2016年9月20日平成28年商工労働観光エネルギー委員会

「木質バイオマスの活用について」

◯安藤委員

最初の質問は、木質バイオマスの活用についてです。9月8日、委員会調査で平川市木質バイオマス発電事業を調査してきました。併設されたチップ工場で、県内の森林から発生する間伐材やリンゴ剪定枝をチップにし、そのチップを燃料にしてバイオマス発電する。発電規模は6,250キロワットで、発電した電気は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の設備認定を受けて、電気事業者への売電がされているということでした。青森県ならではの発電事業だと期待されるところだと思っています。
そこで質問いたします。木質バイオマス発電に係る県内の動向について伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

県内の木質バイオマス発電につきましては、平成24年7月の再生可能エネルギーの固定価格買取制度の開始を契機に取り組みが進んでいるところでございます。
具体的には、今、お話がありました、平川市において、株式会社津軽バイオマスエナジーが6,250キロワット規模の木質バイオマス発電所を稼働しているほか、八戸市では、八戸バイオマス発電株式会社による1万2,400キロワット規模の木質バイオマス発電所が平成30年1月に稼働予定となっているところでございます。


◯安藤委員

今の答弁では、八戸でも30年に稼働ということですが、その他の動きとして、バイオマス発電が見込まれるようなところは、今のところないのか伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

ただいま申し上げましたのは、木質のバイオマス発電ということでございます。発電ということに関しますと、今申し上げた2件でございます。ただ、木質バイオマスを活用という話になりますと、チップとかペレットをストーブとして使うとか、さまざまな活用方法がございます。これは発電を伴わない、いわゆる熱を利用するという形になります。発電の燃料となると、エネルギーをかなり多く必要としますので、なかなかハードルが高い部分もございますが、そういう木質を使った熱、ストーブ等の活用という部分では、さまざまな取り組みがなされているところでございます。


◯安藤委員

先日、木質バイオマス発電を見てきまして、かなりの量の燃料とする木質が必要だということですが、これから2カ所になれば、県内から排出される間伐材とか、リンゴ剪定枝チップも使うかどうかわかりませんけれども、平川のほうだけでもその燃料になる木質をどう集めるかというのは課題だというように聞いてきましたが、2カ所になって、そういうところの心配は発生しないのかという危惧を抱きますが、その辺はどう考えているのか伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

木質バイオマス発電の最も難しいところは、間伐材とか木質燃料をいかに集めてくるかというところがキーになります。したがって、発電事業を実施するためには、かなりの期間を要しているのが現状でございます。また、ただで調達というわけにいきませんので、幾らかの対価を払ってというところで、他の発電所との競争が生まれたりとか、そういうことも生じてきますので、かなり難しい取り組みの一つになろうかと思います。
ただ、私ども青森県は森林県でございますので、その森林を有効に活用してという部分では、可能性としてはあるわけでございます。これは農林水産部の林政課がまとめた資料でございますが、森の再生エネルギー導入促進事業に関する調査報告書というものがございまして、この資料によりますと、県内の木質バイオマスの資源量は、年間107万トンという数字が出ております。この107万トンが、先ほどの発電所に行くときに、水を含む、含まない、いわゆる含水量で重さが変わってくるものですから、そのまま真っすぐという計算は成り立たないんですけれども、ここは粗く粗く計算しますと、平川バイオマス発電は6,000キロワットの発電をするために年間7万トンぐらい必要だということですので、全体が107万トンと先ほど申しましたので、107万トンを7万トンで割ると、平川のバイオマス発電所が15基建てられるぐらいの量が県内にはあるというふうに、本当はもっと緻密に計算しないとだめなんでしょうけれども、15基ぐらいの可能性があるというようなことが机上の計算では言えるのかもわかりません。


◯安藤委員

今回、八戸でも2基目が計画されているようですので、その燃料になる間伐材などは集められる可能性があるということを確認させていただきました。
次に、青森県エネルギー産業振興戦略における2030年の電源構成の中で、再生可能エネルギーは、22%から24%とされ、その中でバイオマスも位置づけられていますが、エネルギー産業振興戦略における木質バイオマスの基本的な考え方について伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

