2015年11月20日平成27年環境厚生委員会

「介護保険制度における各種手続の際のマイナンバーの取り扱いについて」

◯安藤委員

3点伺います。
1点目は、介護保険制度における各種手続の際のマイナンバーの取り扱いについて伺います。
マイナンバー制度が10月から施行され、番号通知が郵送によって行われたのに続いて、来年1月からいよいよ利用が開始されます。この制度は4つのリスクがあると考えています。情報漏えいを100%防ぐシステムは不可能、意図的に情報を盗み得るケースが発生、一度漏れた情報は流通、売買され、取り返しがつかない、情報は集積されるほど利用価値が高まり、攻撃されやすくなる、こうしたリスクの上に厚生労働省は介護保険の各種手続で来年から個人番号の記載や確認を求めることを決め、都道府県介護保険担当課宛てに通知が発信されました。利用者や介護事業所などの負担が大幅にふえることに懸念が広がっています。
そこで、介護保険制度における各種手続の際、利用者等がマイナンバーを記載する必要がある書類にはどのようなものがあるのかお伺いします。

◯田中高齢福祉保険課長

介護保険制度における各種手続の際に被保険者等が市町村に提出する届け出や申請等の事務については、介護保険法施行規則において定められているところであります。
これらの事務については、平成27年9月29日公布の規則改正により、──これは平成28年1月1日施行になりますが、──届け出申請等の記載事項として個人番号、いわゆるマイナンバーですが、これを追加することとされたところであります。これに基づいてマイナンバーを記載する必要がある書類については、具体的には資格取得の届け出等、──介護保険法施行規則第23条、被保険者証の交付、──同じく第26条、要介護認定の申請等、──同じく第35条、要支援認定の申請等、──同じく第49条など、あわせて24件の市町村の行う事務に係る届け出や申請等となっております。


◯安藤委員

介護保険の申請で、認知症や要介護状態の本人にかわって家族が行えないケースの場合は介護事業所、あるいは施設の職員やケアマネジャーらが代行することがあるといわれています。ここに個人情報の取り扱いに注意を要するマイナンバー記載が入ると、冒頭話したリスクにさらされることになります。
そこで、認知症の方などマイナンバーを自己管理できない方は、介護保険制度における各種手続の際、書類にマイナンバーを記載しなくてもよいのか伺います。

◯田中高齢福祉保険課長

介護保険制度上のマイナンバーの取り扱いについては、先ほどの規則改正と同日の平成27年9月29日付で厚生労働省老健局長から都道府県知事宛てに発出された通知文書の中で、介護保険事務に係る個人番号の利用に関する留意点などをまとめた事務連絡については、10月中を目途に発出予定であるとされているところでありますが、今のところ、国からはこの事務連絡が発出されておりませんので、御質問の各種手続の際に被保険者等が市町村に提出する書類にマイナンバーを記載しなくてもよいかどうかということも含め、事務上の留意点について、現時点では不明となっております。


◯安藤委員

現在不明ということですが、マイナンバーを介護を受ける御本人が自分で管理できない場合には、これからどうしていったらいいのかという声が来ています。混乱も生じているわけですが、例えば県内の自治体や事業所からの問い合わせなどについてはどんな状況でしょうか。

◯田中高齢福祉保険課長

現在のところ、介護保険法上の手続等に関して、マイナンバーの取り扱いについての問い合わせは、県内自治体及び事業所からはありません。


◯安藤委員

現場の声なのですが、個人番号がわからないケースでも申請が受け付けられるのか、また、本来、個人番号の管理事業者ではない介護保険事業者が番号を集めていいのか、万一、番号が漏れた場合、介護事業所が罰則を受けるのかなどの疑問の声が出ています。
日本共産党の小池晃参院議員が厚労省老健局に対して、個人番号の記載がなければ介護保険の申請は受理されないのかということを確認しましたところ、そうならないようにすると回答されたそうです。記入がなくても行政が住民基本台帳から番号を確認することが可能であり、番号の記載がないことを理由に申請をはねのけることはしないと確認されています。これらが今後、10月に発信する予定だった留意点の事務連絡の中に含まれていくと想像するわけですが、まだ来ていないということなのですが、国に対して早くきちんとした事務連絡を発信するように求めていただきたいのとあわせて、具体的に事務連絡が来たときに速やかな情報提供を各自治体、あるいは事業所に発信して混乱を避けていくということが必要だと思いますが、この辺についてはどのような心構えでいるのでしょうか。

