現在稼働しているのが、この3年間の結果として8,000件になっています。ちなみに、平成27年1月と平成28年1月を比較すると、設備容量で14%ふえています。全国平均が11%ですので、青森県のほうが若干伸び率が高いという状況になっていますが、全国の順位からいくと45位ですので、積雪寒冷地というようなこと等を考えると、まだまだ進んでいない状況とも言えると思います。


◯安藤委員

県内の市町村における住宅用太陽光発電設置に係る助成制度について伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

平成28年5月現在で調査した結果、県内市町村では青森市、五所川原市、三沢市、むつ市、つがる市、平川市、鶴田町、七戸町、六ヶ所村、五戸町、階上町の11市町村が助成制度を設けています。大体、おおむね1キロワット当たり2万円から4万円代の補助単価を設定して助成をしている状況です。


◯安藤委員

11市町村ということですが、助成をする期間がわりと短いところが多いようですけれども、平成28年度以降も助成制度を継続させているところは、この11市町村のうちどこになるかおわかりでしたらお願いします。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

ただいまの質問ですが、この制度については、毎年度、県で調査しています。各市町村とも年度、年度で予算をとっての制度創設ですので、当然ながら、現在調べています。今話しました制度については、今年度の制度として設定されているものです。来年度以降については、予算の状況もありますし、ちょっとお答えできないことです。

◯安藤委員

平成28年度が11市町村ということですが、これからその市町村の助成が広がっていくのか、あるいは、青森県としてこの助成制度に取り組むという考えについてはいかがでしょうか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

固定価格買取制度は、先ほども申しましたように、建設コストプラス利潤を上乗せした買取価格ということで国の制度があります。当然、事業者というか一般の家庭の方が設置しますと、利潤が上乗せされていますので、特段の故障等がなければ、買取価格によって建設コストを上回る料金を手にすることができますから、若干のもうけが出るという制度です。その買取費用については、全国一律電気料金に単価を掛けて、電気を使用している方、全国民から賦課金という形で徴収するという制度になっていますので、ある意味、税金でカバーしているような制度かと思います。その上に、例えば、県が助成するということになると、さらに上乗せして県の税金を使ってということになると、それは二重投資という考え方が成り立つのではないかと思いますので、県としてはこれまでと同様、太陽光発電に対する助成制度を設けるという考え方はございません。市町村はまた市町村で、それぞれの考え方でやっているものと思います。


◯安藤委員

今のお答えとダブることになるかと思うのですけれども、もし、今のお答え以外にあれば伺いたいのですが、住宅用太陽光発電の普及について、県はどのように考えているか伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

太陽光発電については、固定価格買取制度の導入以降、メガソーラーを中心に急速に導入が進み、未稼働案件も増加しているほか、国民の負担の増大も懸念されていることから、今後は売電を目的とした大規模な太陽光発電を拡大していく方向よりも、分散型電源として、住宅用、事業用を中心に、より効率的なエネルギーマネジメントシステムを普及していく方向性を重視すべきと考えています。
また、太陽光発電の導入促進については、発電設備等の施工のみならず、発電モニタリングやメンテナンス、トラブル対応などのO&Mビジネスへの県内企業の参入促進に向け、産学官金のネットワークの強化を図っていくこととしています。


◯安藤委員

住宅用太陽光発電というのは、県民にとってはわりと暮らしの身近なところで発電できるという機会でもあり、そして、再生可能エネルギーを重視した環境をという思いの人たちが参加しやすい事業ですので、ぜひ今後もそういう事業によって、県としても産業のメリットに結びつくこともとても大事ですけれども、総合的にしっかりとこの住宅用太陽光発電の普及についても、今後とも力を入れていただきたいということを要望しまして、この質問は終わります。

「再処理等拠出金法について」

◯安藤委員

次の質問は、再処理等拠出金法についてです。去る5月11日に再処理等拠出金法が国会において成立したわけですけれども、日本共産党はこれに対し、認可法人の新設や電力会社からの拠出金制度の創設などによって、国の関与を強め、核燃料サイクルを維持しようとするものであること、また、核燃料サイクルの柱となる高速増殖炉もんじゅが総額1兆円以上の資金を投入しながら、この20年間、一度も発電していないこと、再処理で発生するプルトニウムを加工したMOX燃料を使うプルサーマル発電の原発が稼働していないこと、利用計画でも発生するプルトニウム総量年間8トンに対し、最大16基から18基稼働しても年間5.5トン及び6.5トンにしかならず、余剰プルトニウムを発生することになり、許されません。原発再稼働、核燃料サイクルはきっぱりやめるべきという立場で、この法案については反対しました。
その上で質問をしたいと思います。再処理等の新たな実施主体となる使用済燃料再処理機構の設立に伴い、立地基本協定の取り扱いはどうなるのか、県の見解を伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

