ネオニコチノイド・グリホサート

14 3月

1月22日 津軽農民組合主催の「ネオニコチノイド・グリホサートなど農薬の人への健康被害(慢性健康影響)」と題した学習会が行われ、参加しました。

講師は、環境脳神経科学情報センター・医学博士、日本内分泌撹乱化学物質学会理事、NPOダイオキシン環境ホルモン対策国民会議理事、デトックス・プロジェクト・ジャパン顧問とたくさんの肩書をもつ 木村ー黒田純子氏です。

そこで学んだこと。

ネオニコチノイド農薬とは、有機リン系に代わる農薬として1990年代に開発された殺虫剤で新しいニコチン物質という意味。害虫特異性が高く、環境保全性、人には安全と宣伝されたが、実際はミツバチ大量死の原因として世界中で注目されている殺虫剤で2012年ハチの大量失踪はネオニコチノイド系農薬が主原因に決着

EUは2018年4月にネオニコ5種中3種の屋外使用を永続使用禁止しました。ミツバチだけでなく、昆虫、両生類、鳥など生態系への悪影響が確認されたからです。

佐渡市、豊岡市でネオニコチノイドの使用をやめたら、トキとコウノトリの繁殖が成功。両市でネオニコチノイドフリーのブランド米を立ち上げ成功した。ネオニコチノイドは餌の昆虫を減らすだけでなく、鳥や哺乳類で生殖毒性が確認。

ネオニコチノイドは、生物多様性への破壊的影響。ミツバチだけではなく多くの昆虫類や鳥類、動物にも悪影響がある。複合毒性が強い。ネオニコチノイドにある種の殺菌剤を合わせて使うと相乗効果で毒性が数百倍から1000倍に増幅。

人にも神経毒性がある。

毒性が高いので、強毒性で浸透性のため少量で効く。

発達障害や「切れやすい」「引きこもる」など脳の働きに障害のある子供が増えている
発達障害の診断基準2013年改訂●自閉症スペクトラム障害●注意欠如多動性障害●学習障害

文科省の調査で全学童の6.5%(15人に1人)が発達障害の可能性。(診断基準の変化や親が医者に連れて行くことも発達障害増加の一因となっているが、実数も増えていると多くの専門家が指摘している。

発達障害急増の原因 1、遺伝子要因だけでは説明がつかない 2、環境要因が大きく関わっている可能性(栄養、家庭、社会環境など複雑な原因が考えられるが、農薬など有害な環境化学物質の曝露が一因とする研究が蓄積してきている。発達障害は一概に悪いとはいえないが、環境要因で急増しているなら原因究明が必要ではないか。

癌疾患やパーキンソン病の急増の原因として、放射線影響や農薬など有害化学物質曝露の複合影響が懸念。パーキンソン病はパラコート、ロテノンなどの農薬曝露との因果関連が明らかになり、フランス政府は2012年、農業従事者の職業病と認定。

日本は農薬使用大国で、OECD加盟主要国13か国(中国は加盟していない)の中で一番多い。そして、日本の農薬残留基準は世界各国に比べて極めて緩い。

国内3歳児(223名)の尿中に勇気リン系、ピレスロイド系が100% ネオニコチノイド系が79.8%検出。2019年の論文では、日本人の子ども46人の尿から、ネオニコチノイドが100%検出。日本のこどもは有機リン、ピレスロイド、ネオニコチノイド系農薬に日常曝露しており、複数の農薬による低用量長期曝露が懸念。

発達障害の原因となる農薬など環境要因
●脳内に侵入する発達神経毒性をもつ化学物質・・残留性有機汚染物質、環境ホルモン、殺虫剤、大気汚染物質、医薬品 ●出産前後のトラブル(早産、低体重)・・喫煙や農薬など有害化学物質曝露によっても起こる
●養育期のトラブル(虐待、ネグレクト、低栄養)・・環境ホルモンや有機リン系農薬の発達期曝露後、生まれた雌の母性行動の異常。有機リン系農薬を発達期に曝露するとオスの攻撃性が上昇という報告がある。●母胎や新生児期の感染症や抗生剤、抗菌剤の乱用による免疫異常 ●両親の高齢化(特に父親)生殖細胞の遺伝子変異 発がん物質(農薬など)や放射能

発達障害急増と並行して増えたネオニコチノイド・・・ネオニコチノイド系農薬使用量は1990年代に急増

農地単位面積当たり農薬使用量と自閉症など発達障害の有病率・・・OECDの中で最も農薬使用量の高い順は韓国、日本であり、その順位で自閉症スペクトラム(自閉症+広汎性発達障害)の有病率が高くなっている。

発達神経毒性のある有機リン系農薬・・・環境化学物質の中でも有機リン系農薬と発達障害、知能低下に相関関係ありとする論文が2010年ごろから現在まで多数

世界では子どもを農薬や環境ホルモンなどの曝露から守る動きが進んでいる
●米国小児科学会は2012年、”農薬曝露は小児がんのリスクを上げ、農発達に悪影響を及ぼし健康障害を起こす”と公式に勧告を発表。●国際産婦人科連合FIGOは2015年、農薬や環境ホルモンなど有害な環境化学物質曝露により、ヒトの生殖、出産異常が増え、子どもの健康障害や脳機能の発達障害が増加していると警告。2019年7月31日にFIGOは健康影響のため除草剤グリホサートを世界中で禁止するよう提言。●欧州食品安全期間EFSAは2017年、食品中の残留農薬や食品添加物はこどもの脳や免疫系などの発達に悪影響を及ぼすので、曝露を極力下げるよう提言。※農薬は”薬”ではなく、何らかの生き物を殺す殺生物剤で、基本的に毒物。生態系や人間に悪影響を起こしやすい。