◯田中高齢福祉保険課長

介護保険法関連、介護保険制度に関連する諸手続のマイナンバーの取り扱いについては、市町村の事務にかかわる部分となっていますので、こうした国からの事務連絡が発出されれば、速やかに市町村等に周知するなど、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。

「自殺未遂者支援について」

◯安藤委員

ぜひそのようにお願いしたいと思います。介護保険の申請等の中で、このマイナンバーが流出して事件が発生するようなことがあってはならないので、ぜひしっかりとした対応をお願いしたいと思います。
次の質問です。自殺未遂者支援について伺います。
先ほど越前委員からも自殺者対策についての質問がありまして、その中の答弁の中でも、265人から242人へと若干ですが減少しているというお話でした。こうして、皆さんの御努力もあって減少しているということは非常にうれしいことです。しかし、それでもまだなおかつ242人の方が自殺されているということをやはりしっかり現実を見据えていかなければいけないと思っています。
先般、10月22日に環境厚生委員会調査で中南地域県民局を訪問した際に受けた地域健康福祉部概要説明の中の重点事業に掲げられていた自殺未遂者支援モデル事業、──弘前保健所ハートケア事業、これについても先ほどちょっと触れられましたが、この説明がありました。十分時間がなく、詳しいことを質問することができなかったので、この件について質問したいと思います。
弘前保健所管内で自殺未遂者支援モデル事業を実施することとなった経緯について伺います。

◯小山内障害福祉課長

まず一つとして、自殺未遂者は再び自殺を企図する可能性が高いことから、相談体制の充実が必要であること、それと本県の自殺者のうち、過去に自殺未遂歴のある方の割合が横ばいであるという課題があるということから、事業実施に至ったものです。
また、弘前保健所管内をモデル地区としたことについては、弘前保健所において、平成22年度から管内における救急搬送された自殺未遂者の実態調査を実施していたこと、それと弘前保健所管内の二次救急医療機関の健生病院において、救急搬送された自殺未遂者に対してのリスク評価を行って、必要に応じ、病院内の精神科医やケースワーカーによるケアが行われていたことなどから、弘前保健所と健生病院とが連携して、救急搬送された自殺未遂者に対し、退院後の家庭訪問等の支援を行うこととしたところです。
この取り組みによって、自殺の再企図を防止することで自殺者の減少を図ることを目的として実施することとしたものです。


◯安藤委員

今まで自殺者をどうしなくてはいけないかということはよく頭に置くのですが、自殺未遂者がその周りにいらっしゃるということにはなかなかちょっと思いが至らなかった点があるのですが、今のお話ですと、平成22年度に自殺未遂者の実態調査をされたということですが、自殺未遂者の実態というのはどのような状況なのか、それと健生病院がモデル病院になったということですが、先ほどのお話の中で、自殺未遂者に対するケアがなされていたということでしたが、これは健生病院がそういう事業をされていたということなのか伺います。

◯小山内障害福祉課長

平成22年度に弘前保健所で実施した実態調査なのですが、いずれも弘前保健所管内において救急搬送された自殺企図者の男女別、年齢別、未遂歴の有無等の調査をしたものです。そして、その結果として、過去の自殺未遂歴の有無については20代から40代の女性が多い、自殺企図者のうち精神科受診率は女性のほうが多いなどの結果を得たものであります。
先ほど御質問がありました健生病院において行われていたケアについてですが、それについては健生病院で独自にそのような未遂者について、病院独自のシートを作成した上でリスク評価をして行ってきていたものです。


◯安藤委員

現在、弘前保健所管内で行っている自殺未遂者支援モデル事業の内容について伺います。

◯小山内障害福祉課長

健生病院において、救急に搬送されました自殺未遂者に対して、身体的な治療や精神科医等によるリスク評価といった一連のケアを行い、モデル事業の支給対象者とするかどうかを検討します。対象となった方には、リーフレットを用いて病院スタッフが事業の説明をし、本人または家族の同意が得られた方を対象に弘前保健所職員が面接を実施、モデル事業の内容を再度説明するとともに、今後支援を受けることについての同意を得ます。
その後、弘前保健所において、リスクアセスメント表により自殺危険度の評価を行うとともに、精神保健福祉センター等の協力を得て、支援の方向性を協議します。
弘前保健所職員は、随時、関係機関と支援の方向性について協議しながら、電話対応、来所面接、家庭訪問等、継続して対象者の相談に応じ、自殺の再企図を予防します。また、必要に応じて必要な情報の提供や市町村等の各種相談機関の案内等を行っています。