県としましては、新たな使用済燃料再処理機構が設立されても、これまでの立地地域との協力関係、信頼関係が維持されていくことが重要であると考えており、基本協定の取り扱いについては、今後の同機構の設立等の状況を踏まえ、関係者と協議の上、適切に対応してまいります。


◯安藤委員

実施主体がかわるということですから、今これから協議するということですけれども、その結果、立地基本協定を新たに結び直すということも視野に入っているということでよろしいでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

今、申し上げたとおり、協定の取り扱いについては、今後、関係者と協議の上、適切に対応していきたいと考えています。今後、機構の設立状況等を踏まえてからでなければ、どのような対応をするべきなのかというところが見えないものですから、そのことを踏まえた上で適切に対処したいと考えています。


◯安藤委員

私はしっかりと、新たにできる機構とも立地基本協定は結び直すべきだということを主張しておきたいと思います。
次の質問ですが、国会では再処理等拠出金法の成立に際し、使用済燃料の直接処分等の技術開発を進めるという附帯決議を行っていますが、このことに対しての県の見解を伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

附帯決議では、法律の施行に当たり、使用済燃料の直接処分や暫定保管を可能とするための技術開発や必要な措置など、多様なオプションの検討を進めるよう、政府の適切な措置を求めていることは承知しています。
こうした考え方は、平成26年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画の中でも示されているところであり、核燃料サイクルについては、国において、当面する課題を一つ一つ解決しながら、中長期的に責任を持って取り組んでいただきたいと考えています。


◯安藤委員

これから使用済燃料について、最終処分という方向をなるだけ早い時期にきちんとした方向を示していかなければならないわけですけれども、その最終処分地がどうなるかという大変スケジュール的にもその選定がうまくいっていないということも踏まえ、また、世界的には、直接処分にかかわる研究開発がスウェーデンやフィンランドで進められているということもしっかりと踏まえながら、日本においても直接処分ということの技術開発をしっかりと進めていくべきだという立場を青森県としてもとる必要があると思います。県の立場といいますか、その辺について、もう一度伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

使用済燃料の処理方法について、オプションの一つとしての直接処分等の技術開発を進めるという点についての御質問と思いますけれども、使用済燃料の処分方法について多様なオプションを検討するということは、これは国のエネルギー基本計画の中で示されているところです。国ではこうした調査、研究を進めることによって、新たな知見を得ていくということは重要な取り組みであるとしています。県としましては、使用済燃料の再処理の推進など核燃料サイクルの推進がエネルギー基本計画に明確に位置づけられており、また、再処理等の着実な実施を図るための再処理等拠出金法が先般成立しているということもあります。国においては、核燃料サイクルについては、先ほども申し上げましたけれども、課題を一つ一つ解決しながら、中長期的に責任を持って取り組んでいただく必要があると考えております。


◯安藤委員

使用済燃料再処理機構については、法律が通ってしまいましたので、機構ができるということになったわけですが、核燃料サイクルに対する多様な意見を取り入れていく組織にしていくべきと考えます。必ずしも核燃サイクルを是とする立場の人たちだけが参加するのではなく、多様な意見を持っている方が参加していくということが必要だと思いますが、この点について、県の見解を伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

再処理等拠出金法においては、新たに設立される使用済燃料再処理機構に運営委員会というものを設置し、再処理等の事業に係る重要な事項について、外部有識者の知見を交えながら意思決定を行う仕組みとされています。また、運営委員会の委員は、同機構の理事長が経済産業大臣の認可を受けて任命することとされています。
県としましては、今後とも核燃料サイクル事業が安定的かつ継続的に実施されるよう、運営委員会の構成も含め、同機構の設立状況等を見極め適切に対応してまいります。


◯安藤委員

冒頭申し上げましたように、私たちの立場としては、核燃サイクル政策ではなく、原発そのものを廃止させていくという立場にありますので、今後の推移をしっかりと見極めていきたいと思っています。
次の質問です。高レベル放射性廃棄物の最終処分について、一昨日18日、青森市で最終処分等に関する自治体説明会が開催されましたが、国からどのような説明があったのか改めて伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