エネルギー産業振興戦略におきましては、木質バイオマスの活用に当たっては、まずは、農林業の活性化を優先すること、持続可能な林業経営を基本とすること、それから、過剰な原料調達による悪影響がないよう適切な事業規模とすること、熱利用を効率的に進めることを事業展開の方向性としております。
この方向性に基づきまして、大規模集中型における木質バイオマスの活用としては、製材所における製材量と県内生産比率を高めながら製材残材を安定的に確保しつつ、熱を製材所の乾燥工程や周辺地域に供給する、製材所とコージェネレーション(熱電供給)設備が一体となったプロジェクトを提案しているところでございます。
また、小規模型におきましては、中小規模製材所を拠点に未利用材やリンゴ剪定枝を活用し、木質ボイラーと吸収式冷凍機の併設により、周辺地域の施設・事業所・住宅などに温冷熱や電気を供給する、自立分散型のプロジェクトを提案しているところでございます。


◯安藤委員

今、お話の中にも出てきましたリンゴ剪定枝が活用されずに燃やされたりする状況を見ておりますので、発生するリンゴ剪定枝の活用も含めて、青森県ならではの木質バイオマスの活用をエネルギー産業振興戦略にのっとって大いに進めていただきたいと思います。

「大間原子力発電所について」

◯安藤委員

次の質問に移ります。大間原子力発電所についてです。
電源開発株式会社では、去る9月9日、県に対し、大間原子力発電所の安全強化対策工事の時期の見直しの報告を行っていますが、その内容と県の見解について伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

去る9月9日、電源開発株式会社の永島副社長から、県に対し、大間原子力発電所の安全強化対策工事について、新規制基準への適合性審査の状況を踏まえ、今後、審査・許認可期間にさらに2年程度を要する見込みとなったため、工事の開始は平成30年後半、終了は平成35年後半に変更する旨、報告がなされたところであります。
大間原子力発電所については、何よりも原子力規制委員会による安全性の確認が前提であり、電源開発株式会社においては、新規制基準適合性審査の対応に万全を期すとともに、安全性向上のための対策について、一層の責任と使命感を持って取り組むよう、また、県民や関係自治体の理解が得られるよう最大限の努力をしていただきたいと考えています。


◯安藤委員

地元紙によると、電源開発株式会社は4月末に国の機関に届け出た電力供給計画では、運転開始を未定としていました。今回、2024年度ごろに設定した理由を永島副社長は、「確度をそれほど詰めたものではないが、どれくらいの時期になるか一言も説明できないのでは、地元の方が心配するだろう」と地元対応を強調したとされています。さらに、延期幅を2年とした理由について、審査が先行する加圧水型原発が3、4年で合格した事例を挙げ、申請から2年を経過した大間原発の場合、さらに2年程度かかると見込んだと説明しています。このことが科学的根拠のない見通しであるというふうに言えるのではないかと思います。地元自治体などへのリップサービスと思えるような2年という提示だと思うのですが、このような2年という延長幅を示したということに対して、県はどのように考えているか伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

電源開発株式会社によりますと、審査期間は事業者が決めることはできないということではもちろんございますが、原子力規制委員会の審査に適切に対応し、早期の許認可取得に向けて最大限の努力をしていくとのことでございます。そういった決意と申しますか、考え方を示したものと考えております。


◯安藤委員

2年たったところで工事が再開できるかどうかというのは、本当に見通しのないものであり、またさらに延期ということもあり得る状況だということを言いたいと思います。世界でも例のないフルMOXの原発であり、過酷事故が起きれば、東北、北海道にも大きな影響を及ぼす大変な事態になると考えられます。大間原発の建設は、きっぱりと中止することこそが県民の安全を担保できることだと考えますので、県がこういう立場に転換することを強く求めたいと思います。
次に、大間原発から30キロメートル圏内に入る函館市や道南地域への説明もなく、また、同意を得ることもなく建設が再開され、建設後には大間原発の事故を想定した地域防災計画や避難計画を定めることを義務づけられることは、整合性を欠き、まことに理解しがたいと思います。函館市では、平成24年に大間原発の建設の無期限凍結を求め、平成26年には市民の生命や財産を守り、函館市という自治体を将来の世代に引き継いでいくために、司法の場において大間原発の建設差しとめを求めています。このような中、大間原子力発電所の建設については、函館市の声も聞きながら判断すべきと考えますが、県の見解について伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

原子力施設の建設、稼働等については、原子力規制委員会による安全性の確認を前提として、国と事業者が責任を持って関係自治体の理解と協力を得ながら進めていく必要があると考えています。


