2017年8月21日平成29年農林水産委員会

◯安藤委員

最初に、部長の報告にあった中で1つお聞きしたいのですが、低温が続いている中で、農作物の生育が大丈夫か、いろいろ気にしているわけですが、水稲について、平均気温20度以下の場合は10センチメートル程度の深水で管理するとともに、いもち病の防除を徹底するよう指導するというお話ですが、どのような方法で防除するよう指導しているのかお聞きしたいと思います。

◯坂田農産園芸課長

低温が続く場合は、やはりいもち病が発生しやすい状況にありますが、現段階で確認しているところ、県南地方では、いもち病の発生は見られておりませんが、こうした天候の場合は蔓延する可能性がありますので、圃場を確認した上で薬剤散布をするということとなります。


◯安藤委員

そういう傾向が見られた時点で薬剤散布をすれば防げるという理解でよろしいですか。

◯坂田農産園芸課長

現段階で見られておりませんので、圃場をよく確認した上で、ただ、使用期限というのもありますので、余り遅くなると、後で農薬が検出されるということもありますので、期限を守りながら、確認して散布していただければ、発生状況はそれほど多くありませんので、防除できるものと考えます。

「クロマグロの資源管理について」

◯安藤委員

それでは、用意していた質問をさせていただきます。お盆が入る中で、職員の方々にはいろいろ勉強させていただきまして、ありがとうございました。
1点目の質問ですが、クロマグロの資源管理についてです。5月に農林水産委員会の県内調査で訪れた深浦町のあおもり海山水産加工センターは、クロマグロのすぐれた加工施設として大変勉強になりました。同時に、深浦町の漁獲割合が県内で一番高いということを再認識した次第です。
そのときの説明で、2015年から国際的な漁獲規制が実施され、天然ものについては品薄状態が続く見込みとありました。海の環境と私たちの食を守る上で、今、水産資源の持続可能な利用が大きなテーマとなっております。日本人の好きなクロマグロを将来的にも口にできるようにすることは大変大事な課題だと認識しております。
世界の中でも日本のクロマグロの漁獲量は突出しておりますが、順次質問をさせていただきます。最初は、近年の我が国におけるクロマグロの漁獲量と本県の占める割合についてお伺いします。

◯松坂水産振興課長

我が国におけるクロマグロの漁獲量は、資源管理実施前の平成17年から平成26年までの10カ年で見ますと、平成20年の約2万1,000トンをピークに、平均約1万4,000トンでございました。そのうち、本県の漁獲量は、平成21年の約1,100トンをピークに平均約980トンで、国全体の約7パーセントを占めております。
資源管理開始後の全国の漁獲量は、平成27年に約7,600トン、平成28年に9,300トンで、本県の漁獲量は、平成27年が777トン、平成28年が518トンで、それぞれ国全体の10パーセント、6パーセントとなっております。


◯安藤委員

いずれにしても、本県は高い漁獲量を誇っているということです。そして、本県におけるクロマグロの漁獲状況についてもお伺いします。

◯松坂水産振興課長

本県におけますクロマグロの漁獲につきましては、日本海では、主に5月から6月(後刻「8月」と訂正)にかけての定置網と、7月から11月にかけてのはえ縄、釣りで行われ、漁獲量は県全体の約半分を占めています。また、太平洋では、主に5月から8月にかけて定置網で漁獲され、漁獲量は県全体の約1割で、両海域とも30キログラム未満の小型魚の割合が高い状況にあります。
一方、津軽海峡では、主に10月から12月にかけて、はえ縄、釣りで漁獲され、漁獲量は県全体の4割となっており、本海域では、30キログラム以上の大型魚が大半を占めています。
今の答弁で、日本海で主に5月から「6月」にかけての定置網とお答えしましたが、「8月」の間違いですので、訂正させていただきます。


◯安藤委員

今は、日本海、太平洋、津軽海峡というようなお答えの仕方だったのですが、主な漁港別に見ますと、どのような推移になっているかお知らせいただけますでしょうか。

◯松坂水産振興課長

基本的には、日本海におきましては、先ほど委員がおっしゃいましたとおり、深浦町で漁獲が多いという状況がございます。また、津軽海峡では、御存じかと思いますけれども、大間町を含めまして、大型魚が漁獲されるという状況にございます。また、太平洋におきましては、定置網が主ですけれども、小型定置、大型定置を含めて、そちらのほうの漁獲が多いという状況で推移しております。