去る5月18日に開催された自治体向け説明会におきましては、エネルギーミックスの中での原子力の位置づけや核燃料サイクル政策の現状、高レベル放射性廃棄物の最終処分に係る国の取り組み状況など、原子力政策全般にわたる説明がありました。ここに提示されました資料については、ホームページ等で公開されています。そういった説明を当課の職員が参加して受けています。


◯安藤委員

NUMO(原子力発電環境整備機構)が2002年12月に概要調査候補地の公募をしており、そして、精密調査地区の選定を第二段階、平成20年代中ごろを目途にし、第三段階、処分施設建設地の選定を平成40年前後の目途とし、処分の開始は平成40年代後半を目途にするというスケジュールが既に公表されているわけですが、先日の説明会では、このようなこれまで示されているスケジュールについての言及はあったのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

先日の説明会で配布された資料を見ますと、時期的なものについては説明はされていないところです。


◯安藤委員

ということは、最初、2002年12月に示されたスケジュール計画では、精密調査が既に平成20年の中ごろとしていましたので、既に28年ですから、このスケジュールはもう狂いに狂っているわけですが、しかし、言及がなかったということは、この当初のスケジュールに沿ってやっていくという考え方にあると理解してよろしいのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

委員御指摘のとおり、高レベル放射性廃棄物の処分地選定については、なかなか進んでいないという状況、これはある程度共有されている認識ではないかと思いますけれども、そういったことから、従前はNUMOが自治体からの公募ということで応募を待つという方式でしたけれども、国が前面に立って科学的有望地を提示するなど取り組みを進めていくための新たなプロセスを追加したということが説明の中でありました。したがって、時期的なものは示されていませんけれども、今後、国が前面に立ってということで、今まで以上に取り組みを強化していくという姿勢にあるものと理解しています。


◯安藤委員

改めて、高レベル放射性廃棄物の最終処分場とは、具体的にどのような施設なのか伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

高レベル放射性廃棄物の最終処分の実施主体である原子力発電環境整備機構、通称NUMOの資料を見ますと、処分施設は、4万本以上のガラス固化体を最終処分する施設で、地下300メートル以深、300メートルより深いところに搬送するための準備等を行う地上施設と、ガラス固化体の搬送、埋設のための坑道、トンネル、あるいは、処分孔等の地下施設、地上施設と地下施設から構成されているということです。
また、おおむね地上施設の占める面積は1ないし2平方キロメートル程度で、地下施設の占める面積は6~10平方キロメートル程度、坑道の総延長で200キロメートル程度になると説明されているところです。


◯安藤委員

国では年内に科学的有望地を掲示するとしていますが、今後の手順について伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

国によれば、科学的有望地の掲示は、法律で定められた文献調査などの処分地選定調査の手前の段階、前段階で、国民に地層処分の問題について考えていただくきっかけになるものであるとしています。
国による科学的有望地の提示後の手順は、全国的な取り組みとしての国民との対話を継続するとともに、3つのステップを踏んで地域における対話活動を深めていくことにしています。ステップ1として、高レベル放射性廃棄物の問題の存在や処分地選定の進め方などの情報提供・理解促進、ステップ2として、地域団体等による主体的な学習の支援、ステップ3として、学習活動が地域全体へ広がっていくような取り組みを行って、国民的な議論と地域の関心・理解を深めていくということとしています。


◯安藤委員

今お話にあったのは、第一段階のステップということのようですけれども、今回、例外を設けずに有望地を決めていくとされているわけですが、その中には青森県も、もし有望地であれば青森県も含まれるということ、そういう理解でよろしいでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

今、御説明申し上げたことと重複するかもしれませんけれども、国によりますと、科学的有望地の選定というのは、科学的、客観的により適性が高いと考えられる地域を国民的な議論のきっかけとして、スタートラインとして全国的に示す作業であり、調査の受け入れとは全く別のものであるということです。いずれにしましても、本県が最終処分地にならないということは、国との確約により明確です。


◯安藤委員

青森県が最終処分地にならないということは、そういう確約は何度もされているわけですが、18日の説明会の会場においても、その辺のことはしっかりと説明がなされたのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