有機リン系農薬を低濃度でも摂取した子どもは、ADHDに2倍なりやすいと米ハーバード大などの研究チームが研究成果をまとめた。

●有機リン系農薬が脳発達に悪影響を及ぼすことは多くの研究から確認されているが、日本の有機リン使用量は減少傾向なのに発達障害が増えている~有機リン系だけが原因ではなく他の要因が関わっている
●ピレスロイド系 脳発達や精子形成への悪影響を示す論文が増えている・・・自閉症、ADHD発症との関連、精子の減少●ネオニコチノイド系 脳発達や精子形成への悪影響を示す論文が多数。この20年近くで使用量が急増しているので要注意。※殺虫剤は脳神経系を標的にしているので、脳神経系を直接撹乱・阻害する

ネオニコチノイドが子どもに影響するのはなぜか
●ネオニコチノイドの標的、ニコチン性アセチルコリン受容体はアセチルコリンと共に、人間の脳神経系、とくに発達期の脳で重要。●アセチルコリンとニコチン性アセチルコリン受容体は、胎児期の脳では成人よりも多く存在して、脳の正常な発達を担っている。●煙草に含まれる毒性ニコチンは、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合して、偽情報を送り、脳の発達を阻害し、ADHDなど脳の発達に悪影響を及ぼすことがわかっている。ネオニコにも同様の影響が懸念される。●アセチルコリンとニコチン性受容体は、脳神経系以外の組織(免疫系、循環器系、生殖器系、上皮系など)にも存在しているため、ニコチンやネオニコは脳神経以外にも悪影響を及ぼす可能性が高い。

アセチルコリン系神経伝達を阻害・撹乱するネオニコチノイドと有機リン系殺虫剤

哺乳類の脳の発達に重要なニコチン性アセチルコリン受容体・・・ニコチン性アセチルコリン受容体は、胎児期から発達期に、成体よりも多量に存在して、脳の正常な神経回路形成、シナプス形成に重要な働きをしている。

ネオニコチノイドのヒトへの影響・・・日本の低出生体重の新生児にネオニコチノイド代謝物が検出、国内で、早産で生まれた極低出生体重児の尿を調べた研究ではねおにこちのいどの一種あせたみぷりどの代謝物の検出率が高く、濃度も高いという結果。この研究から、ひとでもネオニコチノイドが胎盤を通過して、胎児に移行することが明らかとなった。

欧州食品安全期間がネオニコチノイドに発達神経性の可能性を指摘・・・2013年に指摘し、基準値を下げるよう勧告し、2016年にはそれに従い基準値を下げた。

除草剤グリホサートの発がん性や多様な毒性・・・発達神経毒性が報告されている除草剤。グリホサートは、国内で除草剤として、スーパーなどで身近に販売されている。農薬とうろくされたもの以外にも、非農耕地用除草剤として道路、鉄道線路、駐車場、グラウンドなどでもたようされている。

グリホサートやラウンドアップの発がん性・・・2015年3月 国際がん研究機関IARCグリホサートはヒトに対して"おそらく発がん性がある”と発表。グリホサートによる世代を超えた影響。

世界で進むネオニコチノイドやグリホサートの規制
●ネオニコチノイドについて EUは2018年イミダクロプリト、チアメトキサム、クロチアニジンの屋外使用を永続使用禁止 2017年9月フィプロニル登録失効 2016年ヒトへの発達神経毒性の可能性ありとして、アセタミプリドの規制強化を実行  フランスは2018年9月全てのネオニコチノイド使用中止  オランダは2014年ネオニコの全面禁止法庵を議会で可決  土質、ィアアリア、スロベニア、スウェーデンでも使用規制  アメリカ、かなだ、ブラジル、韓国、台湾でも使用禁止・規制
●グリホサートについて サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、オマーンでは使用禁止。フランス、ドイツ、イタリア、オーストラリアでは使用禁止を決定。部分的に禁止、規制している国や自治体はたくさんある。ベルギー、ドイツとオランダ、ポルトガルなど。2019年国際産婦人科連合か、グリコサートを世界で使用禁止にするよう提言。

ドローンによる農薬空中散布推進の危険性

終わりに

●ネオニコチノイドやグリホサートの人への悪影響について科学的データが蓄積してきたが、それ以外の農薬も安全とは断定できない。
●世界の動向は、農薬を極力減らし、持続可能な生態系を維持した農業に向かっている。
●危険性の高い農薬から規制強化・使用中止し、無農薬、有機農業を!
●農業の重要性をすべての立場から理解し、地球と共存できる社会を目指しましょう。

 

と長くなりましたが復習の意味も込めて先生の講義内容を書いてみました。

 

 

 

 

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