◯安藤委員

一度、自殺を図った方に対して、生きていくための支援をしていくということですから、とても難しさのある事業だと思います。こういう事業によって、一人でも二人でも同じようなことを繰り返さない、そういう結果が生まれることを強く願いたいと思っています。
そこで、自殺者数を減少させるため、このモデル事業を今後どのように展開しようとしているのか伺います。

◯小山内障害福祉課長

平成27年度における自殺未遂者支援モデル事業の結果を検証し、弘前保健所と健生病院とで実施した連携体制システムを他の圏域においての研修会等を通じて周知していくこととしております。
また、弘前保健所においては、引き続き平成28年度についても健生病院によるモデル事業を実施するほか、新たに精神科医を有しない救急医療機関との連携体制づくりについて、モデル的に実施するとともに、その後、同様に他圏域に対し周知を図っていくこととしております。


◯安藤委員

始まったばかりの事業ですので、このモデル事業がきちんとした成果が生まれるように、ぜひ尽力をいただきたいと思います。
次の質問ですが、ひとり親家庭等実態調査についてです。
子どもの貧困については、今や大きな社会問題になっておりまして、その中でも特にひとり親家庭の実態は深刻だと言われています。昨年、県が実施した青森県ひとり親家庭等実態調査によって、その実態をリアルにつかむことができるようになったことは大変重要だと思っています。その結果を施策に生かしていくことが求められていると思います。
そこで質問ですが、今回の調査結果について、県ではどのように受けとめているのか伺います。

◯久保こどもみらい課長

県では、平成26年11月に県内の母子世帯、父子世帯等、約4,000世帯を対象に、生活実態や福祉に関するニーズを把握し、自立促進を図るための基礎資料を得ることを目的とした実態調査を実施し、50.6%の世帯から回答を得ました。
その結果を見ますと、母子世帯や父子世帯の9割の方が何らかの仕事に従事しており、雇用携帯では母子世帯、父子世帯とも正規雇用者の占める割合が最も高く、それぞれ39.0%、63.8%となっておりますが、母子世帯ではパート従業者の占める割合も34.0%と高くなっており、不安定な就労状況にあると認識しております。
また、各種福祉制度の利用状況について、世帯別に見てみると、母子世帯では、母子父子寡婦福祉資金について、知らなかったと回答した割合が59.8%、母子家庭等就業・自立支援センター事業については49.3%となっており、同事業について、利用したことがあると回答した割合も8.1%にとどまるなど、制度の周知が不十分であることや利用度が低いことが課題であると認識しております。


◯安藤委員

この結果、特に不安定雇用が多かったり、それからサービスの利用が低く、周知が徹底されてないということが明らかになったわけですが、今すぐやらなくてはいけないこととして、これらの問題点をどのように克服するかということがあるかと思うのですが、この辺について、どのように取り組みを強化していこうとしているのか伺います。

◯久保こどもみらい課長

母子家庭の自立支援については、平成23年度からの計画期間がある青森県母子家庭等自立支援推進計画というものがあります。今年度でこの計画の終期となるので、今回、この計画の評価及び今後、計画推進のための対応について検討してまいりました。
今後の対応として、その課題として挙げられるのが相談支援体制の強化、それからよい条件での就労に向けた支援策、そして先ほどもお答えしましたが、ひとり親家庭の支援施策の積極的な広報、周知が挙げられると思います。そのようなことを今後の検討課題として捉えております。


◯安藤委員

青森県が子どもの貧困対策推進計画というものを計画しているかと思うのですが、今回の調査結果をこの計画にしっかりと生かすことが重要かと思いますが、調査結果を子どもの貧困対策推進計画にどのように活用していくのか伺います。