◯安藤委員

この議論は繰り返しになりますけれども、原子力規制委員会委員長も、規制基準に適合したからといって安全は担保できないと繰り返しています。そして、函館市が提訴した理由の一つとして、大間原発の問題点を幾つか挙げているのですが、毒性が強く危険性が指摘されているフルMOXでの世界初の原子炉であることや、大間原発の北方海域や西方海域に巨大な活断層がある可能性が高いこと、大間原発では使用済燃料は20年分しか保管できなく、その処理の方法や最終処分地などが決まっていないこと、まだほかにもありますが、このように問題点を幾つも指摘しながら、建設の中止を求めているわけですので、こうした函館市の方たちとも十分意見交換しながら、大間原子力発電所の建設については、この声もしっかりと受けとめながら判断すべきというふうに考えます。今、函館市、あるいは、北海道とは北海道新幹線が通ったということもあって、連携を密にしなければならない大切なときでもありますので、ぜひとも函館市との協調を青森県としても進めていただきたいというふうに要望したいと思います。

「高レベル放射性廃棄物の最終処分について」

◯安藤委員

次の質問です。高レベル放射性廃棄物の最終処分についてです。
国において、高レベル放射性廃棄物の最終処分について、科学的有望地の年内提示に向け、どのような検討が進められているのか伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

高レベル放射性廃棄物の最終処分に係る科学的有望地については、最終処分関係閣僚会議において、地球科学的観点及び社会科学的観点からの適性を考慮していくとの方針が示され、平成28年中の提示を目指すこととされております。
具体的な検討は、総合資源エネルギー調査会放射性廃棄物ワーキンググループ及び地層処分技術ワーキンググループにおいて進められており、去る9月1日の放射性廃棄物ワーキンググループにおいて、科学的有望地は、まずは、地球科学的観点から提示することが適当であり、社会科学的観点については、さらに全国的な議論を深めていくことが重要であるとの方向性が示されたところであります。


◯安藤委員

社会科学的観点、そして、地球科学的観点、2つの要件に適合したところが有望地として示されるということだと理解していますが、青森県は最終処分地にしないというこれまでの確約があるわけです。平成28年度中に提示されるという中に、青森県が有望地として提示されることもあり得るかどうか、その点を確認させていただきたいと思います。

◯笹山原子力立地対策課長

具体の要件、基準等については、まだ議論、検討が進められているところであります。先ほど御答弁申し上げましたとおり、本年中に提示をするというのは、地球科学的観点から、まずは提示することが適当だという方向性で検討が進められていくものと考えておりまして、先ほどの答弁と重複しますが、社会科学的観点については、さらに全国的に議論を深めていくことが重要ということでございます。


◯安藤委員

繰り返しの質問になりますが、あくまでも青森県は有望地だったとしても提示されないというふうに見てよろしいでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

今、ワーキンググループにおいて検討が進められているところと認識しております。その結果として、客観的に科学的有望地が、先ほど申し上げた地球科学的観点から提示されていくというふうに受けとめております。いずれにいたしましても、本県が最終処分地にならないことは、国との確約により明確でございます。


◯安藤委員

確約があるので、青森県は示されないだろうというふうに理解しました。
科学的有望地の提示について、県としてどのように受けとめているのか伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

県としては、最終処分地の早期選定に向け、国が前面に立って科学的有望地を速やかに示し、国民の理解促進に不退転の決意で取り組んでいただきたいと考えております。


◯安藤委員

必ずどこかに最終処分地をつくらなければならないということは、誰しもが考えていることなわけです。具体的にどういった要素を考慮するかは、候補地として調査を受け入れることになった自治体や、住民の意向を反映させながら決めるというふうにされているわけですが、いざ有望地だとされた自治体、あるいは、そこに住む住民が、有望地だから、さあ調査をしてくださいというふうになるということは大変難しいのではないかと思いますが、その辺の県の見解について伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

先ほどの答弁の中でも若干触れておりますけれども、あくまでも科学的有望地の提示というのは、国民的な議論のきっかけとして全国的に示す作業でございまして、国によりますと、調査の受け入れとは全く別のものであるというふうに全国でこれまでも説明してきているということであります。