◯安藤委員

太平洋のほうで定置網というお答えでしたが、そうしますと、例えば、日本海の深浦町などでは、定置網では漁獲していないのでしょうか。

◯松坂水産振興課長

日本海につきましても、主に定置網漁獲がメーンということになります。


◯安藤委員

実は、今朝のラジオのニュースで、定置網の漁獲で、思った以上のクロマグロがとれたというような話がありましたけれども、この漁獲方法につきましては、特に県がどうこうするということはできないと思いますが、それぞれの地域での漁獲方法を尊重するということでよろしいですか。

◯松坂水産振興課長

このクロマグロの漁獲につきましては、現在、資源管理の中で県計画も策定して、各漁法ごとに取り組みを決めております。定置網でいきますと、例えば休漁するでありますとか、通常、漁が盛んになってきますと、定置網を複数回上げるのですが、その網を上げる回数を減らすでありますとか、あとは、小型魚の再放流、そういう取り組みによって漁獲を抑えながら操業を行っている状況でございます。


◯安藤委員

クロマグロが資源管理されることとなった背景とその内容についてお伺いします。

◯松坂水産振興課長

近年、太平洋クロマグロの資源量が大幅に減少していることを背景に、国際社会から、太平洋クロマグロの最大の漁業国であり、消費国である我が国に対し、資源の持続的利用に向けた取り組みを求める声が強まっておりました。
このため、国では、国際的な漁業管理機関であります中西部太平洋まぐろ類委員会での合意に基づきまして、平成36年までに親魚資源量を約4万1,000トンまで回復させることを目標としまして、平成27年1月から資源管理を開始したものでございます。
その内容は、30キログラム未満の小型魚の漁獲量につきまして、平成14年から平成16年までの我が国の平均漁獲実績8,015トンから半減して、4,007トンを上限とするもので、漁獲種類別には、沖合のまき網漁業が2,000トン、それから、定置網やはえ縄、釣りの沿岸漁業等が2,007トンとなっております。


◯安藤委員

30キログラム未満のクロマグロを制限していく幅が大きいと思うのですが、定置網だとかはえ縄などの方法で、30キログラム未満を制限するといっても、ある程度、漁で集まってしまうと思うのですが、それをどのように管理していき、どのような制限の仕方をするのでしょうか。

◯松坂水産振興課長

先ほど申し上げましたけれども、釣り、はえ縄漁業の場合につきましては、釣り上げた段階で、小型のものにつきましては再放流するという方法がございます。定置網につきましては、網に入った魚というのは、長時間かかりますと出ていくものもございますので、先ほど申し上げましたが、休漁することによって、網に入ったものが出ていくということがございます。あとは、実際に網上げの回数を減らして漁獲を防ぐということ、さらに、網を上げた段階で、魚は集まってくるわけですが、そのときに生きたものにつきましては再放流しながら、小型魚の漁獲抑制に取り組んでいるという状況でございます。


◯安藤委員

ちょっと調べてみましたら、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律施行令を改正し、クロマグロをTAC対象魚種として指定することが平成29年4月18日に閣議決定され、平成30年からの導入に向けて準備がなされているということを知りました。これによって、環境がかなり厳しくなると思うのですが、青森県としてどのような影響が出ると考えているか、そして今後、それぞれの地域にどう指導していくのか伺いたいと思います。

◯松坂水産振興課長

今、委員がおっしゃいましたとおり、TAC法に基づく資源管理につきまして、まき網漁業につきましては、来年1月から実施される予定になっております。また、定置網等沿岸漁業につきましては、来年7月からの第4管理期間からTAC法に基づき実施されるわけですけれども、今後、TAC法に基づいて行われた際、その漁獲の枠を超えて漁獲した場合には罰則が適用されます。例えば、採捕の停止命令に反して漁獲した場合には、懲役3年以下もしくは200万円以下の罰金、さらには、実際に漁獲したものよりも虚偽報告した場合には30万円以下の罰金と、今よりさらに厳しくなるということがございますので、県といたしましては、しっかり第3管理期間の枠を守って、来年も同じ枠で資源管理に取り組んでいきたいと考えております。