◯久保こどもみらい課長

県では、子どもの貧困対策を総合的に推進するため、平成27年度内に子どもの貧困対策の推進に関する県計画を策定することとし、現在、その作業を進めております。
計画策定の方向性としては、県計画策定の指針となる国の子供の貧困対策に関する大綱の中でひとり親家庭の子どもなど支援を要する緊急度の高い子どもに対し優先的に施策を高じるよう配慮する必要があること、また、保護者に対する支援についても、子育てと就業の両立などひとり親家庭が抱える様々な課題に対応した自立支援を図ることなどの方向性が示されているところであり、県では、子どもの貧困対策に関する県計画と、先ほども御答弁申し上げましたが、今年度が計画の最終年度となる青森県母子家庭等自立支援推進計画を一体として策定していくこととしております。
策定に当たっては、現計画、先ほど評価を申し上げましたが、明らかとなった課題に対して、その改善策を含めて、子どもの貧困対策に関する県計画を策定する必要があると考えており、今回、昨年度県が実施した実態調査の結果等も踏まえて、計画の策定を進めていくこととしております。

◯安藤委員

貧困対策推進計画がしっかりと具体的に手が差し伸べられるような計画にしていただいて、実際に食べる御飯もないというような子どもたちがいるのが実態なわけですから、こういう子どもたちをなくすために、しっかりと対応をしていただくよう要望して終わります。

「産業廃棄物放棄について」

◯安藤委員

やはり今回の産業廃棄物放棄については、住民の方たちは全量撤去というのが願いでありましたので、そうした要望に応えられなかった対応だということについては非常に残念だと思います。
その上でお聞きしたいのですが、今のやりとりの中でもお話しされております、長期間、キャッピング効果があるということですが、その長期間というのはどのくらいの年月を指しているのか、最初に伺います。

◯福井環境保全課長

どのぐらいというお話ですが、この対策については、先ほど申し上げましたとおり、仮に穴があくというようなことがあっても自己修復機能があるようなシートを使うとか、あるいは紫外線等によって劣化しないような対策のために覆土をするとか、根が刺さっていても破けないようなシートを中に入れるとか、そういった最大限考えられる対策をとって、長期間持つようにという形で詳細設計を行ったものであります。


◯安藤委員

その説明は先ほどありましたので、よくわかったのですが、その長期間というのは5年、10年なのか、あるいは30年、50年を指しているものなのか、イメージするのにその辺、皆さんはどのようにお考えになっているのか伺います。

◯福井環境保全課長

このシートが何年持ちますという答えにはならないのですが、こういった対策で、例えば別の事例として、遮水シートを使った最終処分場、あるいはため池の堰堤の土の中に遮水シートを入れて堰堤の土手のところですとか、そういった事例でいきますと、30年以上、既に遮水シートを使ってもっている事例はあります。私どもとしては、それ以上にしっかりとした対応をしていると考えております。


◯安藤委員

産業廃棄物の最終処分場というのは、許可を得る場合には、底のところに遮水シートを張ってから処分するということが前提になっているわけですが、今回の場合は既に放棄されていたものの中での処置だということでこうなっているわけです。そこで心配になるのは、雨水については入らないように対処するわけですが、地下水に今後、どのような影響を及ぼすか、及ぼさないか、そこの状況をどのように把握していくかということがすごく重要だと思うのですが、どこがその管理、そして地下水に影響を及ぼしていないかという調査をしていくのか伺います。

◯福井環境保全課長

地下水のモニタリングのお話になろうかと思います。
代執行終了後は、周辺環境への影響の有無を確認するために地下水のモニタリングを実施してまいります。それから、八戸市中核市移行後については八戸市の責任のもとでモニタリングを継続していくことになりますが、この点については八戸市とも協議して、八戸市に了解をいただいているところであります。


◯安藤委員

それから、このイメージ図を見てもわかるように、外から見ればきれいな感じにはなるのですが、やはり市民からすれば、ここには廃棄物があったところだということは承知なわけで、どういう人がどういういたずらをするかわからないということも、やはり視野に入れておく必要があると思います。故意に土を掘るとかシートを破るとか、そう簡単にはできるものではないとは思いますが、そういうことを防ぐための対策について、それからもう1点、一緒に聞いてしまいます。地域住民が一番心配している、さまざまな環境への影響等について、周辺住民のに対する説明をどのような形で行っていくのか伺います。