◯安藤委員

有望地とされても、調査を受け入れるがイコールではないということですが、調査を受け入れるところがなければ、有望地があっても決定していかないわけで、その辺の困難さというのは大きいのではないかと考えます。国民的に高レベル放射性廃棄物の最終処分地を決めていこうという議論がなされることは必要ですけれども、今現在ある高レベル放射性廃棄物をどう処分するのかというのに加えて、これからも原発を動かし、そして、使用済燃料の再処理工場を稼働させていくという方向があれば、今の高レベル放射性廃棄物の量をさらに上回っていくわけで、際限のない量の高レベル放射性廃棄物をどうするのかという議論では、やはり国民的な議論にはなかなかなっていかないのではないかというふうに考えます。国民的な議論をしていくためにも、やはりこれ以上、高レベル放射性廃棄物をふやさないという国の毅然とした姿勢が必要だと考えています。ぜひともそういうふうな考えを各地方から国に対して発信していただきたいというふうに強く要望したいと思います。
次に、核燃料サイクル政策についてです。政府は9月14日、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」のあり方について、廃炉も視野に最終調整に入りました。「もんじゅ」をめぐっては、原子力規制委員会が運営主体の交代を勧告していますが、受け皿探しは難航、政府内では存続のための追加支出に国民の理解を得るのは難しいとの見方が出ており、9月26日招集の臨時国会前にも結論を出すとしています。核燃料サイクルの中心をなす「もんじゅ」の計画が破綻した上、使用済燃料の再処理施設の建設も全くめどが立たなくなっておりますし、プルサーマル発電も原発の停止が続き、現在、16基から18基との計画中、四国電力伊方原発3号機1基にとどまっている状態です。
そういう中で質問をいたします。高速増殖炉「もんじゅ」やプルサーマル計画の見通しが立たず、核燃料サイクル政策を見直すべきと考えますが、県の見解について伺います。

◯八戸エネルギー総合対策局長

核燃料サイクルの推進につきましては、先般、知事が世耕経済産業大臣と松野文部科学大臣から確認いたしましたように、我が国の一貫した基本方針であり、引き続き、国民の一層の理解を得ながら着実に進めていく、そのように理解しているところでございます。今、委員から御指摘のございました「もんじゅ」、プルサーマル、いろいろ課題があると思います。核燃料サイクルに関する諸課題については、中長期的な対応が必要でございまして、国、事業者においては、立地地域との信頼関係、協力関係にも十分考慮いただいて、当面する課題を一つ一つ解決しながら、責任を持って取り組んでいただきたいと考えております。


◯安藤委員

既に日本にはプルトニウムが48トンも存在します。これ以上のプルトニウムをため込む危険性、世界からそれを原爆に利用するのではないかという、そうした危惧を持たれている、そういう状況の中で、核燃料サイクル政策を続けていくということは、このプルトニウムをさらにふやしていくことにつながります。「もんじゅ」が廃炉になっていくということは、このプルサーマルについても、先ほど言いましたように、思うように進んでいないわけであり、プルトニウムはふえていくばかりだということは目に見えているわけです。「もんじゅ」に1兆円を超えるお金を注ぎ込んで、そしてまた、使用済燃料の再処理工場にも2兆円を超えるお金が注ぎ込まれてきているという中で、やはりこの辺で核燃料サイクル政策は転換すべきだというふうに考えます。ぜひとも青森県もそのような転換を国に求める大きな路線変更をしていただきたいと考えておりますので、こうした県民の声があるということをしっかりと受けとめながら、歩んでいただきたいというふうに思っています。
以上で終わります。

◯丸井委員長

ほかに質疑はありませんか。
[「なし」と呼ぶ者あり]
ないようでありますから、これをもってエネルギー総合対策局の審査を終わります。
午さんのため、暫時休憩いたします。なお、再開は13時からといたします。

○休 憩 午前11時45分

○再 開 午後1時


◯丸井委員長

休憩前に引き続き、委員会を開きます。
商工労働部・観光国際戦略局関係の審査を行います。
特定付託案件について質疑を行います。
質疑は所管外にわたらないように願います。
なお、答弁者は挙手の上、「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。
質疑はありませんか。──安藤委員。

「青森県の最低賃金について」

◯安藤委員

大きく2点について伺います。
1点目は、青森県の最低賃金についてです。8月23日、青森地方最低賃金審議会において、本県の最低賃金を21円引き上げて、時給716円とするよう青森労働局長に対し答申しましたが、このことに対する県の認識について伺います。