◯安藤委員

今のお話の中にも出てきましたが、太平洋クロマグロ資源管理の管理期間は、第2管理期間が昨年の7月からことしの6月で、第3管理期間がことしの7月から来年の6月までとなっています。そこで、本県における資源管理のこれまでの取り組み状況と、今期の対応についてお伺いします。

◯吉田水産局長

県では、これまで、国から過去の実績により配分されました30キログラム未満の小型魚の漁獲枠をもとに関係漁協等と協議の上、漁獲上限や、先ほど松坂課長からも答弁しましたけれども、休漁日の設定、あるいは再放流、また、漁獲報告の頻度など、もろもろの管理方法を定めた県の計画を策定して、それに基づいて、漁業者に対し資源管理徹底を指導してまいりました。
その結果、昨年7月からことしの6月までの第2管理期間におきまして、太平洋の定置網では、漁獲枠を約370キログラム超過しましたけれども、県全体におきましては、漁獲枠を下回ったということで、ことしの7月から来年6月までの第3管理期間におきましては、その超過分については差し引かれることなく、第3管理期間におきましても、第2管理期間と同じ256.3トンの漁獲枠が本県に配分されたところでございます。
今期の対応につきましては、先ほどTACのお話もありましたけれども、TACの試行期間ということになりますので、引き続き、小型魚の漁獲枠の遵守、徹底を図るために、県としましては、本県が複数の海域と漁業形態を持つという特徴を踏まえまして、これまで日本海で実施してきておりました漁協及び漁法ごとの漁獲枠の配分を全海域で実施するということ、また、全国に先駆けて、漁業者が枠を融通し合えるよう、県内の関係する全ての漁協で協定を締結することによって、これまで以上にきめ細かな資源管理を行うこととしております。


◯安藤委員

そうしますと、きょうのラジオで報じられていましたが、1年間の計画量が1カ月で漁獲されたというお話でしたけれども、そういう場合は、今、お話にあった融通をし合って、今後も漁獲をある程度保障するという仕組みになるのでしょうか。

◯吉田水産局長

基本的にはそういう考えになります。まず、各県に漁獲枠が配分されます。その中で、まず超えないようにきちんと管理する。場所によっては、先ほど言った超過してしまうようなところも出てくると思います。そのままだとそれ以上とれないということもありますけれども、全体としてその中におさまるように、ほかの漁協と融通し合うということの調整が必要になります。
また、全国で見ると、定置網については共同で管理するということになっていますので、本県だけでなく、全国の枠の中でもまた調整するということも考えられます。


◯安藤委員

漁獲量制限が続けば廃業するしかないとの意見が出たという新聞記事がありましたけれども、そういうことも今後はあり得ると思うのですね。そういう危惧もあると思います。そこで、県は国とともに、さまざまな支援策を講ずるべきだと思うのですが、何か考えていることがあれば伺いたいと思います。

◯松坂水産振興課長

国がこの資源管理を行うに当たりまして、平成27年1月から資源管理が始まっているのですが、2月の補正予算におきまして、漁業共済制度関係の事業を拡充しております。これによりまして、クロマグロを強度資源管理タイプに指定したことによりまして、通常であれば、漁業共済によりまして、最大80%、年間の漁業収入額が補填され、加えて、「積立ぷらす」によりまして、残り1割がこれまで補填されたわけですけれども、クロマグロの資源管理に取り組むことによって、積立ぷらすが5%さらにアップして、合計で漁業者の減収が95%まで補填されるという状況にございます。
県としましては、平成27年度以降、この制度に加入するよう働きかけてまいりました。また、県が事務局を務めております資源管理協議会におきまして、その資源管理計画の策定を支援、指導しているほか、その計画の履行確認をしながら、漁業共済と積立ぷらすの円滑な支払いについて支援していくという状況でございます。
加えまして、日本海の定置網につきましては、大学、それから研究機関等で、再放流が難しいという状況にある小型魚を弱らせないで再放流できるような技術開発に取り組んでいるという状況でございます。