◯福井環境保全課長

まず1点目は、侵入したり、シートに対して何らかのいたずらとか、そういったことについての御懸念かと思います。
まず、外部からの侵入を防止するために、図のほうでいきますと、侵入防止柵を全周に示しておりますが、茶色い色でぐるっと囲むような形で侵入防止柵で全周を囲むようにして、大体、1.8メートルぐらいの塀になるのですが、外部から勝手に入れないような措置をとります。
それから、この擁壁の部分、コンクリートの壁のような部分が見えるかと思うのですが、先ほど容量を確保するためにかさ上げすると申し上げました。ここの部分が大体、低いところでも3メートルぐらいのコンクリートの壁になります。したがって、仮に侵入したとしても、廃棄物の山のほうに上るとか、廃棄物の山に何か悪いことをするというようなことについては十分に防げるという形で考えております。
次に、住民に対して安心していただけるような対応というお話でありました。
これまでも八戸市に対策を講じる内容などを説明し、こういった形で進めるということについて理解をいただきながら進めてきたわけですが、引き続き、今後は八戸市と情報共有して、住民の方々が安心していただけるような対応を適切に行ってまいりたいと考えております。

◯安藤委員

そう簡単には入れない対策も講じられているようですが、日常的にしっかりと管理していく必要があると思いますので、そのようなことも含めて、十分、問題のないような対応をしていただきたいと思います。

「再処理工場等の竣工時期の延期について」

◯安藤委員

3点、質問させていただきます。

最初の質問は、再処理工場等の竣工時期の延期についてです。
日本原燃は2014年1月に規制委員会に対して審査を申請し、同年10月の完成を目指していました。しかし、重大事故対策などに関する指摘が相次いで、16年3月に延期していましたが、今回、22回目の延期となり、18年度上期への延期を表明しました。MOX燃料加工工場については17年10月から19年度上期への延期、5回目の延期を表明しました。
そこで伺います。11月16日に日本原燃株式会社が再処理工場及びMOX燃料工場の竣工時期の延期を公表しましたが、延期の理由と県の受けとめについて伺います。

◯庄司原子力安全対策課長

再処理工場等の竣工時期の延期については、11月16日、日本原燃株式会社から県に報告がありました。
その内容は、再処理工場については新規制基準への適合のために緊急時対策所及び貯水槽──これは重大事故対応の水源となるものです、貯水槽の新設並びに耐震BCクラス配管等の補強工事の追加が必要となり、これらの工事には今後2年半程度の期間を要する見通しであること。MOX燃料工場についても、新規制基準の適合のために、グローブボックスの耐震Sクラス化や防火ダンパ等の新規設置が必要となり、工事には今後3年半程度の期間を要する見通しであること。いずれの施設についても、工事の合理化・短縮化に努めるが、一方、審査及びそれに続く設工認等の手続が必要であることから、竣工時期を再処理工場については平成28年3月から平成30年度上期、MOX燃料工場については平成29年10月から平成31年度上期としたとしています。
県としては、原子力施設については何よりも安全の確保が第一であり、日本原燃株式会社において新規制基準にしっかりと対応し、原子力規制委員会による安全性の確認を受けるため、全力を挙げて取り組むとともに、施設の安全性について県民の理解が得られるよう、一層の取り組みをお願いしたところです。
今後も国及び事業者の対応を厳しく見極めてまいります。


◯安藤委員

今回出された次の竣工時期について、これが本当に履行されるのかどうかという疑念を持たざるを得ないわけですが、次の質問で、再処理工場の地震等に対する新規制基準への適合性についての審査状況について伺います。

◯庄司原子力安全対策課長

新規制基準において考慮する必要がある地震は、内陸地殻内地震、プレート間地震、海洋プレート内地震及び震源を特定せず策定する地震動となっており、事業者はそれぞれについて地震動を評価した上で基準地震動を策定する必要があります。
現在の審査状況について、日本原燃株式会社によると、敷地内断層及び地下構造評価については、審査会合でおおむね理解を得ている。内陸地殻内地震である出戸西方断層、プレート間地震及び海洋プレート内地震については、地震動の評価方針を説明しており、今後、評価結果を説明する予定。内陸地殻内地震である大陸棚外縁断層は、審査を継続中であり、震源を特定せず策定する地震動については、今後説明する予定であるということであります。
県としては、国と事業者の対応を注視してまいります。