◯金子労政・能力開発課長

最低賃金は、最低賃金法に基づき都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会において審議し、その答申を受けて労働局で決定されることとなっています。
その際、最低賃金の水準は、地域における労働者の生計費及び賃金、事業主の賃金支払能力を考慮して定めるものとされており、また、労働者の生計費を考慮するに当たっては、生活保護に係る施策との整合性にも配慮するものとされていると承知しています。
今回の改正については、青森地方最低賃金審議会において、労働者、使用者、公益の各代表により、地域の実情を踏まえた議論を行った結果、適切に決定されたものと考えております。


◯安藤委員

県労連が記者会見して発表したんですけれども、今春、東北各県労連の組合員などを対象に持ち物調査を行い、6月に各県庁所在地で価格調査を実施したそうです。最低生活費を試算してます。青森市で25歳単身男性が生活するのに必要な最低生活費は、時給1,243円、月収21万6,083円、これは税金や社会保険料を含むということですが、こうした金額となり、現行の最賃695円と大きな隔たりがあり、最賃の引き上げが必要だということを記者会見で述べております。先ほどの答弁でも、地域の実情に合わせて生計費を考えた上での決定ということですけれども、この県労連が調査したように、最低限の生活もままならないという金額がこれまでの額であり、今回、21円引き上げられても、最低限の生活はままならないという実情だということです。
そうした観点から見ると、今回引き上げられても、なお労働者にとっては厳しい賃金だと考えるべきだと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。

◯金子労政・能力開発課長

委員御指摘のとおり、賃金水準の向上は、所得増加による労働者の生活の安定に寄与するだけでなく、消費増を通じた需要の喚起による地方経済の活性化にもつながると考えられ、大変重要な課題であると認識しています。
一方で、支払い能力ということに鑑みれば、小規模零細企業が大宗を占める我が県の状況を鑑みれば、地域経済の影響なども懸念されるところであります。
したがって、県としましては、生産性向上、売り上げ増加などによる収益力のアップなどによりまして、労働者の賃金水準の向上が引き続き図られるよう、県内企業の支援に努めるとともに、処遇改善を含む働き方改革の取り組みを、個々の企業においても進めていただくよう働きかけを続けてまいりたいと考えております。


◯安藤委員

これまで東京都の最低賃金と青森県の最低賃金に大きな格差が生じておりまして、例えば、平成14年度は103円の差がありました。平成15年度も103円、平成16年度、平成17年度は106円、平成18年度が109円で、平成19年度は120円、平成20年度が136円、平成21年度が158円、平成22年度が176円、平成23年度が190円、平成24年度は196円、平成25年度が204円、平成26年度が209円、そして、平成27年度が212円と、その差は年を追うごとに広がっているのが実情です。
こういうふうな賃金格差があることによって、やはり少しでも賃金の高いところへということで人口流出が、この賃金の問題で流出するということも実態としてあるというふうに見ていいと思います。青森県の人口がいよいよ130万人を割り、近いうちに100万人を割り込むのではないかと見込まれているわけです。こういう中で、賃金の地域間格差をなくしていくということが求められているというふうに思います。
そこで伺います。本県の最低賃金が21円増の716円、東京都の最低賃金が25円増の932円となる見込みであり、ますます格差が増すこととなるため、全国一律の最低賃金とすべきと考えるが、このことに対する県の見解について伺います。

◯金子労政・能力開発課長

最低賃金については、最低賃金法に基づき一定の地域ごとに定めることを原則としており、各都道府県労働局の地方最低賃金審議会において、労働者の生計費、労働者の賃金及び事業主の支払い能力などの各地域の実情を踏まえて調査、審議され、その答申を受けて各都道府県労働局長が決定することとなっております。
今般の本県最低賃金の改正については、本県の地方最低賃金審議会において、公・労・使それぞれの委員の間で真摯な議論がなされた上で決定されたものと承知しており、県としては、これを尊重したいと考えております。
そして、最低賃金の決定方式をどうするかについては、国で検討されるべきことでありますが、各地域の景気動向、事業主の賃金支払い能力など地域ごとの実情というものも反映する必要があるというふうに考えております。