◯安藤委員

その漁業共済の加入率というのは、どのくらいなのでしょうか。
それから、漁業収入安定対策事業とは別個のものなのか、伺います。

◯松坂水産振興課長

現在、クロマグロに関係なく、共済の加入率は、約80%程度になっておりまして、クロマグロ単独ではまだ把握しておりませんが、漁業共済組合への確認によりますと、クロマグロ関係の漁業者は、9割以上が漁業共済制度の積立ぷらす制度に加入しているということでございます。
ちなみに、先ほど申し上げました漁業収入安定対策ですが、漁業共済制度に加えて、積立ぷらすを含めたものを、そういう表現として使っております。

「ベトナム向けリンゴ輸出に係る植物検疫措置について」

◯安藤委員

経営に支障のないように、ぜひ県がリーダーシップをとりながら守っていただきたいと思います。国際的な資源管理を尊重しながら、日本の魚食文化を守る方向での外交的努力を進めるよう国にぜひとも働きかけていただきたいと思います。
この質問を終わりまして、2点目の質問は、ベトナム向けリンゴ輸出に係る植物検疫措置についてです。
ベトナム向けの日本産リンゴの生果実は、平成27年9月17日付で輸出解禁になりましたが、その主な検疫条件の一つに、リンゴ果実の袋かけというのがあります。ベトナム向けリンゴをつくっている生産者から、袋かけの緩和を求める声が上がっています。
そこで、ベトナム向けリンゴは袋かけが必要となっていますが、他国向けの生産現場で必要な植物検疫措置についてお伺いします。

◯舘田りんご果樹課長

日本産のリンゴを輸出するには、輸出先への病害虫の侵入を防ぐことを目的に、基本的には、国が発行する植物検疫証明書を添付することで可能となりますが、ベトナム、台湾、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドについては、我が国との二国間で合意した植物検疫措置が適用されます。
このうち、最大の輸出先である台湾については、台湾が侵入を警戒しているモモシンクイガを初めとする対象病害虫の被害果実を適切に除去するため、生産園地の県への登録、県等の病害虫防除暦及び発生予察に基づく徹底防除、防除状況の記録と保管が条件となってございます。
また、ベトナムと同様に、果実の袋かけが必要な輸出先にはオーストラリアがあり、品種が「ふじ」に限られるほか、オーストラリアの検査官による園地検査を受ける必要があるなどの措置内容となっております。


◯安藤委員

最も輸出量の多い台湾に向けての検疫条件には、袋かけは特に入っていないと思うのですが、今、お話にありましたモモシンクイガの防除については、その証明になるものはどのように相手国にお知らせすることになるのでしょうか。

◯舘田りんご果樹課長

台湾ではモモシンクイガを含めた1,450種の病害虫が検疫対象となっていますので、モモシンクイガだけという形ではないのですが、検疫措置として生産園地の登録、登録された施設での選果こん包の実施、輸出検査が必要となっております。
また、毎年、台湾側の検査官を産地に招いて、生産園地と選果こん包施設の査察が行われている状況でございます。
なお、台湾の輸入検査におきまして、日本産のリンゴ、梨、桃、スモモからモモシンクイガが発見された場合には、1回目は不合格となった果実が生産された都道府県の輸出が停止、2回目は、日本全国からの輸出が停止というような状況になっておりまして、まずは、日本のほうで植物防疫所の検査を通って、台湾に行って、台湾のほうでもう一回検査をして、先ほど言ったように、モモシンクイガの発生が見られたら、1回目は都道府県の停止、2回目は日本からの輸出の停止というような条件になっております。