直接会場に入って聞いているわけではないのですけれども、ぶら下がりの国の担当室長のコメントの中でも、何度も本県との確約については遵守するという発言がありましたので、そのように受けとめています。


◯安藤委員

県の職員の方も参加されたと思いますが、会場の説明の中で、その趣旨の話はきちんとされたのかどうかお聞きします。

◯笹山原子力立地対策課長

今年度の説明会の中で説明があったとは聞いていませんが、昨年度の説明会、初めて国で開催したわけですけれども、そのときには説明の中で、青森県を最終処分地にしないという旨についてはきちんと説明がされたと聞いています。今回も説明の後のインタビューにおいて、何度も国のほうでそのことを明確におっしゃっていたということです。


◯安藤委員

新聞報道によると、約半数の自治体、青森県の半数の自治体の職員が参加されたということですが、国民的な議論を深めるという立場で参加されているのだと思いますが、青森県はいくら有望地であっても最終処分地にはしないという認識を各市町村ともしっかりと共有していっていただきたいということを最後に申しまして終わります。

「労働委員会について」


◯安藤委員

それでは、大きく2点についての質問をさせていただきます。
1点目は、労働委員会についてです。私もさまざまな方から相談を受けるのですが、ここ数年の間にも、働いた分の賃金が支払われなかったとか、不当解雇されたとか、厳しい労働条件でうつ病になり働けなくなったとか、こうした相談が舞い込んでおります。働く人たちの環境の厳しい状況が続いているということを実感しています。
そうした中で、今回、労働委員会についての質問をさせていただきます。最初に、労働委員会の役割について伺います。

◯山内労働委員会事務局長

青森県労働委員会は、労働組合法第19条に基づき設置された行政委員会で、労働者委員、使用者委員及び公益委員の各5人、計15人をもって構成されています。
労働委員会では、労働組合法に基づき、労働組合の正当な活動を使用者が妨げたとして、労働組合が救済を申し立てる「不当労働行為の審査」、労働関係調整法に基づき、労働組合と使用者との間の争いを自主交渉で解決できない場合に、あっせんや調停、仲裁を行う「労働争議の調整」、個々の労働者と使用者との間の労働条件等のトラブルを解決に導く「個別的労使紛争に係るあっせん」、以上大きく3つの業務を行っています。
また、これらの業務以外にも、労働相談業務として調整事件等に係る各種労働相談を随時受け付けているほか、平成21年からは、労働委員会委員による労働相談会を定期的に開催しています。特に、個別労働関係紛争処理制度に係る全国一斉の周知月間である10月には、青森市、弘前市、八戸市等県内各地において重点的に労働相談会を開催してきており、加えて、平成27年からは、原則として毎月第1火曜日に労働委員会委員による労働相談会を開催して、労働トラブルに関する相談業務の充実に努めているところです。


◯安藤委員

労働組合からの相談、あるいは、個人からの相談、それぞれこの労働委員会は相談に応じるということでよろしいのでしょうか。

◯山内労働委員会事務局長

労働組合、個々の労働者、それぞれからの相談を受けています。


◯安藤委員

労働委員会は青森市にありますので、私たち弘前市に住んでいますと、ちょっと遠い存在に感じるわけですが、今の答弁によりますと、10月には弘前市を含め3市を中心に労働相談をされているということなのですが、やはり県の労働委員会というのは、労働者、あるいは、労働組合からの相談に気軽に応えられるような機関にならなくてはいけないと思うのですけれども、一般の労働者も対象になるということであれば、なおさらその周知をしっかりと図る必要があると思うのですが、その辺については、どのような対応をされているでしょうか。

◯山内労働委員会事務局長

労働委員会における紛争解決は、公労使の三者の委員が当事者の意向を踏まえながら将来の労使関係の安定を十分考慮し、丁寧に解決に向けた道筋を探っていくことに大きな特徴があります。経費の当事者負担もなく、広く利用していただきたいと考えております。このため、当委員会の制度の特徴については、これまで新聞、ホームページなど県の広報媒体や各市町村の広報、就職情報誌への広告掲載等を通じてPRを行っています。また、先ほど申し上げましたが、平成21年からは、個別労働紛争処理制度周知月間である10月に、委員による労働相談会を開始しているほか、平成27年1月からは、原則毎月第1火曜日に委員による労働相談会を開始しているところです。
さらに、若者を取り巻く労働関係のトラブルが社会問題化している現状等を踏まえ、労政・能力開発課と連名により、就職を控えた高校生、大学生向けのチラシを各学校等へ提供して周知を依頼しているところです。
今後とも、各種広報媒体の活用や関係機関等との連携、協力を図りながら、労働委員会制度の利用拡大に努めていきます。