◯安藤委員

答弁によれば、基準地震動というのは今後また変わっていくこともあり得ると見てよろしいわけですね。

◯庄司原子力安全対策課長

基準地震動については、先ほど申しましたとおり、今、まだ国のほうで審査中でありますので、その結果によっては変わることもあり得ると考えております。


◯安藤委員

規制委員会はどう判断するかということによるわけですが、基準地震動が、他の原発などを見ても、設計基準を強化するという意味で基準地震動を変えていることを見れば、十分、そのことは予想されるわけですが、そうなれば、設計の変更ということもあって、適合性の審査状況によっては設計見直しも含めてさらに竣工延期という可能性が考えられると見ておくべきだと思うのですが、この辺についてはどう受けてとめているのでしょうか。

◯庄司原子力安全対策課長

基準地震動については、もし変更があれば、当然、それに対応できる形の対応が必要になると思います。現時点では、ある程度、余裕は見てつくっているかと思いますが、いずれにしても、基準地震動については、今、国において審査しておりますので、その審査の動向を注視してまいりたいと思っております。

「再処理工場におけるトラブルの発生について」

◯安藤委員

核燃サイクルの本命と言われる高速増殖炉もんじゅは、原子力規制委員会から運転主体変更の勧告を受け、瀬戸際に立っています。一方の軽水炉サイクル、プルサーマルも原発再稼動が見通せず、電力業界の目標としている2015年度、今年度までに16基から18基で実施する予定とされていましたが、この計画も既に破綻しています。こういうことから、着工から22年たっても完成しない現状を直視して、核燃サイクル事業から撤退すべきだと思います。こういう観点に立って、県からも国にこうした判断を求めていくべきだと思っています。この主張をさせていただきます。
次の質問です。再処理工場におけるトラブルの発生についてです。
11月9日に発生した再処理工場分離建屋における非常用無停電交流電源装置の故障について、事業者からの通報内容と県の対応について伺います。

◯庄司原子力安全対策課長

日本原燃株式会社から、11月9日の21時49分ころ、再処理工場の分離建屋において、外部電源喪失時に非常用ディーゼル発電機からの給電開始までの間の給電を補うための非常用無停電交流電源装置について、2系統のうちA系統の故障を示す警報が鳴り、現場確認の結果、22時32分に故障と判断した。B系統については、点検のために起動できない状態であったということです。事象発生時、外部電源から電源供給されていること、非常用ディーゼル発電機について、点検して健全であることを確認したとの連絡をその日の22時41分にファクスによる第一報を受けております。
この連絡を受け、県では原子力センターの職員を現地に派遣し、六ケ所村とともに現地確認を行っております。事業者から状況説明を受けるとともに、中央制御室において、故障した非常用無停電交流電源装置に接続された機器については外部電源から電源供給がなされ正常に動作していること、放射線監視装置により施設内及び敷地境界付近の指示値に異常がないことを確認しております。また、事業者に対しては原因の究明と再発防止対策を求めているところです。
なお、事象発生後の状況について、事業者からは、本事象を受け、点検中であったB系統については、翌日の11月10日の7時40分に点検状態から通常状態に戻している、また、故障したA系統については、11月13日に復旧したとの連絡を受けております。


◯安藤委員

非常に大事な装置がこのたびもトラブルが起きたと。たまたま大きな事故にならなかったからよかったようなものの、こういうことが繰り返されることに非常に不信感を抱きます。毎委員会ごとにトラブルについて聞かなければならないような事態です。8月2日には落雷で高レベル放射性廃液の漏えい検知装置など、安全上重要な15基を含む計29もの装置が同時に故障したばかりです。
日本原燃株式会社では、最近、トラブルが相次いでいるので、県から事業者にしっかりと対応するよう強く求めるべきと思いますが、どのような見解を持っておられるのでしょうか。

◯庄司原子力安全対策課長

原子力施設の安全性の確保は、第一義的には事業者が責任を持って取り組むべきことであります。したがって、県としてはトラブルが発生した場合には、事業者が原因の究明をしっかりと行ってトラブルの要因を分析し、再発防止対策を着実に実施するということと、その結果に基づき改善すべき点は改善するという活動を継続的に行うことで、安全確保の徹底につなげていくことが重要であると考えております。
県では、トラブル発生後、速やかに原子力センター職員を現地に派遣し、現地確認を行い、事業者から状況説明を受けるとともに、原因究明と再発防止対策を徹底して講ずるよう指示しており、その後の対応についても確認しているところです。
また、国においては、法令に基づき安全規制を行っているところであり、保安検査や設備の交換・補修等に伴う設工認の審査等を通じて事業者の原因究明、再発防止対策を確認しており、県としては、国、事業者の対応を見極めているところであります。