◯安藤委員

ベトナム向けリンゴの植物検疫措置の緩和に向けた県の今後の取り組みについてお伺いします。

◯舘田りんご果樹課長

ベトナム向けは、有袋栽培に限定されることや、生産園地の検査が合計で4回必要なことなど、厳しい検疫措置となっており、生産現場が対応に苦慮していることから、県では、平成28年度から、県の重点施策提案や、県議会農林水産委員会と県による要望活動として、輸出対象を無袋栽培まで拡大することや園地検査の簡略化など、検疫措置の緩和について国に働きかけているところでございます。
国では、本県の提案内容につきましては理解を示しているものの、担当者からは、ベトナム向けの植物検疫協議については、現在、柑橘の解禁を優先に取り組んでいること、無袋栽培の解禁については、試験研究等の科学的根拠に基づき交渉する必要があること等の見解が示されているところでございます。
このため、県としまして、無袋栽培リンゴの輸出を可能とする試験研究等、今後の対応について検討を進めるとともに、引き続き、本委員会の御理解と御協力をいただきながら、ベトナムとの交渉を進めるよう国へ要望していきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。


◯安藤委員

生産者のいろいろな条件の中で、無袋栽培が多くなっているということから、生産者の切実な声でもありますので、少しでも緩和が進むように、県としても取り組みを強化していただきたいと思います。
次の質問です。農業生産工程管理、GAPについて伺います。
東京オリンピック・パラリンピックに食材を出す条件として、GAP認証が必要となっています。また、五所川原農林高校でグローバルGAPを取得したなど、GAPについての関心が非常に高まっています。
そこで、県内の農業生産工程管理、GAPの認証取得状況についてお伺いします。

◯秋本食の安全・安心推進課長

GAPは持続的な農業を実践していくために、食品安全・環境保全・労働安全に係るリスクを低減していく改善活動を行うものでありまして、JA等で実施している認証を必要としないGAPのほか、認証を必要とする国際水準のグルーバルGAP、国内水準のJGAPなどがあります。
平成29年7月末現在における県内の認証の取得状況は、グローバルGAP9産地、JGAP7産地の合計16産地となっており、このうち2産地が両GAPを取得しているため、実質14産地が認証を取得しています。
対象品目はリンゴが最も多く、ニンニク、ナガイモ、大根、ニンジン等でも取得しております。
なお、最もレベルの高いグローバルGAPの東北六県での認証取得状況については、山形県8産地、宮城県6産地、福島県2産地などであり、本県の認証件数が最も多くなっております。


◯安藤委員

GAP認証の取得に係る県の指導、支援についてお伺いします。

◯秋本食の安全・安心推進課長

県では、GAPの普及拡大を図るため、リーフレットを作成し、普及指導員等による各種講習会や巡回指導を活用し、農業者の意識啓発を行っています。
また、ことし6月、生産者がGAPに取り組む際に、生産工程等で具体的に守るべき事項をチェックするための青森県GAP規範を策定し、県のホームページで広く周知しているほか、各県民局にGAP相談窓口を開設し、農業者からの幅広い相談に応えております。
加えて、GAP認証を取得するために必要な知識や技術の習得のほか、経費も課題となっていることから、県としては、認証取得の前段階を後押しするため、専門のアドバイザーの派遣経費などを補助する県単事業を実施しているほか、認証取得経費に対する国庫補助事業も活用しながら、農業者の認証取得を支援しております。


◯安藤委員

認証をするまでにはかなり高いハードルがあると思います。そのために県は相談窓口等を開設しているということですが、農業者の方たちの反応といいますか、傾向についてはどのように受けとめておられるでしょうか。

◯秋本食の安全・安心推進課長

現在、各県民局にGAP相談窓口を設置しておりますけれども、まだ相談件数はそれほど多くはないということで、県では、独自に認証GAPに取り組んでいる意識の高い農家の方がいらっしゃるのですけれども、まだ一般の農家の方は、それほど意識が高くないということで、今後、そういう農家の方に、意識啓発してGAPに取り組んでいただくということで進めております。


◯安藤委員

認証に係る経費は100万円ほどと聞いています。先ほどのお話だと、国庫補助金の活用もあるということですが、それを活用すると、本人負担はどのくらいで済むのでしょうか。

◯秋本食の安全・安心推進課長

審査料につきましては、グローバルGAPで40万円、JGAPで15万円ほど必要となり、更新料につきましても、毎年、グローバルGAPで40万円、JGAPでは15万円ということでありまして、基本的に、かかる経費については国のほうで定額で補助しますので、その分、負担が少なくなるということでございます。定額でほぼ助成する形になります。