◯安藤委員

労働委員会における審査事件、調整事件、個別的労使紛争におけるあっせん事件の過去5年間の取扱件数及び主な内容について伺います。

◯山内労働委員会事務局長

平成23年から平成27年の、各年1月から12月における過去5年間の不当労働行為事件の新規取扱件数は6件で、申し立て内容としては、団体交渉の応諾、勤務時間や賞与支給などに関する不利益取り扱いの撤回、使用者側が不当労働行為を行ったことに対する謝罪文の掲示を求めるポストノーティスに関するものとなっています。
一方、調整事件については、過去5年間の新規取り扱い件数は15件で、申請内容としては、賃金関係や団体交渉の応諾に関するものが大半を占めています。
また、個別的労使紛争事件については、過去5年間の新規取り扱い件数は14件で、給与の未払い、解雇や雇いどめの撤回に関するものが大半となっています。


◯安藤委員

今、過去5年間の実績についてお答えいただいたのですが、この取り扱いについて、解決が図られた状況はどうかということも伺いたいのですが、解決できたほうでも、解決できなかったほうでも結構ですので、その件数について、お答えいただければと思います。

◯山内労働委員会事務局長

平成23年から平成27年に取り扱った不当労働行為事件6件は、全て終結しており、その内訳は、和解が5件、取り下げが1件となっています。
調整事件は全てあっせんによるもので、取り扱った15件は全て終結しており、その内訳は、解決が7件、打ち切りが6件、取り下げが2件となっています。
個別的労使紛争事件について、取り扱った14件は全て終結しており、その内訳は、解決が6件、打ち切りが7件、取り下げが1件となっています。


◯安藤委員

解決できた案件については労働委員会の努力が稔ったと思うのですが、今の答弁の中で、若干、打ち切りという、あるいは、取り下げという結果になった案件もあったようなのですが、取り下げ、あるいは打ち切りというのは、そこでこの事件については終わったという捉え方なのでしょうか。それとも、次のところに相談を持っていくという形になるのか、その辺について現状を伺います。

◯山内労働委員会事務局長

労働委員会が取り扱う事件のうち、不当労働行為事件の命令に不服がある場合は、中央労働委員会への再審査の申し立てや命令の取り消しを求めて裁判所に行政訴訟を提起することができます。また、労働組合からの調整事件について、調整結果が不調に終わった場合には、裁判所に民事訴訟を提起することができます。
個別的労使紛争事件について、調整結果が不調に終わった場合には、労働局が行う個別労働紛争解決制度の活用のほか、裁判所が行う労働審判制度や民事訴訟を活用することができます。


◯安藤委員

そうしますと、取り下げとか打ち切りという結果になった場合は、今、お話しされたような方向で改めて解決を図っていくという道筋を選ぶ方たちもあるという捉え方でよろしいのでしょうか。

◯山内労働委員会事務局長

労働委員会の制度を活用後、そういった形で次の段階へ進むことができます。


◯安藤委員


委員会の委員については、使用者委員、労働者委員、公益委員で構成されているということですけれども、労働委員会の労働者委員の任命はどのように行うのか伺います。

◯金子労政・能力開発課長

労働組合法に基づき設置される都道府県労働委員会の労働者委員については、労働組合の推薦に基づいて知事が任命することとなっています。
具体的には、県内のみに組織を有する労働組合に対して候補者の推薦を募集する公告をし、推薦された候補者の中から、労使紛争の適正かつ公正な解決を図る観点から総合的に判断して知事が任命するという流れとなります。


◯安藤委員

最初に、労働者委員は労働者組合の推薦というお話ですけれども、例えば、現在の第45期労働委員の労働組合からの推薦というのは、どのような状況にあったのでしょうか。

◯金子労政・能力開発課長

第45期労働委員会委員については、任期が平成26年11月8日から平成28年11月7日までとなっていますが、その推薦に際しては、2つの組合から推薦がなされたものと承知しています。(後刻訂正あり)