◯安藤委員

先ほども申し上げましたけれども、若者たちが青森県に根づいて、ここを生活の基盤としていくということにするためには、やはり賃金の引き上げというものが決定的なポイントになると思います。青森県がその最低賃金を決める立場にはないことは承知していますけれども、ぜひとも人口流出の観点から、青森県として国に声を上げていくということが重要だと思います。若者たちが青森県に定着できるようにするためにも、ぜひとも声を上げていただきたいと思いますが、そういう環境にはありますでしょうか。声を上げていただきたいと思いますが、どうでしょうか。

◯金子労政・能力開発課長

委員御指摘のとおり、人口減少や少子高齢化が進んでいる状況にございます。その中で、若者の県外流出を防止するということは県内企業の人材確保、地域経済の持続的発展などの観点から大変重要な課題であると承知しております。また、若者の雇用の場づくりに積極的に取り組んでいくことはもとより、より安定的で質の高い雇用の創出や、業種や分野のニーズに応じた人材の確保・育成などの取り組みも必要であると考えております。
このため、県では、食分野や次世代成長分野の製造業において、安定的かつ良質な雇用を選択的に創造していくためのプロジェクトを推進しているほか、技能や資格を有した人材を育成する職業訓練の充実、国の地方創生関連交付金を活用しましたUIJターンの促進などの取り組みを強化しているところでございます。
県としましては、今後とも雇用情勢の変化に的確に対応し、一人でも多くの若者がふるさと青森県で生き生きと活躍できるように、雇用の場の確保、質の向上に取り組んでまいりたいと考えております。


◯安藤委員

その雇用の場を確保するためにも、よりよい条件というものを確立できるように、ぜひ県としてもそういう立場で国に対して声を上げていただきたいと思います。
それで、最低賃金を最低限の生活が確保できるだけの引き上げを行うためには、やはり中小企業への支援というものも大前提となりますので、その辺も含めて、ぜひ県として声を上げていただきたいということを申し上げまして、この点については要望したいと思います。

「伝統工芸産業の振興について」

◯安藤委員

次の質問ですけれども、伝統工芸産業の振興について伺います。
私が住みます弘前においても、伝統工芸がさまざま根づいています。例えば、津軽塗やこぎん刺し、ブナコ、あけびづる細工、津軽打刃物、下川原焼土人形など、津軽の、そして、弘前の人たちにとっては大変なじみのある伝統工芸になっているわけですけれども、この伝統工芸が発展していくためには、なかなか大変な状況にあるということも一方であるのが実態だと思います。この10年くらい、いろいろな相談の中に、津軽塗の仕事に携わっていた比較的若い世代の方たちが、仕事を離れざるを得ないさまざまな要件があったとは思いますけれども、仕事に就けなくなるという事態で大変困難を来しているという相談を何件か受けています。そこで、私は伝統工芸産業がしっかりとこれからも発展していくようにするために、県が支援をしていただきたいという思いを持っています。そこで質問をしたいと思います。
1点目は、本県を代表する伝統工芸品である津軽塗の現状について伺います。

◯沖沢地域産業課長

青森県漆器協同組合連合会の調査によりますと、最も新しい平成26年度と10年前の平成16年度を比較いたしますと、事業所数及び従事者数は、平成16年度の129事業所、251名から、平成26年度は66事業所、128名と、約2分の1に減少しております。また、生産額は、平成16年度の7億800万円から、平成26年度は2億6,000万円と、約3分の1に減少しております。
この要因としましては、津軽塗はもとより、全国の漆器の産地を取り巻く共通の課題として、生活の洋風化に伴う漆器ニーズの減少、低価格輸入品やプラスチックなどの他の素材製品との競合、経営者や製造従事者の高齢化と後継者不足などが挙げられております。


◯安藤委員

さまざまな要因があるということで、事業者の数も、そして、それに従事する方たちも大幅に減っているという実態があるわけですけれども、これら、例えば津軽塗に対して、県としてどのようなかかわり方、支援などをされているか伺います。

◯沖沢地域産業課長

県としては、津軽塗については、後継者の育成や新商品の開発、販路開拓などに産地一体となって取り組んでおります。例えば、平成19年度からは、消費拡大に向けまして、手ごろな価格で自由なデザインを楽しめる商品の開発とか、平成21年度には、低価格で購入可能な津軽うるおい漆の商品化に向けた体制の整備、さらに、平成22年度から23年度までは、その商品の知名度の向上と販路拡大のための対策等に取り組んでまいりました。また、平成24年度から25年度までは、津軽塗を含めた伝統工芸品全体のブランド化を目指しまして、既存の市場や購買者層にとらわれない、伝統工芸品の商品開発を支援したり、平成26年度から27年度までは、それらの商品の販路開拓を目指して商談会等の出展などの支援を行っているところです。