◯安藤委員

個人で認証を受けるのは負担が重いけれども、グループで認証の取り組みをすると負担が軽くなるということから、グループ認証というお話も上がっています。農業者がグループで認証を取得する取り組みについて、県の考えをお伺いします。

◯秋本食の安全・安心推進課長

東京オリンピックを契機として、大手量販店等では、GAP認証の取得を取引条件とする動きが出てきております。
しかし、個人でGAPの認証を取得するには、初期経費としてグローバルGAPで100万円以上、JGAPで70万円以上必要となり、農業者の負担が大きいことが課題となっております。
このため、県では、国や県独自のコスト低減に向けた、先ほど申し上げた補助事業等の支援のほか、農業者1人当たりの認証取得コストを低く抑えることができるメリットに着目して、JAの生産部会などによる団体認証を進めていく考えでございます。


◯安藤委員

JAの団体認証を進めていきたいということですが、JAのほうもともに進めようという姿勢であるわけですか。

◯秋本食の安全・安心推進課長

JAによって、まだ意識に差があるというのが正直なところでございますけれども、一部のJAでは、生産部会で取り組む方向で進めているところもございます。


◯安藤委員

青森県独自のGAP制度をつくることについて、県の考えをお伺いします。調べたところ、長野県や鹿児島県、長崎県では県GAPの取り組みを既に行っていると伺っています。県の方向性について伺いたいと思います。

◯秋本食の安全・安心推進課長

都道府県独自のGAPは、県等の公的機関が農業者の取り組みを確認するもので、個別の民間団体が認証するGAPと並んで、東京オリンピックの食材提供の条件となっておりますが、国では、東京オリンピック以降、都道府県GAPについては、発展的に解消する意向を示しております。
県では、本県独自のGAPの取り組みについては、東京オリンピックへの県産農産物提供の可能性も含めて、ことし3月に設立しました連絡会議において、今後、そのメリット・デメリットを十分考慮して、国の意向も踏まえ、関係機関・団体と検討しているところでございます。

「県のGAP推進の考え方について」

◯安藤委員

機運を盛り上げる意味からも、県GAPについてもぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。
最後に、県のGAP推進の考え方についてお伺いします。

◯田中農商工連携推進監

県では、GAPの取り組みの中で定めている食品安全、環境保全、労働安全などの取り組みは、認証取得の有無に関係なく、本県が進める「攻めの農林水産業」を推進していく上で、有効な取り組みであると認識しています。
加えて、東京オリンピックを契機として、国内外の農産物取引にもGAP認証を求める動きが加速することが予想されることから、認証取得による県産農産物の販路の維持・拡大を図る必要があります。
このため、県では、まず、全ての農業者が最低限青森県GAP規範レベルのGAPに取り組むことを「GAPをする」として、GAPの取り組みの意識啓発活動の実施を図ることとし、さらに、その中で、販売戦略上、国際水準などのGAP認証の取得が必要な農業者が、実際に認証を取得することを「GAPをとる」としまして、認証取得を支援することとし、これら2つの方針を農業者のGAPの取り組み状況に応じて、段階的に推進していく必要があると考えております。


◯安藤委員

東北農政局の通信でも、今御答弁のあったような、同じような内容が書かれています。「GAPをする」「認証を取る」というような別個の考え方で進めることも必要だというような内容となっています。
そこで、県の食の安全・安心対策総合指針の次期指針の中でのGAPの位置づけは、どのようになっているか伺いたいと思います。

◯秋本食の安全・安心推進課長

GAPにつきましては、今後とも食の安全・安心推進における重要な取り組みということで今後も進めていく形で記載しております。

◯安藤委員

GAPの実施と認証が進めば、青森県の農産物の価値が高まり、国内外の消費者の信頼もより高まっていくと考えます。また、作業者の労働安全確保にもつながると思います。大いに県のリーダーシップを強め、GAP実施者がふえるよう支援していただきたいと思います。
そして、弘前市からも要望されている、県産品のさらなる輸出拡大と、GAPの普及促進を図るため、GAPに取り組む農業者の取り組み状況等を確認できる仕組みの整備を進めることもあわせて要望して終わりたいと思います。