◯安藤委員

第45期の労働委員について、連合系労働組合の者のみ就任しているようですが、この件について、県の見解を伺います。また、過去の就任状況についても伺います。

◯金子労政・能力開発課長

第45期の労働委員会委員の労働者委員についてですけれども、繰り返しになりますが、都道府県労働委員会の労働者委員は、労働組合から推薦された候補者の中より、労使紛争の適性かつ公正な解決を図る観点から総合的に判断して任命することとされており、第45期の労働者委員についても、同様の判断により任命されたものと考えています。
また、過去の就任状況について、最近、労働組合の大きな再編がありました平成元年11月以降の状況を見ますと、平成2年改選の第33期から現在の第45期まで、いずれも全て日本労働組合総連合会、略称連合ですが、連合に加盟する労働組合の役員の方が就任しています。


◯安藤委員

先ほどのお答えの中にもありましたけれども、公正・公平な取り扱いを行うという観点に立つならば、2つの労働組合から推薦が出されているわけですので、両方の組合から委員を選出すべきだと思います。この辺の検討について、なされてきていないのか伺います。

◯金子労政・能力開発課長

労働委員会の労働者委員の任命については、繰り返しになりますけれども、労使紛争の適正かつ公正な解決を図るという観点から、総合的に判断をさせていただいたものです。


◯安藤委員

総合的な判断のところで、ぜひとも次期の選出のときには、2つの労働組合からの推薦に挙がった方から、それぞれ労働委員に就任できるように取り計らうべきだと思いますので、そのことを要望させていただきます。

「障害者の法定雇用率について」

◯安藤委員

次の質問です。障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく障害者の法定雇用率について伺います。
平成25年4月1日から障害者の法定雇用率が引き上げられ、民間企業が1.8%から2%、国、地方公共団体等が2.1%から2.3%へ、都道府県等の教育委員会が2%から2.2%となっています。そこで、県内の障害者雇用の実績について伺います。

◯金子労政・能力開発課長

まず、安藤委員の質疑にお答えさせていただきまして、その後、先ほどの私の答弁について、訂正をお願いしたいと思います。

◯丸井委員長

はい、どうぞ。

◯金子労政・能力開発課長

まず先に、安藤委員の今の御質問にお答えします。
青森労働局の資料によると、平成27年6月1日現在の県内民間企業における障害者の実雇用率は、前年に比べて0.06ポイント上昇し、1.89%となっており、全国平均1.88%を0.01ポイント上回っていますが、法定雇用率の2.0%には達していない状況にあります。
平成27年度の障害者の新規求職者数ですが、1,815人ということで、前年度に比べ17.2%増加しています。その内訳は、身体障害者が619人、知的障害者が355人、精神障害者が684人、発達障害者が75人、難病障害者が73人、その他が9人となっています。
また、平成27年度の就職者数ですが、1,024人で前年度に比べ20.0%ふえており、その内訳は身体障害者が340人、知的障害者が173人、精神障害者が436人、発達障害者が32人、難病障害者が39人、その他が4人となっています。
そして、ここで先ほどの答弁について訂正をさせていただきます。先ほど安藤委員から、組合からの推薦が第45期の任命に際して何件、幾つあったかという質問があり、私は「2つの組合」と答弁しましたが、誤りでした。「11の組合から推薦があった」と訂正をさせていただきます。申しわけございません。


◯安藤委員


障害者雇用の実績についてお答えいただいたのですが、いろいろな障害の種別についてお話があったのですけれども、障害者雇用の法定雇用率にくみされる障害の種別といいますか、どういう障害者の方を雇うと法定雇用率に加えられるかということについて伺います。

◯金子労政・能力開発課長

法定雇用率にカウントされる障害者としては、現在の制度では、身体障害者及び知的障害者である常用労働者の数、それに、失業している身体障害者及び知的障害者の数について、それを国民全体のうちの常用労働者数と失業者数で割った数になります。ということで、法定の障害者雇用率の計算においては、身体障害者及び知的障害者のみがカウントされているのが現在の状況です。
一方、企業の雇用した実雇用率のカウントにおいては、精神障害者の方についても、精神障害者保健福祉手帳を所持している精神障害者については、雇用した障害者数にカウントできることとなっています。
なお、その制度については、平成30年4月1日より改正が予定されており、精神障害者についても、障害者雇用率、法定雇用率の計算に加えるということが予定されていますが、現在のところは、法定雇用率の計算に際しては、身体障害者及び知的障害者のみがカウントされているという状況です。


