一部反対討論

23 3月

定例県議会が3月22日閉会しました。

私はこの日、日本共産党を代表して知事提案に対する一部反対討論を行いました。

その原稿は以下の通りです。(一部割愛しています)

 

2021年3月定例会一部反対討論

日本共産党の安藤晴美です。

提出議案に対する一部反対討論を行います。先議議案を除く議案45件のうち31件に賛成し、14件に反対します。

反対の主なる理由について述べさせていただきます。最初に議案第1号「令和3年度一般会計予算案」についてです。来年度予算で最も問われるのは、新型コロナウイルス感染症から県民の命と暮らしを守るものであるかどうかという視点です。県内クラスターが連鎖するなど感染状況に新たな特徴が生まれています。全国的には変異株が新たな脅威となっています。そのもとで入院・療養体制を万全にし、医療機関などへの支援を強めることと共に、無症状の感染者を発見し、保護・追跡する仕組みをつくって、感染拡大を防ぐ手立てが急がれます。また、医療機関や福祉施設など、リスクの高い場所を中心とした社会的検査を講じる手立てが求められています。

そして、最大の問題は、コロナ禍における経営危機に直面する中小業者への支援策が不十分なことです。県は、緊急事態宣言が出されなかった本県においても、緊急事態宣言発出による経済的影響が極めて深刻な形であらわれていることを直視すべきです。クラスターが一つ判明するたびに、当該地域の全体で、予約がキャンセルになり客足が遠のくという状況が生まれています。「このままでは店を続けられない」という声に応えるべきです。国が持続化給付金の再交付などを実施することが必要ですが、国の動きにとどまらず、県が新たな支援策に取り組むことが、県内事業者を激励し、コロナ後を見据えた県経済発展の前提を作ることになると考えます。応援金の再交付など、県内中小業者に対する直接支援実施の決断を求めます。

福島原発事故から10年が経ちました。今、原発立地県の予算案に問われるのは、原発ゼロを見据えた撤退戦略です。原発はいったん事故が起これば、未曽有の被害を及ぼすという異質の危険があることが明らかになりました。この間の裁判などを通じて、国と事業者は、事故の前から地震による津波発生の危険性と、非常用電源の浸水を想定していたにもかかわらず、必要な手立てを講じていなかったことが分かっています。東京電力は、ふるさとを奪われたことに対する賠償を求める被害者に対し、ふるさとに法益はない」などと言って、あくまで争う姿勢に固執しています。「ふるさとに法益はない」と言い放つ事業者に、故郷のための仕事はできません。原発ゼロこそ事故の最大の教訓であり、原発・核燃の推進を前提とした予算には賛成できません。

議案第23号「青森県医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律関係手数料徴収条例の一部を改正する条例案」について。今回の改正の基となった「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」は、早期承認の条件としている市販後の調査に、臨床試験を伴わない「リアルワールドデータ(実地診療で得られるデータ)」の活用を認めており、承認前も承認後にも検証的臨床試験の実施を求めない制度なっていることから、新たな薬害を生む懸念があること、「オンライン服薬指導」を解禁し、安倍政権の成長戦略に沿った規制緩和で企業の参入拡大を図るものとなっています。

議案第28号「青森県道路法施工条例の一部を改正する条例案」について。今回の改正の基となった「道路法等の一部を改正する法律」は、これまで民間事業者自身が整備してきたバスターミナルを公共施設として整備できるようにする改正で、バス、タクシー、トラック等の事業者専用のターミナルを新たに特定車両停留施設と呼び、道路法上の道路付属物として位置付けたうえで、運営権を民間会社に設定するコンセッション制度の活用を可能とします。巨額でリスクも高い再開発事業を国などが担おうとするものです。また、歩行者利便増進道路制度を創設し、道路管理者の判断によっては、地域外からの公募を可能とし、道路の占有を最長20年まで認めるというもので、大規模開発事業者の要望に応えたものとなっています。また、住民との協議、調整の仕組みがなく、住民の意向を無視した開発も可能となります。

議案第32号「青森県学校職員定数条例の一部を改正する条例案」について。政府はコロナ危機の中で、長年の保護者や教職員の運動に押され、2021年度から小学校全学年を段階的に35人に引き下げる計画を決めました。しかし、世界の流れは30人、20人程度が当たり前であり、さらなる引き下げと中学校・高校にも拡充をすべきであります。本県では、独自の少人数学級編成を2年間で5,6年生に拡充するとしました。一歩前進であり歓迎するものですが、クラス替えを考慮しての2年間での拡充となったことは、残念です。最後の仕上げの学年こそゆとりある人数で取り組めるようにすべきと考えます。群馬県では5、6年生への拡充に踏み切りました。

議案第41号「青森県教育委員会教育長の任命の件」について。教育委員会は戦後の1948年から選挙で選ばれた教育委員たちが、その自治体の教育の在り方を決めるという民主的な制度として発足しました。「お国のために血を流せ」と子どもたちに教えた戦前の中央集権型の教育行政を改め、教育の自主性を守るため、国や首長から独立させたものです。     政府は、2014年7月にその教育委員会制度を変えるための「地方教育行政法改正案」を通し、教育委員会の独立性をなくし、国と首長の支配下に置くことができる体制を作りました。その一環で、自治体幹部である教育長に教育委員長の役割も与え、文字通り教育委員会のトップに据える仕組みとしました。今回の教育長の任命は、それまでの教育委員会の任命から知事が議会の同意を得て任命する仕組みとなってから2回目の知事提案であり、仕組みそのものに反対です。

最後に議案第44号「青森県東部海区漁業調整委員会委員の任命の件」及び議案第45号「青森県西部海区漁業調整委員会委員任命の件」について。今回の漁業調整委員会委員任命は、2018年の197国会において審議が十分尽くされないまま可決した「漁業法の一部を改正する法律案」に基づくものであり、漁場の調整などを行う海区漁業調整委員会の公選制を廃止し都道府県知事が議会の同意を得て任命する仕組みにした下での提案です。公選制を廃止することは、漁業者の被選挙権を奪うと同時に透明性も失われることになります。

以上を持ちまして、一部反対討論といたします。

 

 

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