◯安藤委員

毎回同じような見解を持っておられるわけですが、三村知事も安全が第一だということを何度も繰り返している中で、その安全性に対して不信感を持たれるようなトラブル続きが実態なわけで、同じ見解を繰り返すばかりでなく、やはり日本原燃株式会社に対して強く抗議するとともに、こういうことが発生しないように十分、点検ということも踏まえて対応すべきだと求めていくべきだと思います。知事挙げて、このトラブルに関しての要請をすべきと思いますが、どうでしょうか。

◯庄司原子力安全対策課長

トラブルが起こったときには、やはりトラブルの原因をしっかり分析して、それに対応できる再発防止対策をしっかりと講じていくことが大切なことだと考えております。


◯安藤委員

先ほども申し上げましたように、核燃サイクル事業というものがこのトラブルも含めて既にもう本格稼動できるような状況ではないということをしっかり踏まえるべきだということを強調したいと思います。
次の質問です。子ども・若者育成支援強調月間についてです。
議員に送られてきます「青い樹」というものがありまして、この中に11月は子ども・若者育成支援強調月間ということが書かれていました。今、若者たちが置かれている状況は非常に深刻な事態だと受けとめなければいけないと思います。児童虐待などについても、児童相談所への相談件数が平成8年度の43件から平成20年度には445件と10倍以上に上っているということ、あるいは小中学校の不登校児童などについても、平成10年度以降、1,400人以上で増加傾向にあり、一旦とどまったとはいえ、平成19年度は1,304件という状況です。この2つの事例は本当にその一部の子ども・若者たちが置かれている状況を示す数値なわけですが、こういう中で、11月、子どもや若者の育成支援を強調する月間だということですので、この件について質問しようと思いました。
子ども・若者育成支援強調月間の趣旨について伺います。

◯三浦青少年・男女共同参画課長

内閣府において、毎年11月を「子ども・若者育成支援強調月間」と定めており、この期間中に子ども・若者育成支援のための諸事業、諸活動を集中的に実施することにより、国民の子ども・若者育成支援に対する理解を深め、各種活動への積極的な参加を促し、国民運動の一層の充実と定着を図ることとしています。
今年度のこの運動の重点事項としては、5点挙げられており、1として子ども・若者の社会的自立支援の促進、2として生活習慣の見直しと家庭への支援、3として児童虐待の予防と対応、4として子どもを犯罪や有害環境から守るための取り組みの推進、5として子どもの貧困対策の推進となっております。

「子ども・若者育成支援強調月間における県の取り組みについて」

◯安藤委員

今、言われた5点どれも本当に深刻な状況で、この対策が求められているわけです。
次の質問で、子ども・若者育成支援強調月間における県の取り組みについて伺います。

◯三浦青少年・男女共同参画課長

県では、毎年度、内閣府が定めた実施要綱に基づき、県内の市町村を初め、関係機関に対し、強調月間の効果的な推進に係る協力を要請しております。そして、月間終了後には期間中の県内における取り組み実績を取りまとめ、内閣府に報告しております。
県の取り組みとしては、子ども・若者育成支援に係る講演会等の開催、広報啓発活動、青少年保護育成巡回活動、社会環境浄化活動等を行っております。
具体的には、ニート、ひきこもり、不登校などさまざまな困難を抱えた子ども・若者に対する理解を深め、地域における支援の拡大を図ることを目的とするフォーラムを開催することとしております。また、県庁東玄関への啓発看板の設置を行っております。そのほか、有害図書・ビデオなどの図書類の自動販売機等の立入調査、青少年健全育成条例に基づく、青少年の育成に御尽力された方に対する表彰などを行っております。


◯安藤委員

内閣府からの呼びかけによる取り組みということですが、このような取り組みを通して子ども・若者たちの環境を少しでもよくしていただくことが大変重要だと思います。
折しも、先般、11月4日、八戸でコンビニ強盗があって、その事件で7日には市内に住む男子高校生が逮捕されるという事件が起きてしまったことはとても残念だなと思います。皆さんも同じ思いではあると思いますが、この子ども・若者育成を所管する部として、林環境生活部長は、この事件についてどういう思いを持たれているのか、一言いただければと思います。