◯安藤委員


障害者雇用の法定雇用率を求められている企業というのは、どういう企業が対象になるのでしょうか。

◯金子労政・能力開発課長

まず、一般の民間企業については、対象として50人以上を雇用する企業について、2.0%の所要法定雇用率の適用となります。
それから、特殊法人等としてカウントされるものとしては、43.5人以上の規模の特殊法人、内訳としては独立行政法人、それから、国立大学法人についてです。そのような特殊法人等については、規模が43.5人以上雇用するものとなります。ちなみに、その場合、法定雇用率は2.3%と少し上乗せされています。


◯安藤委員

そこで、本県の障害者雇用率の現状を県としてはどのように捉えているかということと、あと、障害者雇用率制度に基づく雇用義務を履行しない事業主については、法律に基づき雇い入れ計画作成命令などの行政指導を受けるとともに、その後も改善が見られない場合、企業名が公表されると承知していますが、青森県で公表されている企業がどのくらいあるのか伺います。

◯金子労政・能力開発課長

県内の障害者雇用の状況について、青森県としては、全国平均よりは高いものの、やはり法定雇用率に満たないということで、これは行政の介入、支援が必要であろうと考えています。
具体的には、現在、事業主への周知・啓発、それから、障害者への就業支援というものをセットで行う取り組みとして、障害者雇用促進加速化事業というものを実施しています。中身としては、まず、ハローワーク等の関係機関の職員とともに企業を回らせていただきまして、障害者雇用への意識啓発を行うこととしています。それから、この事業では、事業所における短期の職場実習についても面倒を見ているほか、障害者の方に対しては、就業、そういった訓練の支援ということで、訓練手当の支給ということもやっています。そのような政策を実施することで、県内の障害者雇用が少しでもよくなっていくことを目指して頑張りたいと思っています。
それからもう一つ、県内での障害者雇用について、未達成で公表された企業があるかということについてなのですけれども、あいにく手元に資料がないことから、我が県、青森労働局においてどのような企業が公表されたかということは、現在わかりません。申しわけございません。


◯安藤委員


あとで結構ですので、資料がありましたらいただきたいと思います。
今、答弁していただいた内容とダブるかもしれないのですが、障害者雇用促進に向けて、県の取り組みについて、先ほどのお話以外で、もしあれば伺います。
そして、養護学校や、あるいは、障害者就労支援連絡会というのがありますが、そうした団体との連携については、どのような姿勢で臨んでいるのか伺います。

◯金子労政・能力開発課長

障害者雇用促進加速化事業というものを現在、実施をしています。そちらでは、県内の関係機関、青森労働局ですとか、障害者就業・生活支援センターというNPOなどと連携し、事業所訪問などの啓発活動を行うほか、優良事業所、現在、障害者雇用に積極的に取り組んでいる企業に、まだそういった雇用をしていない企業などを案内して、実際の現場の様子ですとか、担当者の方の話を聞くような場を設ける、見学、意見交換会というものを県内で実施しているところです。先ほど少し紹介させていただいたので恐縮ですが、障害者雇用促進加速化事業を展開することで、県内の障害者雇用の前進に向けて頑張っていきたいと思っています。
それから、養護学校ですとか障害者支援の連絡協議会などについてお尋ねがありました。私どももそういったいろいろな協議会などに参加しており、青森労働局などを中心とした連絡会議になりますが、そちらのほうで施策や状況について情報交換、意見交換をしているところです。


◯安藤委員

障害者就労支援連絡会が県に要望している事項の中に、障害者雇用率を達成している事業所や障害者の雇用が義務づけられていない50人未満の小規模事業所で、障害者を雇用している場合、公的機関からの優先的な入札、発注をしてほしいという要望が出されているかと思うのですが、こうした皆さんからの声に応えていくというのも障害者雇用を広げていく大切な事業になるかと思うのですが、こうした声にどのように対応されているのか伺います。

◯金子労政・能力開発課長

障害者雇用に積極的に取り組む企業について、入札発注の優先などをすべきというような御要望に対してどのように対応しているのかという質問と承知しました。県の中では、例えば、入札に関しては、別の部局も担当しているところ、要望については、きちんとそういったところに伝えていきたいと思っております。


◯安藤委員

さまざまな創意工夫で企業側も大変な面もあるかと思いますが、障害者の方たちが働く意欲が達成できるような、そうした青森県になっていくように、今後とも力を入れていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。