◯安藤委員

津軽塗のそのような県としての支援をされてきても、なかなか現状は上向きになっていないというのが実態なわけです。ぜひともこれまでの支援を検証しながら、業者の方たちへの直接的な支援、そして、購買しやすいような条件といいますか、そういう開発にもぜひとも取り組んでいただきたいと思います。
それでは、津軽塗に限らず、伝統工芸産業全般についてなんですけれども、伝統工芸産業の振興について、県はどのように取り組んでいるのか伺います。

◯沖沢地域産業課長

伝統工芸品は、ライフスタイルの変化や多様化、安価な代替品の流入等により、売り上げが大きく減少するなどさまざまな課題に直面しております。一方で、ゆとりと豊かさをもたらす質の高い製品を求めるニーズの高まりがあり、和の暮らしや手仕事に対する再評価の動きも見られるところでございます。
このため、県では、先ほども答弁いたしましたけれども、これまでの既存市場や購買者層にとらわれない、現代のライフスタイルに合った商品開発やブランド化等の取り組みの支援を行ってきたところです。
具体的には、将来を担う若手職人の経営感覚の醸成、売れる商品の開発と首都圏の百貨店等での実践販売、県内伝統工芸関係者による新たな地域ブランドとしての和装小物の開発などの支援を行ってきたところです。
また、今年度からは、近年の外国人観光客の増加や、東京オリンピックの開催決定などにより、日本の伝統的な文化や産業への関心が高まっていることから、首都圏や外国人観光客のニーズを踏まえた商品開発や販路開拓を支援するため、首都圏の工芸品販売店におけるテストマーケティングを行うこととしております。
県としては、今後とも、伝統工芸産業の育成・振興に向けて、積極的に取り組んでいきたいと考えております。


◯安藤委員

県の行っている取り組みの中で、今も少しお話にありました伝統工芸品等首都圏マーケティング事業があると承知していますけれども、636万円の予算で取り組むとされていますが、このマーケティング事業について、もう少し詳しく伺います。

◯沖沢地域産業課長

この事業は、先ほども答弁いたしましたけれども、東京オリンピック開催決定とか、インバウンドなどの外国人観光客が増加しているということを踏まえまして、外国の大使館等が立ち並ぶ六本木の東京ミッドタウンにセレクトショップを持ちます業者に委託しまして、県内のいろんな伝統工芸品をそこでテストマーケティングしたいという方々を募集いたしまして行うこととしております。その選定に当たっては、県内3カ所で説明会を行うとか、各種媒体等で募集したほか、実際決定した方につきましては、東京の専門家からいろいろな商品づくり並びに商品改良のアドバイス、首都圏とか外国人に向けての価格設定とか、いろいろ指導を受けた上で行うこととしております。実際、12月にテストマーケティングを1カ月間行った上で、その結果を業者の方にフィードバックして、さらに商品改良とか販路開拓につなげていきたいと考えております。


◯安藤委員

より利用者、特に外国人などの要望に沿った、手にしていただいて買っていただけるような商品にするためには有効な事業だと思うんですけれども、この事業に参加する事業者は何者ぐらいで、伝統工芸のどういう分野の方たちが参加しようとしているのか伺います。

◯沖沢地域産業課長

参加事業者は14事業者となっております。その中の伝統工芸品といたしましては、津軽塗が2者、こぎん刺しが2者、南部裂織が1者、津軽裂織が1者、あけびづる細工が1者、津軽打刃物が1者、八幡馬が1者、その他が4工芸品となっています。


◯安藤委員

この参加される事業者の負担はどのようになっていますか。

◯沖沢地域産業課長

基本的には、商品の試作とか改良に伴う経費と、テストマーケティング中に東京のほうに行く旅費となっています。


◯安藤委員

せっかくのこういう機会を得たこうした事業者の方たちが、よりよい結果が出るように、ぜひとも県としても最大の支援をしていただいて、そして、青森県の伝統工芸産業が、来ようとしている東京オリンピックなども活用しながら、発展していく一つの起爆剤になるように、ぜひ支援を強化していただきたいと思います。
以上で終わります。